2011年12月12日月曜日

がんばれグリーンピース

ウクライナ放射線医学研究センターのステパノワ博士の記者会見があった。
会見内容を見てもらえばわかると思うが、こんなやつ呼んでどうすんだグリーンピース。
これ、ウクライナの山下俊一じゃないか。びっくりした。会場もどんびきだよ。
グリーンピース・ジャパンには汚染調査など全般的にお世話になっているから言いにくいが、今回は失敗だ。

2011年12月11日日曜日

明治「ステップ」の問題

乳児向けの粉ミルクから放射性セシウムが30.8Bq/kg検出された。

気になるポイントは2つ。

1、明治は問題になってから製品の検査結果を発表したが、検出限界5Bq/kgですべて不検出としている。
http://www.meiji.co.jp/notice/2011/detail/20111206_fig.html
 ところが、問題になる以前の検査結果(4月28日~)については、検出限界が何ベクレルなのか明記されていない。
http://www.meiji.co.jp/notice/2011/detail/20111206_fig5.html
 これはおそらくずっと荒い検査だったのだと思われる。粉ミルクは比重が小さく軽いので、10分や20分では5Bq/kgまで検出限界を下げることができない。50Bq/kgや100Bq/kgぐらいまでしか確認しなかったのではないか。

2、生産された粉ミルクはいつごろ出荷されて、最短で何日後に消費された可能性があるか。明治は春日部工場の外気から放射性物質が混入したとしているが、そうであれば、もっとも警戒するべきはセシウムではなくヨウ素131である。ヨウ素131の半減期は8日間、30日程度でほぼ消失するとされている。ヨウ素131の入った粉ミルクは、何月何日に出荷されたのか。

2011年11月25日金曜日

セシウム134の意味

木下黄太氏のブログ(11/24)で、興味深いテーマが論じられている。

「いったい、どのくらいの土壌汚染から凌げなくなると考えるのか」
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927

 これは悩みどころだ。愛知県東部や長野県はフォールアウトによる土壌汚染が確認できるのだが、しかしこのレベルなら除染でなんとかなりそうな気もするし、実際どうなのか。ここでは木下氏は100Bq/kgを境にして考えているが、この線が妥当なのかどうかは、私にはまだわからない。

 土壌の核種分析をやっていて最近ようやくわかってきたのは、セシウム134がひとつの目安になるだろうということだ。
 いま私たちが計測しているセシウムは2種類あって、セシウム137と、セシウム134がある。セシウム137は半減期が30年、セシウム134は半減期が2年である。
 で、半減期30年のセシウム137は、東電事件以前の大気圏核実験由来のものが土壌に残っていたりする。先日おくられてきた岐阜県の土壌からは、セシウム137が約8Bq/kg検出され、セシウム134がまったく確認できなかった。愛知県や岐阜県にはこういうパターンがあって、このセシウムは東電事件以前のブツだなあと判断している。
 東電事件の影響を考えるとき、土壌にセシウム134があるかないかは判断の指標になる。あと4~5年はこの方法で公害の証拠を記録することができるだろう。

 ということは逆に言えば、私たちはあと4~5年の間に土壌を調べ尽くさなくてはならない。セシウム134がなくなってしまう前に、土壌検査を終えておかなければならない。
 のこされた時間は意外に少ない。

2011年11月14日月曜日

転載・「経産省前テントひろばの緊急声明」

経産省前テントひろばの緊急声明

 経産省前テントは脱原発、反原発の1つの運動拠点として、9月11日以来、本日まで64日となりました。3月11日の福島第一原発の事故は、チェルノブイリ原発事故に匹敵する大事故となり、それも未だ収束せず放射能を垂れ流し、日々環境を汚し続けています。福島第一原発の事故は、原発の安全性は全く嘘であり、著しく危険なものであることが証明され、原発そのものについての根底的な見直しが迫られています。政府や経産省は「福島第一の事故を踏まえた安全対策」「シビアアクシデント対策」「ストレステスト」等といいながら、その内実は無に等しい態勢のまま、定期検査や事故で休止中の原発を「再稼働」させようとしています。
 他方、福島原発事故はいまだ収束せず、大量の放射能が既にばらまかれ、今日も出し続けられています。蓄積され放出された放射能は子どもたち、妊婦、女性たちを犯し続けていにもかかわらず、政府・文科省・経産省はそうした危険に関して、責任ある施策を示していません。
 経産省前テントは、原発そのものについての根底的な見直しを迫るものであると共に、政府・経産省の「再稼働」の策動に反対するものです。
 9月11日にうち立てられたテントは、経産省の管理の国有財産とは言え、公共的空間に存在する市民的運動の拠点、脱原発の正義の場となっています。
 しかし、原発について重大な反省を持たない経産省は一方的に「退去・撤去」を迫り、私たちの意志が堅いとみるや、右翼を使って執拗な妨害を加えるようになっています。右翼が経産省の意向に乗っているのか、経産省がやらせているのか、ここは微妙ですが、ほぼ一体となってテントに対する脅迫とイヤガラセが繰り返されています。右翼は「(経産省が)撤去させられないなら、俺たちがやってやる!」ということであり、経産省はその勢いに迫られてか、テント周囲にバリカーなるもので鎖を張って「関係者以外の者の立入禁止」等の札を貼り巡らせました(11月12日)。前日11日の雨中の圧倒的な人間の鎖に対する報復でしょうか。同日20時過ぎにはまた右翼がやって来て、一触即発の状況もありました。
 私たち「テント共同ひろば」は、経産省の前の公共空間にテント等を建てて、様々な訴えを行う正当な権利を有し、市民的義務があるさえ思います。したがって、いかなる脅迫イヤガラセに対しても、自らテントを引き上げるようなことはあり得ません。
 経産省は再稼働できないままいくと、来年の4月には大きな政治的危機を迎えることになります。簡単に再稼働出来ないことと簡単にテントを撤去出来ないことは似ていますが、脱原発の大きな市民的国民的うねりがあるからです。ここにも政府や経産省の本音と建て前の矛盾があります。
 私たち経産省前テント広場は60日余にわたって皆様からの暖かい励ましの力を頂いておりますが、脱原発・反原発の思う全ての市民の皆様に改めて「経産省前テントひろばを真に共同の場として守り抜くために、様々な力をお寄せくださいますよう」呼び掛けたいと思います。

 2011年11月13日(日曜)
         経産省前テントひろば代表 淵上太郎

以上、転載終。


コメント

 今年から来年にかけて、天皇アキヒトは死ぬ。近い将来、天皇代替わりの儀式がおこなわれる。次の天皇が具体的な政治介入を試みるとするならば、それは東電事件にかかわる問題になるはずだ。
この事件について膠着状態に陥った日本権力機構は、誰かの決裁を待ち望んでいる。決裁とは、線引きをすることだ。年間被曝量の許容量、避難区域と除染区域の線引き、食品流通の基準値、これらの線引きを決定することである。もしも先代の天皇ヒロヒトが生きていたら、この難儀な問題にまよわず口出しして、非公式の(法外の)決裁を発動しただろう。そしてヒロヒトの決裁が、日本権力の諸グループに統制を与え、民衆の求心力を回復したはずだ。
私たちにとって幸いであったのは、アキヒトにはそんな矢面に立つ根性はなかったということだ。彼はただ福島をうろついて、自ら体調不全を示しただけだ。しかし、天皇代替わりの機会に、次の天皇がでしゃばってこないという保証はない。だから、私たちが急がなければならないのは、天皇が何かを言う前に、民衆自身の手で線引きを確定すること、具体的な線引きを既成事実にしてしまうことだ。
いま経産省前の座り込みが示し続けているのは、国家の無秩序と民衆の秩序との対照である。日本権力の決裁を待たず、いちはやく別の秩序を生み出しつつある「われわれ」を、テントひろばは示している。法の無秩序に、法外の秩序が対置されているのである。これは、座り込みをしている人々がどういう意図であるかとは関係なく、事実行為としてそうなのだ。
 右翼が怒っているのは、とてもよいことだ。奴らをもっと怒らせてやろう。

市民放射能測定センター

Cラボ(市民放射能測定センター)での測定結果が公表された。


8月 http://tokainet.wordpress.com/hsc/re/201108-2/
9月 http://tokainet.wordpress.com/hsc/re/201109-2/
10月 http://tokainet.wordpress.com/hsc/re/201110-2/
11月 http://tokainet.wordpress.com/hsc/re/201111-2/

 これでようやく態勢が整った。

 注目のポイントは、測定時間。
 自慢じゃないが、いや、これは自慢なのだが、NAIで6時間(360分)も時間をかけて念入りに測定しているのは、全国を探してもそうはないと思う。検出限界5ベクレルまで測ってくれと言われたら、本気でやる。もう電源はいれっぱなし。忙しいときは、夜中に起きて車で測定所に行き、検体を入れ替えて、帰って寝るという、つきっきり状態である。おそらく業者ではできない、頭に血が上ったボランティアにしかできない力業だ。
 どうだ、すごいだろう。
 東京電力は首を洗って待て。

2011年11月3日木曜日

企業移転

焦点/福島去る企業続出/原発風評で取引支障

 福島第1原発事故による風評被害を嫌い、福島県外に拠点を移す企業の動きが相次いでいる。スポーツ用品販売大手のゼビオ(郡山市)が本社を県外に移転する方向で検討していることが明らかになり、他にも複数の企業が県外に拠点を移したか、移転を決めている。原発事故は収束の見通しが立たず、企業流出が止まらずに産業空洞化が進む可能性がある。

<寝耳に水>
 「まだ何も分かっていない」
 26日に郡山市役所であった市の記者会見。ゼビオの移転に関する記者の質問に対し、角田武彦商工観光部長は移転話は寝耳に水で、情報収集にも至っていないことを明かした。
 同社が移転検討を始めたのは3月の原発事故から間もなく。海外取引先を中心に、商談を避ける傾向が強まった。放射能汚染を起こした原発がある県に本拠地を置くことで、負の印象が深まるのは不利と判断。福島県から離れる方向で、仙台から東京にかけた地域で移転先を探している。
 放射能に対する海外の視線は厳しい。板金機械製造のトルンプ日本法人(横浜市)はドイツ本社の意向で、福島市の福島工場を8月で一時閉鎖した。海外での営業、輸出に支障が出たという。
 福島工場には約15人の従業員がいて、大部分は日本法人本社に転勤したが、数人は異動に応じずに社を去った。

<海外敏感>
 日本法人は「ドイツは原発事故に敏感。福島から逃げ出すような形で生産を中止するのは嫌だったが、本社の決定に従うしかない」と打ち明ける。
 食品トレー製造の中央化学(埼玉県鴻巣市)も風評被害を理由に田村市の東北工場の操業を休止し、生産機能を埼玉、茨城、岡山県などの工場にシフトした。
 「取引先のスーパーやコンビニエンスストアから放射能を懸念する声が出た。食べ物に関する製品で消費者の不安に直結する。原発事故が収まらない限り、操業は無理だ」と塚越通永常務は話す。
 東北工場の従業員約100人のうち約80人は他工場に異動し、残りは転勤を望まないなどの理由で退職した。
 原発事故による労働力不足で生産拠点の主力を移したのは衣料製造販売のエスポアール(田村市)。本社工場を縮小し、市内の系列2工場を閉鎖。5月に新潟県阿賀野市に新工場を開設した。
 約120人の従業員の3分の1を中国人実習生が占める。同社によると事故後、本国から退避命令が届き、全員が帰国した。本社工場は原発から三十数キロ地点にあり、操業を再開しても戻る可能性はなく、移転を決めた。
 新潟県の新工場には、帰国した実習生のほぼ全員が復帰。結果的に福島からの離脱が労働者のつなぎ留めにつながった。
 佐久間孝志社長は「外国人は日本人以上に放射能を恐れる。実習生が戻る状況を早くつくる必要があり、移転はやむを得なかった」と苦渋の決断だったことを強調する。

<曇る表情>
 田村市は一部が警戒区域に指定されているが、市役所前の放射線量は毎時0.14マイクロシーベルト(29日現在)と比較的低い。それでも風評被害は深刻で、中央化学とエスポアールを含む製造業4社が生産機能の全部か一部を県外に移し、それに伴って約50人が職を失った。
 震災関連の特別委員会を設けた田村市議会の菅野善一議長は「雇用が失われ、人口は減る一方だ。企業には必ず戻ってきてほしいと要請しているが、状況は変わらない」と表情を曇らす。

◎福島苦境/税収減、雇用縮小の恐れ/県、助成などの防止策

 民間シンクタンクの福島経済研究所(福島市)が福島県の企業を対象に7~8月に実施したアンケート(複数回答)によると、福島第1原発事故の影響を受けても「県内から移転しない」と答えた社が55.8%に上り、現時点では「踏みとどまる企業」が多数を占めている。
 ただ、中身を見ると「移転も考えているが、従業員の雇用、取引先との関係を思うと離れられない」(卸・小売業)、「製造業と違って他地域、外国への移転は不可能。県と一蓮托生(いちれんたくしょう)、生存を図る以外にない」(農業関連業)と、「離れたくても離れられない」経営者心理が浮かぶ。
 企業が本社移転すれば地元自治体は税収減の打撃を受ける。ゼビオ(郡山市)は2010年度、計41億2900万円を納税した。うち一定額が地方税として納められ、本社移転すると、福島県と郡山市は有力な税の収入源を失う。
 経営拠点の流出は雇用縮小も招く。ビルメンテナンスの東武(南相馬市)は、仙台市の東北支店を本社に格上げして11月に移転することを決めた。それに伴い、パート労働者も含めて約150人いた本社従業員を3分の1に減らした。
 「原発事故で本社の受注が激減し、移転と従業員の解雇に踏み切らざるを得なかった」と中島照夫社長は苦しい胸の内を明かす。
 福島県は企業流出を食い止めようと、助成制度や空き工場の紹介などの対策を講じている。第1原発から20キロ圏内の警戒区域の富岡町に立地する精密プラスチック製造業者が県の制度を使って相馬市に移転し、県外流出を避けた例もある。
 だが、行政の流出防止策も、原発事故の風評被害の猛威からすれば「焼け石に水」の印象を拭えない。県は地元にとどまる企業の税の優遇措置や規制緩和を盛り込んだ特別立法の制定を国に要請しているが、原発事故から7カ月半たっても法制化されていない。
 福島経済研究所の高橋宏幸研究員は「現時点では県内に踏みとどまっている企業も、放射性物質の除染が進まず、風評被害で売り上げが減り続ければ移転を検討することもあるだろう」とみている。


河北新報 2011年10月31日月曜日

http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20111031_01.htm


福島から移転しないと答えた企業は55.8%。約半数の企業は移転を考えているということだ。
愛知県にも毎月一社のペースで製造業が移転してきている。自動車などの輸出産業が、中間部品の汚染を嫌うからだ。
この動きは今後も加速して、列島の人口構成を変えるだろう。

2011年10月27日木曜日

東海第二原発でわりと深刻な事故

漏れた水は22・4トン 東海第2原発

 定期検査中の東海第2原発(茨城県東海村)で原子炉圧力容器内の放射性物質を含む冷却水が格納容器に漏れた事故で、日本原子力発電は26日午後、漏れた水は約22・4トンと明らかにした。格納容器内のタンクにたまった水量を確認した。

 水に含まれていた放射性物質は1リットル当たり400ベクレルで、日本原電は「濃度は限りなく低い」と説明。原子炉の燃料は使用済み燃料プールに移してあったが「燃料がなかったとはいえ、重大な事象だと受け止めている」とした。

 日本原電によると、26日午前10時20分ごろ、格納容器の下部で水漏れを示す警報が出た。圧力容器に制御棒駆動装置を取り付ける際に、水を止める板のねじを誤って緩めたのが原因で、男性作業員4人が水をかぶったが被ばくは確認されていない。
2011.10.26 14:03 産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111026/dst11102614040012-n1.htm

 東海村で冷却水漏れ。
 「格納容器内のタンクにたまった水量を確認した。」というのが怖い。

2011年10月26日水曜日

福島を再生させるな(できないし)

 野田政権のスローガンは「福島の再生なくして日本の再生なし」だ。
東京電力と国際原子力産業にとっては満額回答だな。
 しかしそのための代償を支払うのは、いったい誰なのか。このできもしない無責任な「再生計画」のために、東京電力はいくら金を用意したというのか。奴らがやっていることは、自分たちの罪をうやむやにするために、ひたすら「大丈夫、問題ない」と繰り返しているだけではないか。
 「福島再生」などという号令につき従って1円でも使ってはならないし、1ベクレルも被曝してはならない。福島はもう消滅した。除染は失敗し、2年後にはあらゆる公共サービスが機能しない巨大な限界集落になる。この惨劇が誰の目にも疑いなく認識されてはじめて、ごまかしのない未来の展望が議論できるのだ。
 福島の壊滅なしに、日本の再生はない。

2011年10月24日月曜日

柏市のホットスポット

千葉・柏の高線量地:側溝破損、雨水漏れ 原発由来セシウム、蓄積
 千葉県柏市根戸(ねど)の市有地で採取した土壌から1キロ当たり最大で27万6000ベクレルの放射性セシウムが検出された問題で文部科学省は23日、現地調査を行い、東京電力福島第1原発事故で放出された放射性セシウムを含む雨水が現場の側溝から外に漏れ出し、土壌に染み込んで蓄積された可能性が高いとの調査結果を明らかにした。汚染土壌の投棄といった人為的な要因は否定され、原発事故そのものの影響の広がりが示された形だ。柏市は文科省と協議し、除染の方法を検討する。【早川健人】(毎日新聞10月24日)

 このニュースでわかったのは、地表に降下した放射性物質が地中で蓄積されることがあるということだ。雨が地表の物質を地中に運んでくれたわけだから、土ぼこりによる呼吸内部被曝を懸念する私にとって、これはちょっと朗報だ。しかも蓄積したのが276000 Bq/kgという高濃度である。これはいけるかもしれない。
 柏市の地表に降下したブツがどれくらいなのか推測してみると、柏市の空間線量はだいたい0.5μSV/h前後だから、自然放射線の分を差し引いて0.4μSV/h。このうちの半分、0.2μSV/hが地中のブツからの放射線だとすると、平米あたりで56400 Bq/㎡、キロあたりで867 Bq/kg程度が降り積もっていると思われる。この推測が正しければ、問題の側溝は、セシウムを約300倍にまで濃縮してくれたことになる。これはひょっとして、天然のフィルターになりうるのではないか。
 文科省と柏市は急いで除染なんかしないでほしい。この土地はしばらく立ち入り禁止にして、今後どれぐらいブツが濃縮されるのか観察してみる価値がある。あとどれぐらい伸びしろがあるのか。セシウムを吸着しやすいように粘土を投入してみるというのもありだ。どうせ使ってない土地なんだから、ちょっと実験してほしい。
 住民はどうするのかって、もちろん退避だ。もう住めないよこんなところは。

2011年10月23日日曜日

震災がれきは福島第一に

 もうあらためて論じる余地もない話なのだが、太平洋沿岸部に積まれている震災がれきは、アスベストや重金属や放射性物質が付着していて、とても一般の処分場に持ち込めるものではない。
これらはすべて、福島第一原発から20km圏の土地に集積するしかない。
福島・茨城の2県は、除染に無駄な金を投じるのではなく、住民に賠償金を分配して、退避を促すべきだ。

こうして原子力産業は、火事場泥棒のようなやりかたで放射性廃棄物の処分場を手に入れたことになる。

2011年10月21日金曜日

長野県安曇野市からセシウム検出

 京都の登山愛好家が、長野県安曇野市の計測データを送ってくれた。
「東京砂場プロジェクト」のサイトでは長野県まではフォローしていないので、ここで報告する。

国営アルプスあづみの公園(入口)        0.15 
国営アルプスあづみの公園脇(ウエストン像の裏) 0.19
常念ふれあい公園 (木製のデスクの下)     0.20
常念ふれあい公園 (水場の砂地の部分)     0.19
文化公園     (砂場なし、公園中央の地面) 0.11 
豊科中央公園   (砂場)           0.22
かじかの里公園  (砂場なし、ジャングルジム下)0.20
北城公園     (砂場なし、ゲートボール場) 0.18
町尻公園     (砂場)           0.19
(単位はマイクロシーベルト毎時)
計測日 10月6・7日、機種 RADEX RD1503

国営アルプスあづみの公園には、近代登山の開拓者ウエストン氏の胸像がある。


ここから落ち葉1.3ℓを採取。NaIシンチレーションスペクトロメータにかけたところ、セシウムが検出された。
セシウム137  24.9 Bq/kg
セシウム134  21.7 Bq/kg
合計で46.6 Bq/kg、平米換算で、3029 Bq/㎡ という結果だ。

安曇野市は松本市の西側、常念岳のふもと。群馬県から流入した放射性物質は、上田市と松本市をこえて、北アルプスの手前で安曇野に降下したと思われる。常念岳の西側、上高地がどうなっているかは、まだわからない。誰かサンプルをください。

2011年10月19日水曜日

『at プラス』って雑誌に書いた

 『at プラス』(太田出版)という雑誌から原稿依頼があったので、書いた。
 最近は食品・土壌の測定で忙しいので最初は断ろうかと思ったのだが、太田出版には以前、原稿をすっぽかして不義理を働いているので申し訳ない気持ちもあったし、なにより原稿料が良さそうなので書いた。

 最初は夏休みの宿題のような消極的な気分だったのだが、原子力資料情報室と原水禁に対する批判を書いたあたりで、スイッチが入った。なにが問題なのか自分の頭を整理しながら、小出裕章に対する批判を展開したあたりでグイグイ筆がのっちゃって、こりゃおもしれえやこのままたんぽぽ舎について嫌味のひとつでも書こうか、というあたりで自制心が働いてやめた。たんぽぽ舎については書いてません。でもまあ、だいたい言いたいことは言った。
 
 クラウディア・フォン・ヴェールホフという世界資本主義論の理論家は、1986年のチェルノブイリ事件の直後に文章を書いている(『チェルノブイリは女たちを変えた』)。そこでヴェールホフは、事故当時、役割を期待された既成左翼がいかにダメダメだったかを強く批判しているのだが、いま私はその気持ちがわかる。ヴェールホフが何に怒っていたのかが、とてもよくわかる。反原発(反核)運動のあーあって感じは、もともとそれほど期待はしてなかっし、彼らにすべてをおんぶするつもりもないのだが、でもこの期に及んでこれはあんまりじゃないかということがいくつかあって、まあその内容は雑誌で読んでください。
 発売日は確認してないけど、たぶん11月10日ごろの予定です。

追記 
 ところで2~3日情報をチェックしていなかったのでいま知ったのだが、都知事の石原慎太郎はもうすぐ棺桶だね! 敵失だけどちょっとうれしい。

2011年10月12日水曜日

測定計画のためのメモ

今日は土壌3検体と食品1検体を測定した。
測定依頼は順調にのびていて、一週間ほど先まで埋まっているが、測定ボランティアの人たちは士気が高い。やるきまんまんだ。
 作業しながら、食品と土壌の検査についてどう考えるかの考え方を考えてみた。
とりあえず以下の式。

土壌のセシウム濃度 × ( 作物ごとの移行係数 - 栽培方法による低減 ) = 食品中のセシウム濃度

という式が成り立つ。大気中の放射性ガスや塵がないものとして考えれば、だいたいこういうことになるだろう。
で、これまでの知見で数値として解っている(またはこれから解明される)のは、「作物ごとの移行係数」と「栽培方法による低減」だ。いま測定しているのは、式の両端にある「土壌のセシウム濃度」と「食品中のセシウム濃度」がどうなのかということなのだが、これらはそれぞれ測定の動機が微妙に違う。
 土壌のセシウム濃度を調べるとき関心の対象になっているのは、農作業における内部被曝、土木建築等屋外作業の内部被曝、近隣住民とこどもの内部被曝だ。
 食品中のセシウム濃度を調べるときの関心は、消費者の内部被曝、農家の経営、流通業者の経営である。
 市民放射能測定センターが「市民」というとき、それは政府機関ではないという程度のおおまかな意味だから、いろいろな動機が同居していて、どれもアリだ。センターの主力となっている名古屋生活クラブは食品検査に関心が高く、ボランティアスタッフをやっている私はがぜん土壌派だ。
 というなかでいま、測定計画のれじゅめを用意しなくちゃならないのだが、こりゃ議論の設定が大変な予感。

2011年10月7日金曜日

文科省の航空機モニタリング測定結果をどう考えるか

10月6日、文部科学省は東京都・神奈川県の航空機モニタリング測定結果を発表した。

「文部科学省による東京都及び神奈川県の航空機モニタリングの測定結果について」

山間部を除く大半が、「10000Bq/㎡以下」となっている。
他方で、文京区では次のようなニュース。

小学校の堆肥が基準値超え 東京・文京区

 東京都文京区は6日、区立根津小学校の落ち葉でつくった堆肥から、国の暫定基準値(1キログラム当たり400ベクレル)を超える1488ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。
 文京区はすべての区立小中学校と幼稚園に対し、堆肥を肥料として使用せず、児童らが直接触れることがないよう注意喚起した。
 文京区によると、9月下旬に根津小の堆積場から採取した堆肥を測定。校内の花壇で使用するためにつくったもので、流通はしていない。

2011.10.6 16:24 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/life/news/111006/trd11100616250013-n1.htm

1488Bq/kg を平米あたりに換算すると、

1488 × 65 = 96720Bq/㎡

文京区では落ち葉の堆積する地表で、96720Bq/㎡ になっている。
航空機モニタリングの結果と比較すると、その差は約10倍にもなる。
これをどう考えるか。
1、航空機モニタリングが嘘
2、文京区の調査が嘘
3、航空機からの測定結果は数字を平均化しているので、実際の地表には10倍程度のホットスポットがあちこちにある。

 以前から多く人が指摘していることだが、放射性物質の拡散・堆積は、地表面に非線形の複雑なモザイクを形成している。事態を正確に再現するためには、航空機ではなく地面を歩いて、丹念に調べなくてはならない。
 航空機は無視してよい。調べる人はどんどん調べ、退避できる人はどんどん退避したほうがいい。

追記
 平米換算の式は、地表5センチの土の体積から求める。
100㎝×100㎝×5㎝=50000立方センチメートル = 50ℓ
50ℓの土の重量は、比重が1.3と仮定して、50×1.3=65kgになる。
実際には、葉っぱの比重はもっと小さいし、葉っぱだけで5㎝の厚みをもつことは(すくなくとも東京では)ありえないので、96720Bq/㎡という予想はちょっと大きすぎる。ただしここで問題にすべきなのは外部被曝ではなく内部被曝なので、論旨としては同じことだ。広大な領域を平均化した数字など、なんの意味もない。

2011年10月5日水曜日

関東脱出

千葉県柏市で活動していた「柏の子どもたちを放射能汚染から守る会」が、活動を休止した。

http://kashiwamoms.wordpress.com/

会員の多くが柏市を離れ、現在の代表も脱出を決めたという。
この団体とは面識も交流もないが、まったく正しいと思う。
柏市のグループにならって、多くの人が関東を脱出することを願う。
もし愛知県に移転するなら、諸手を挙げて歓迎します。
放射線測定を手伝ってほしい。

追記
 もしかしたら知らない人がいるかもしれないので書いておくが、放射線障害は治らない。
具合が悪くなったら最後、その日からずっと死ぬまで体調不全を抱えることになる。
不治の病というのは、人間の理解を超える。
いまこう書いても信じられない人が多数だろう、ということは、放射線障害を抱えた人間にとって、寄り添ってくれる理解者はほとんどいないということだ。他人の同情は一時だけ、長く闘病が続けば、家族からも疎ましがられることになる。
一般的に「被曝者は性格が歪む」と言われるのは、彼らが味わった孤独のためだろう。
体調が悪くなってからでは遅い。
元気なうちに避難してほしい。

2011年9月30日金曜日

ヨウ素と鉛について

C-ラボ(市民放射能測定センター)で、検体の土壌からヨウ素を検出した。精査した結果、これは機械の誤作動だった。おそらくゲルマニウム半導体式では発生しない、NaIシンチレータならではの誤作動だ。何がどう誤作動なのかをメモしておく。

 まず機械の話から。
 NaIシンチレーションスペクトロメーターは、NaI(ヨウ化ナトリウム)の結晶を利用した測定機である。ヨウ化ナトリウムは、ガンマ線が差し込むと発光する。また、ガンマ線の強度に応じて、発光の強度も変わる。強い放射線と弱い放射線を別のものとしてカウントし、それぞれの強度が何カウント出ているかを記録することで、スペクトルのグラフを描いていく。
核種が発するガンマ線には、核種ごとに固有の強度があって、keV(キロ・エレクトロンボルト)とかMeV(メガ・エレクトロンボルト)という単位であらわす。放射性ヨウ素(I-131)は、364.48keVのガンマ線を出すので、この強さのガンマ線がカウントされていくと、グラフの360近辺にぐんぐん山ができていって、「ああこれはヨウ素があるんだな」ということになる。
問題は、機械の精度がわりと大雑把というか読み取る幅が広いので、350keVのカウントも370keVのカウントも、「だいたい360keV」とみなして計算してしまうことだ。

で、「ヨウ素検出」となった土壌のスペクトルをよく見ると、山のピークがちょっとだけ左にズレている。ヨウ素のピークは364keVにあるべきなのだが、検査結果のスペクトルは350keVあたりに山ができている。これは、鉛の強度である。Pb-214(鉛214)の強度は352keVなのだが、どうやらこの鉛の山をヨウ素131の山と誤認したようだ。この推論を裏付けるのは、350keVの山のさらに左、240keVあたりにもっと高い山がぐんぐんできていて、この強度もやはりPb-214の発するガンマ線(242keV)なので、「この土けっこう鉛っぽい」という結論になった。(240keVあたりの山がばかみたいに高いのは、もしかすると別の鉛Pb-212(239keV)も混ざっているのかもしれない)

整理すると、
I-131の山  364keV
Pb-214の山  352keV、242keV
Pb-212の山  239keV
ということなので、
NaIが「ヨウ素検出」という結果を出したときは、まず240keVあたりに山がないかどうか確認したほうがいい。鉛っぽい山ができていたら、誤作動の可能性あり。

追記
 この鉛214は、ではどこから来たのかというと、ラジウムが崩壊して生まれる。
ラジウム226(半減期1600年)→ラドン222(3.824日)→ポロニウム218(3.1分)→鉛214(26.8分)。
鉛214が崩壊すると、ビスマス214とかタリウム210とかもろもろあって、鉛210(22.3年)を経て、最終的に鉛206で安定する。





おまけ(本文とは関係ありません)

2011年9月27日火曜日

砂場のサンプルをください

未来につなげる東海ネットが準備してきた「市民放射能測定センター」が正式に開所した。
NaI(TI)シンチレーション・スペクトロメーター1台を設置し、
土壌・水・食品・尿などから、
ヨウ素131・セシウム137・セシウム134の核種分析を行う。

一検体につき、検出限界10Bq/kgなら2000円、検出限界5Bq/kgなら4000円で受け付けている。
10名を超える測定ボランティアが毎日交代で検査をし、検査結果の書類も作成してくれる。

http://tokainet.wordpress.com/hsc/sokutei/
http://www.ustream.tv/recorded/17728167
これまでは小さな空間線量計を頼りに、なかば途方にくれていたが、これでようやく闘う態勢ができた。
首都圏の被曝被害をうやむやにさせないために、私たち自身の手で被害の証拠を記録し、問題を告発し、争うための準備を進めなくてはならない。
砂でも尿でもどんどん送ってください。砂は地表5cmを1リットル、尿は5リットル(矢部がコンロで濃縮します)。
どんどん測定するよ!



追記
 砂を依頼するときは、検出限界10Bq/kg(2000円)でお願いします。5Bq/kgを測るには一検体6時間程度かかるので、順番が後回しになってしまいます。10Bq/kgなら60分~90分でさっさと結果が出ます。関東の砂は10分程度でスペクトルがきれいに出てくるので、30分でもいいくらい。どんどん結果を出していけます。

2011年9月21日水曜日

名古屋のデモは盛況、しかし平熱が高い

 19日の「さよならげんぱつ」集会・デモ、名古屋では2000人の参加者で、栄の大津通りを歩いた。実行委は念入りに準備して臨んだつもりだったのだが、やはり2000人規模のデモをするにはどうしても人手が足りない。警察に悌団ぎりされたあげくシレッと指揮官車を入れ込まれたので頭にきて厳重抗議したが、一人で指揮官車に怒鳴りちらすのって、ちょっとかっこわるい。リスクもあるし。若くて馬力のある人間とか、デモ勘のある職人的な活動家が、もうちょっと必要だ。久々のデモで走り回ったので、足をつりそうになった。



 デモの翌日、体が熱いので体温を測ってみた。36.5℃。
今日も測ってみたが、やはり36.3℃。
体調が悪いわけではないし、良いわけでもない。
以前と同じように寝不足で小食でタバコを40本すって不摂生を続けているのだが、なぜか体温が高い。
 平熱が高くなっているようだ。

2011年9月15日木曜日

千葉県船橋市 小栗原東公園

船橋市の山の手緑さんから砂を送ってもらった。
地下鉄東西線・原木中山駅の裏側にある小栗原東公園の砂場から、地表5cmの砂1リットルを採取し、名古屋に送ってもらった。
 測定センターにあるNaIシンチレーションにかけたところ、

セシウム137 99.7Bq/kg
セシウム134 88.0Bq/kg
ヨウ素131  不検出(検出限界15Bq/kg)

という結果が出た。
 セシウム137と134をあわせて、187.7ベクレル/キログラム。
 これを平米あたりに換算すると、

187.7 × 65 = 12155Bq/㎡

 これを線量率にすると

12155 ÷ 282000 = 0.043μSV/h

ということになる。
 小栗原東公園の砂場は、放射性セシウムの二種合計で、0.043μSV/hの放射線を浴びせている。サンプルの砂に分析結果を添えて、船橋市公園課に送ろうと思う。


 さて、ここからが本題だ。
 関東の自然放射線は年間約1mSV/yだから、時間当たりでは、0.11μSV/hである。
これにセシウム二種合計の0.043μSV/hを加えると、

0.11 + 0.043 = 0.153μSV/h ということになる。

 で、小栗原東公園の砂場表面の線量率が0.153μSV/hかというと、実際は違う。
砂場表面にガイガー―ミュラー管の計測器を置くと、0.2μSV/hという数字になる。
その差は、

0.2 - 0.153 = 0.047μSV/h だ。

 核種分析で得たセシウムの量と同じぐらい、不明なものがある。
 これは二つの要素が考えられる。
1、大気中の放射性物質(ガスや塵)をカウントしたもの。
2、砂に堆積したセシウム以外の放射性物質から、ガンマ線・ベータ線をカウントしたもの。

 仮に、大気中の放射性エアロゾルが無視できるほど少ないなら、セシウム以外の核種(ストロンチウム等)を推定できるのだが、千葉県はな、難しいんだよな。
 まだまだ手探りは続く。

追記 
 ちなみにこの砂から出たカリウム40の量は、310Bq/kg。線量率で0.07μSV/hになる。これを自然放射線0.11μSV/hにコミで考えてよいのか、少しはみだしているのかはわからない。もしかしたら、砂自体がもつカリウム40が過剰でバックグラウンドをおしあげている可能性もあるので、ここは検証が必要かもしれない。ストロンチウム推定までの道のりは長い。

2011年8月29日月曜日

水分について

 名古屋で開設される「市民放射能測定センター」で、測定ボランティアの養成講座を受けてきた。
 ここで導入されている測定機はNaIという方式で、ゲルマニウム半導体式と比べると厳密さで劣るが、計測値をノートパソコンで自動計算してパッパと出してくれるので、われわれ素人にも扱いやすい。10分間の計測で30ベクレル、90分かければ10ベクレル(核種ごとの検出限界)まで計測できるということなので、大量の品目を短時間でおおまかに見ていくのに適している。

 講座の実習では、野菜をフードプロセッサーで粉々にして、試料のケースにぎゅうぎゅう詰めてという作業を教わったのだが、これがけっこう難しい。ケースの容積にみっちり詰めるといっても、これはちょっと考えこむ作業だ。
 牛乳などの液体はそのまんまでいいのだが、茶葉なんかはどうするのかという問題がある。茶葉そのままだとどうしても空気が入って密度が下がり、粉末にしてぎゅう詰めした場合よりも2割ぐらい数値が違ってしまう。しかしこれはまあ粉砕すればよいのだから、まだ解決できる。
 問題は野菜だ。私が実習で与えられた課題はズッキーニだったのだが、こういうウリっぽい野菜は粉砕すると水分が大量に出てしまう。そうなるとどうしても水分を絞りたくなる。水分を絞っていくと、おそらく数値は上がる。これは静岡県産のお茶が検査されたときに、生の茶葉と乾燥させた荒茶とで数値が大きく変わってしまったことで知られている問題だ。私としては、放射性物質があるかないかをとことん知りたいから、できるだけ水分を絞って密度の高い状態にして測りたい。しかし、実際にズッキーニをカラカラにして食べる人はいないわけで、水分を絞る作業に意味があるのかという疑問もある。ここでいまちょっと悩んでいる。
 
 水分の問題は、土壌調査にも関わってくる。
 土壌調査では、地表面の土を掃き集めるか、地中まで掘ってサンプルにするかで、数値が大きく変わる。これは地表面に放射性物質が多く降り積もっているためなのだが、これに加えて、地中まで掘ってしまうとサンプルの水分率が高くなるということがある。測定されるベクレルの数値は、分母が重量なので(Bq/kg)、乾いた砂と湿った土とを同じ土俵で比較するのはちょっと無理がある。しかし検査機関はそのへんを曖昧にしてくれるので、どういうサンプルであれ数字を出してくれるのが現状だ。
 本当は、Bq/kgという数字の横に、水分率何%と併記しないと、ちゃんと比較できないんじゃないかと思う。あるいは、有機物については水分率○○%、土壌については水分率○○%で測定することとか、そういう規則をつくらないとだめなんじゃないか。とにかくいまの測定方法では、サンプル採取・作成が自由すぎて、いくらでも恣意的な数値がとれてしまう。

 というわけで、いま猛烈に水分計がほしい。これがまた高いんだけどね。

追記
 野菜の測定について考え方としては2つあって、一つは消費者の防護を主眼にする場合、一つは生産者の防護を主眼にする場合だ。生産者の防護は、基本的には土壌調査によっておこなうべきだろうが、それができない場合は生産物を通して間接的に調べることになる。生産者の健康被害を念頭に置くならば、できるかぎり野菜の水分を絞ってカラカラにして測定するべきだと思う。

おまけ


もひとつおまけ

2011年8月20日土曜日

名古屋で反原発


 名古屋の反原発運動の会議(デモの実行委会議)に参加してきた。
 デモは三つのグループにわけて、最後列にサウンドシステムが組まれることになった。
 東京とは違うなあと思ったのは、車が豊富なこと。レンタカーを予約するまでもなく、5台でも10台でも手弁当で調達できてしまう。運転手も、東京では免許所持者が少なくて調整に苦労するが、こちらでは基本的に全員が運転手。さすがクルマ社会の名古屋だ。

 名古屋の反原発デモは9月19日。前の週の11日は、岐阜や四日市などでデモがある。
 マニア的に衝撃だったのは、四日市の「脱原発を訴える四日市市民の集い」。代表は熊沢誠氏。「えー! 熊沢誠って現役でやってんの!」と声を上げた(失礼)。

2011年8月13日土曜日

風評被害について

 京都の送り火に陸前高田市の薪を使うかどうかという問題は、検査の結果、薪からセシウムが検出されたことで、使用しないことになった。(8月12日現在)
 この問題では京都の保存会や放射性薪の危険性を訴える人々に対して、いわれのない誹謗・中傷がくりかえされてきたわけだが、薪にセシウムが付着しているという予測は完全に的中していたわけで、この間「問題ない」と言い続けた新聞社とNPOは土下座して謝るべきだ。

 これは「安全」を主張する者たちが言うのとは別の意味で、風評被害だ。
 いま起きている事態を的確に捉えている者たちと、何も理解していない者たちがいて、事態を見据えている有能な人間を阿呆扱いするとはなにごとか。有効な指摘・予測・プランを、なんの根拠もなく「考えすぎ」扱いしたあげく、まるで有害な意見であるかのように誘導するのは、風評だ。
 これこそ風評被害だ。

 私はこの間、首都圏が低線量被曝地帯になったことを繰り返し書いてきたが、まともに信じない者がいて驚いた。そのあげく、「それはちょっとおおげさじゃ(苦笑)」みたいな態度にでられて、ほんと頭にきてる。
 『現代思想』誌の震災特集(5月号)に書いた文章についても、アマゾンの素人レヴュアーに「くるってる」とか書かれて、もう頭にきた。これは私の欠点かもしれないが、自分より無能な人間に無能扱いされると、どうにも我慢ができない。私は一応アタマのデキの良さ(まあソコソコだけどね)を買われてモノを書いているわけで、根拠もなく阿呆扱いされるのはけっこうなダメージである。真面目にコツコツ文章書いてるのに、混ぜ物して書いてる奴らより信用されないって、どうよ。どうなのよ。

 ま、こんなとこで吠えても仕方ないのだが。
 今日は愚痴だ。

2011年8月11日木曜日

『ヒロシマ ナガサキ ダウンロード』

『ヒロシマ ナガサキ ダウンロード』

在米の被爆者を訪ね証言を集めていくロードムービー。
先月、渋谷の試写会で観させてもらったが、とてもよい。
これから劇場公開が始まるので、ぜひ観てほしい。


2011年8月10日水曜日

篠原雅武×酒井隆史×矢部史郎の鼎談

 いま出ている『図書新聞』(2011-8-13号)で、鼎談をやらせてもらっている。
「生活空間の〈荒廃〉をめぐって」という記事。

 話しているのは、最近『空間のために』を出した篠原雅武氏(都市論・政治理論)、近刊『通天閣』を準備している酒井隆史氏(社会思想・社会学)、昨年『原子力都市』を出した矢部史郎(海賊研究)。酒井氏・篠原氏は、マイクデイヴィス『スラムの惑星』の日本語訳をしたメンバーでもある。
なんだ三人とも『VOL』派の身内じゃないかと思われるかもしれないが、そうではない。『VOL』の同人はそれぞれに研究とか活動とか忙しいので、まともに顔を合わせることはめったにない。実はこうしたかたちでちゃんと話をするのは初めて。場を設定してくれた前瀬くんと須藤くん、ありがとう。

 で、内容だが、自分で言うのもなんだがけっこうおもしろい。空間の〈荒廃〉にいたる歴史的過程を俯瞰するようになっていて、酒井氏が45~60年代、矢部が70~80年代、篠原氏が90年代以降の状況を語って、話がちゃんと絡んでいる。テープ起こしした人がうまいのか、ちゃんとそういうことになっている。なんの打ち合わせもなくいきなり私が京都にのりこんでぶっつけ本番で収録したのだが、意外に話がまとまっているので驚いた。

 このブログではあまり自己宣伝しないようにしているのだが、今週の『図書新聞』は一読の価値あり。おもしろいよ。

2011年8月9日火曜日

放射能防御プロジェクトの会見

放射能防御プロジェクト(Radiation Defence Project)

 全国の土壌汚染調査をすすめている市民グループ「放射能防御プロジェクト」が、首都圏150ヶ所の調査結果(核種分析)を発表。参議院議員会館で会見を行った。ユーストリームで会見中継をみたが、大変な数字が出てきた。詳細はリンク先の表を参照してもらうとして、ポイントは、東京都心部の汚染がベラルーシの水準になってしまっているということだ。

 この夏、茨城県・千葉県からは多くのこどもが転出している。東京都中央区では保育園の待機児童がゼロになった。汚染の実態が明らかになるにつれ、関東からの人口流出は拡大していく。この冬、免疫機能が低下した状態でインフルエンザが流行し、関東脱出はさらに拡大するだろう。

追記
 アワープラネットTVが、会見の映像をアップしてくれた。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1192

2011年8月1日月曜日

海賊研究会 番外編

 直前ですが、明日、上京します。
 海賊研究会ではないが、似たようなものに参加します。

 8月2日 16時~
 東大駒場キャンパス 18号館 4階 コラボレーションルーム1
(京王井の頭線 駒場東大前)

 どういう人たちがどういう経緯でやるのかよくわかりませんが、『現代思想』誌の海賊特集の執筆者が何人か出るようです。
 公開の研究会ということなので、海賊研究者はぜひ。

2011年7月28日木曜日

農業へ

農作物の生産地を調べると、関東平野がいかに大きいかがわかる。
少し古い数字だが、2007年の都道府県別生産量から、農作物ごとの主要な産地をまとめてみた。

ほうれんそう 千葉県、埼玉県、群馬県、茨城県
ねぎ     千葉県、埼玉県、茨城県
白菜     茨城県、長野県
キャベツ   愛知県、群馬県、千葉県
きゅうり   群馬県、宮崎県、埼玉県、福島県
ピーマン   茨城県、宮崎県、高知県
レタス    長野県、茨城県
だいこん   千葉県、北海道、青森県
にんじん   北海道、千葉県

なす     高知県、熊本県、福岡県、群馬県
トマト    熊本県、北海道、愛知県
タマネギ   北海道、佐賀県、兵庫県
ジャガイモ  北海道

ほうれんそう、ねぎ、白菜、キャベツといった葉物野菜は関東が断トツ。
意外だったのはにんじんで、北海道とほぼ同じだけの量が、千葉県で生産されている。
首都圏という巨大な消費地があるのだから、当然と言えば当然なのだが。

関東平野を失うということは、関東だけでなく列島全体が食料不足に陥るということだ。
汚染されていない地域の休耕地を掘り返し、生産力を回復しなくてはならない。
私はまず岐阜県をあたってみようと思う。



追記
 ここで想定される食料不足というのは、「国民すべてが飢える」というような美しいものではない。
予想されるのは農産物価格の二極化だ。公式には食料問題など存在しないとされるなかで、安い野菜を食べる低所得世帯のこどもから被曝していくことになる。
この問題で「国民」すべてが苦しむわけではない。だから日本政府は、農業団地の建設も農産物の生産流通計画も一切をネグレクトするだろう。
 敵対する二つの階級の〈生政治〉が始まっている。

2011年7月23日土曜日

コミュニティのための闘い

 現代思想の海賊特集は、一部を除いてたいへんおもしろかった。レディカー『多頭のヒドラ』の邦訳をはじめ、近代思想の黎明期を支えた海賊たちを正当に評価しようという熱気に満ちていた。私はへなちょこなエッセイしか書けなかったのでちょっと反省している。
 この特集で、誰の論文だったかいま雑誌が手元にないので確認できないが、とても感動したのは、海賊のコミュニティ観を端的に表現した一節だ。うろおぼえで正確な引用はできないが、要約すると、自由のコミュニティはいつでも自由に参画し自由に離脱できるコミュニティである、というものだ。うん。言われてみればあたりまえのことなのだが、いや、これは、すごい。「自由」とか「コミュニティ」ということをいい加減に考えていると、こういう原則を打ち立てることはできない。やっぱ命を賭けて権力と闘った人たちは、あらわれはルーズに見えても、どこか厳格さをもっている。


 さて問題は17~18世紀の近代海賊ではなくて、21世紀の日本のどん百姓である。
 いま福島第一原発の原子力公害事件に際して、東北・関東から大量の人口が流出しているわけだが、こういう人たちに対して、敬意をはらうどころか悪しざまに罵る百姓どもがいる。小さい子供を連れて西日本へ退避している母親を、舅や姑が罵るのである。もうね。アホかと。本当なら「困難で不透明な状況だが孫のためにベストを尽くしてくれ」と激励してカネを包んでやるべきところを、逆に、「逃げてないで帰ってこい」と言うのだ。もう、なんなのか。他人の足を引っ張るなよ。こういう弱い人間が社会を腐らせるのだと思う。
 うんざりするのは、退避する者が「利己的」で、なにもせず手をこまねいて放射性大小便を垂れ流している連中が「社会的」な何かを護持しているかのような、まったく逆転した印象がつくられていることだ。あのな。利己的な人間が知らない土地に子供を連れて退避するなんて大変なことできるかよ。退避している人間は、他人の(子供の)運命に責任を強く感じていて責任を果たそうとするから、普通ならやらないようなことをやっているわけ。ところで、退避する母親を罵ったり恨み事を言ったり足を引っ張っている百姓は、なにか利己的でない立派で高尚な動機があるわけ? ないでしょ。

 ポイントは放射性物質の拡散がどのような健康被害をもたらすかではない。弱い人間はそのことで頭がいっぱいかもしれないが、退避する母親たちにとって、健康被害は一つの要素にすぎない。退避行動に賭けられているのは、自由でありコミュニティの護持である。原子力国家が要求する「受忍義務」に対して、絶対に受け容れない、絶対に譲らない、ということだ。コミュニティが一人の人間に暴力を受け容れることを要求するのなら、そんなコミュニティは解体しなくてはならない。家族も例外ではない。いやむしろ家族こそ、そうだ。家族というのは他人の集まりだから、虐待や搾取あるいは裏切りや無関心がデフォルトなのだが、この息をのむような対峙関係のなかでどのように人間的な絆を形成していくかが、家族にとって死活的問題なのである。家族という他人の集まりが自律した論理をもって人間関係を構築できるかどうか、自由を攻撃する権力に対して毅然とした態度で抵抗できるかどうかが問題なのだ。
 5年後か10年後、子供が知恵をつけたとき、2011年の東電公害事件を知ることになる。そのとき親はどう行動したのかが問われることになる。「お前は東大のいいかげんな学者を信じて私を危険な賭けに委ねたわけだな」とか「お前は自分の仕事を優先して私の健康被害に目をつぶったのだな」ということになったら、もう終わりだ。

2011年7月21日木曜日

計測器を休ませないでね

 昨日から春日井市。東京砂場プロジェクトのサイトも公開されたので、これから基本的に春日井在住だ。

 これまで、カンパで購入したRD1706と、クリラッドから貸与されたRD1503を使って、守谷市、中野区、羽生市、太田市、市川市、千葉市美浜区、八千代市の線量を計測してきた。この2台は東京砂場プロジェクト本部にあずけてきたので、東京の人たちはこれをバトンリレーしながらフルに活用してほしい。
 いま関東・東北地域では、高い放射線量におびえながら、計測機材を入手できない人たちがいる。我々の入手した3台の計測器は、一日たりとも無駄にしてはならない。計測活動もしないで飾っておくぐらいなら、福島・宮城・栃木・茨城の住民に提供すべきものだ。そこんところを踏まえて、有給をとったり仮病をつかったりして、毎日だれかが計測器を利用してほしい。
 もうおしゃべりはいらない。闘いの実際は、数字をどれだけ多く集めるかだ。
 

おまけ

2011年7月15日金曜日

東京砂場プロジェクトが本格始動

「東京砂場プロジェクト」公式サイト(β版)ができました。
パスワードなしの完全公開です。宣伝をお願いします
http://sunaba-project.com/

すでにガイガーカウンターを入手して計測している人は、
メアドを登録して、4つの項目(公園名、計測値,公園の住所、地域タグ)を入力してね。

あー、いま自分だけで勝手に決めたんだが、合い言葉は、「シンクグローバル,アクトローカル」だ。

いやパクリじゃないよ。
まじでそういうことなんだからね。

おまけ






追記 
 公式サイトが開設したので、以後、この場で計測値を並べるのはやめます。
今日は市川市からさらに東へ、千葉市美浜区と八千代市に遠征したので、ちょっとバテた。

2011年7月13日水曜日

市川南部1次計測完了、北部へ。

今日は市川市をまわった。
新井、島尻、広尾をまわって、今日で南部は1次調査完了。
南行徳駅から原木中山駅まで、市川市の南部一覧です。

市川市南部
相之川前公園   相之川1−11   砂場なし
今井橋公園    相之川1−23   0.27
はこべ公園    相之川1−5   0.26
相之川西公園   相之川1−7   0.22
ムクゲ公園    相之川1−8   0.23
相之川公園    相之川2−3   0.24
ほおずき公園   相之川3−14   0.22
南行徳公園    相之川4-1    0.17
新井公園     新井1−20    0.25
ねむのき公園   新井1−24    0.23
蟹田公園     新井2−7    0.24
北浜公園     新井3−18    0.23
チューリップ公園 新井3−28    0.35
れんげ公園    入船4      0.28
東浜公園     入船9      0.25
押切公園     押切18     0.17
けやき公園    欠真間1−3   砂場なし
柳形公園     欠真間2−16   0.25
欠真間公園    欠真間2−4   0.24
香取公園     香取1−5    0.2
あじさい公園   香取2−11    0.25
新宿前公園    河原9      0.23
南根公園     行徳駅前1−15  0.35
つきみそう公園  行徳駅前1−9  0.33
弁天公園     行徳駅前2−19  0.22
南沖公園     行徳駅前3−4  0.3
もくせい公園   行徳駅前4−26  0.25
東根公園     行徳駅前4−4 0.19
あざみ公園    高谷2−7  0.15
信篤公園     高谷2−8  砂場なし
幸中央公園    幸1−1   砂場なし
すすき公園    幸2−10   0.25
やまもも公園   幸2−11   0.22
行徳南部公園   幸2−4   砂場なし
まんりょう公園  幸2−5   0.21
せんりょう公園  幸2−6   0.23
つわぶき公園   幸2−8   砂場なし
塩浜中央公園   塩浜4-2   0.25
塩の花公園    塩焼1−14  0.32
浜道公園     塩焼2−12  0.22
サルビア公園   塩焼2−2   0.26
みこし公園    塩焼3−10  0.24
つばき公園    塩焼3−9  砂場なし
モッコク公園   塩焼4−10  0.38
からたち公園   塩焼4−2   0.18
新場山公園    塩焼4−4   0.21
塩焼中央公園   塩焼5    0.17
島尻第3公園   島尻1    砂場なし
島尻第2公園   島尻2    砂場なし
島尻東公園    島尻2    砂場なし
島尻公園     島尻4    砂場なし
西浜公園     新浜1−4   0.15
東沖公園     末広1−4   0.17
南場公園     末広2−6   0.27
モクレン公園   関ヶ島12   0.3
根通公園     関ヶ島15   砂場なし
下道公園     宝1−7    0.32
八幡前公園    宝2−8    0.31
あらかし公園   田尻1−7   砂場なし
田尻3丁目公園  田尻3−1   砂場なし
アヤメ公園    田尻3−11   0.18
田尻ゆうあい公園 田尻3−5   0.18
はなみずき公園  田尻3−5   砂場なし
田尻第1公園   田尻3−6   0.21
あさがお公園   田尻3−9   砂場なし
田尻第3公園   田尻4−5   0.29
ひいらぎ公園   田尻4−9   0.29
田尻第2公園   田尻5−14   0.35
白妙公園     富浜1−7   0.25
すいせん公園   富浜2−15   0.18
はぼたん公園   富浜3−17   0.35
ダリア公園    富浜3−6   砂場なし
はまゆう公園   原木1−2   0.2
原木第2公園   原木1−3   砂場なし
原木第3公園   原木1−4   0.23
原木東浜公園   原木2526−18 砂場なし
さくら公園    原木3−1   0.17
すみれ公園    原木3−16   0.27
原木西浜公園   原木3047   砂場なし
みとめ公園    原木4−3   砂場なし
原木橋公園    原木4−7   0.17
南浜公園     日之出2    0.33
きんせんか公園  日之出5    0.31
広尾公園     広尾1−11   0.21
エンジュ公園   広尾1−5   砂場なし
のぎく公園    福栄1−2   砂場なし
東場公園     福栄1−20   0.21
桜場公園     福栄1−4   砂場なし
湊新田公園    福栄2−14   0.22
なでしこ公園   福栄3−22   0.24
新浜公演     福栄3−9    0.24
福栄公園     福栄4−14   0.17
かもめ公園    福栄4−19   0.24
白鷺公園     福栄4−21   0.26
千鳥公園     福栄4−29   0.21
はまなす公園   福栄4−6   0.25
りんどう公園   二俣1−8   0.23
ぼたん公園    二俣1−9   0.23
二俣の風公園   二俣2−11   砂場なし
二俣第2公園   二俣2−4   0.21
二俣公園     二俣717−71  0.18
行徳児童公園   本行徳12   0.27
寺町公園     本行徳4    0.39
三町畑公園    本塩28    0.25
上道公園     本塩7     0.22
湖録公園     湊新田1−11  0.19
行徳駅前公園   湊新田2ー4  0.21
つつじ公園    南行徳1−10  0.17
ぎぼうし公園   南行徳1−6  0.25
御手浜公園    南行徳1−7  0.21
満世公園     南行徳2−16  0.16
かきつばた公園  南行徳2−24  0.26
やまゆり公園   南行徳2−8  0.29
中江川添公園   南行徳3−11  0.24
やなぎ公園    南行徳3−5  0.24
やまぶき公園   南行徳3−6  0.28
なずな公園    南行徳4−15  0.18
あすなろ公園   南行徳4−19  0.27
東海面公園    南行徳4-7   0.27
元新田公園    妙典1−12   0.36
たつのこ公園   妙典2−15   0.24
ひだまり公園   妙典3−25   0.15
小宮山公園    妙典5−12   0.25
小宮山第2公園  妙典6−115-1  0.23
妙典第1緑道   妙典6−3   砂場なし

南部の1次調査を完了し、市の北西部へ。
北隣は松戸市。起伏の多い土地で、道に迷いまくり。

市川市北部
ひのき公園    北国分1−1  砂場なし
あたご公園    北国分1−23  0.39
北国分2丁目公園 北国分2−27  0.24
横塚公園     北国分2−9  砂場なし
いなりざく公園  北国分3−9  砂場なし
北国分公園    北国分4−10  0.28
北国分第2緑地  北国分4−17  0.31
北国分第2公園  北国分4−27  0.28
つくし公園    中国分1−11  0.21
中国分1丁目公園 中国分1−14  砂場なし
すぎな公園    中国分1−17  砂場なし
白樺公園     中国分3−13  0.27
なのはな公園   中国分5−16  砂場なし
中国分公園    中国分5−25  0.28
堀之内緑地公園  堀之内3−12  砂場なし
堀之内公園    堀之内3−2  0.24
八反割公園    堀之内3−29  砂場なし
権現原公園    堀之内3−3  砂場なし

計測器はRADEX RD-1706,RD-1503。単位はμsv/h。

2011年7月12日火曜日

千葉県市川市。相之川、福栄、南行徳ほか

今日から計測再開。
千葉県市川市、これまで計測したのは全公園(約350)の3割程度。

相之川前公園  相之川1−11  砂場なし
今井橋公園   相之川1−23  0.27
はこべ公園   相之川1−5  0.26
相之川西公園  相之川1−7  0.22
ムクゲ公園   相之川1−8  0.23
相之川公園   相之川2−3  0.24
ほおずき公園  相之川3−14  0.22
南行徳公園   相之川4−1  0.17
けやき公園   欠真間1−3  砂場なし
柳形公園    欠真間2−16  0.25
欠真間公園   欠真間2−4  0.24
香取公園    香取1−5   0.2
あじさい公園  香取2−11   0.25
塩浜中央公園  塩浜4−2    0.25
西浜公園    新浜1−4   0.15
のぎく公園   福栄1−2   砂場なし
東場公園    福栄1−20   0.21
桜場公園    福栄1−4   砂場なし
湊新田公園   福栄2−14   0.22
なでしこ公園  福栄3−22   0.24
新浜公演    福栄3−9   0.24
福栄公園    福栄4−14   0.17
かもめ公園   福栄4−19   0.24
白鷺公園    福栄4−21   0.26
千鳥公園    福栄4−29   0.21
はまなす公園  福栄4−6   0.25
湖録公園    湊新田1−11  0.19
つつじ公園   南行徳1−10  0.17
ぎぼうし公園  南行徳1−6  0.25
御手浜公園   南行徳1−7  0.21
満世公園    南行徳2−16  0.16
かきつばた公園 南行徳2−24  0.26
やまゆり公園  南行徳2−8  0.29
中江川添公園  南行徳3−11  0.24
やなぎ公園   南行徳3−5  0.24
やまぶき公園  南行徳3−6  0.28
なずな公園   南行徳4−15  0.18
あすなろ公園  南行徳4−19  0.27
東海面公園   南行徳4−7  0.27

明日の朝ちょっとやると、江戸川に囲まれた市川市南部が終わる。
次は市の北部にいきたい。
柏市のクリーンセンターがある方面に接近してみようと思う。

2011年7月10日日曜日

原発終了。

 菅首相が、既存施設のストレステストを実施するとしたことで、少なくとも1年かそこらは原発再稼働はなくなった。
原発が停止させられていく間、東京電力公害事件の深刻な被害が徐々に明るみになっていくだろう。
 原発是か非かの議論は終息し、これから放射性物質との闘いが始まる。

 同時に、原子力体制の下手人どもを洗い出す作業も始まる。一気呵成に攻め立てよう。

追記 
 この文で言わんとしているのはようするにどういうことかというと、今週からは「脱原発」とか「エネルギーシフト」とかいうデマンドでは運動のたてかたとして弱いということです。運動はより具体的に「この被害どうすんだ」「責任者出てこい」「逃がさないぞ」と言わなきゃだめです。産官学の推進派を人民裁判にかけるべく、非道の証拠を集め、怒りを集約していかなくてはならない。エネルギー云々の空中戦ではなく、誰をつぶしていくかという地上戦をやろうよってこと。

2011年7月8日金曜日

王道科学と遊牧科学

 東京電力・福島第一原発の放射性鉱毒事件は、史上類のない巨大な規模でわれわれの生活環境を書き換えている。
 この新たな環境のなかで、政府が招聘する「専門家」は、しだいに疑わしい職業と見なされるようになっている。原子力の「専門家」、財政の「専門家」、医療の「専門家」、ボランティアの「専門家」は、一時的に耳目を集めつつ、その後、人々の切実な関心から外れていくだろう。そうして、昨日まで放射線のほの字も知らなかった素人たちが、前人未到の公衆衛生学を切り拓いていく。政府が依拠してきた王道科学は信を失い、無数の遊牧科学が生起していくのだ。

 近代医療の形成を研究するフェミニストは、19世紀アメリカの公衆衛生運動をふりかえり、次のように書いている。
 フェミニスト研究者は公衆衛生運動についてもっと多くの発見をしなければならない。今日の女性運動の見方では、これは多分女性参政権運動よりも関係が深い。運動に関して、我々が最も興味を引かれる部分は、(1)それが階級闘争とフェミニスト闘争を代表していたこと。今日、ある方面では、フェミニスト問題を単に中産階級の関心事であるとして片付けることが流行しているが、公衆衛生運動には、フェミニストと労働階級のエネルギーの合流が見られる。これは公衆衛生運動が当然あらゆる種類の反対者を引き付けたためだろうか? あるいはより深いところで目的が一致していたためだろうか? 
(2)公衆衛生運動は単によりよい医療を求める運動ではなく、根本的に異質の健康管理を求める運動である。それは当時支配的だった医学上の定説、技術、理論に対する実質的な挑戦だった。今日我々は医療の組織化の面に批評を限定したり、医学の科学的基盤は論争の余地がないと仮定しがちである。我々も医療という「科学」を批評的に研究する能力を養わなければならない――少なくともそれが女性とかかわりがあるかぎりは。

(『魔女・産婆・看護婦――女性医療家の歴史』 
B・エーレンライク/D・イングリシュ著 長瀬久子訳)
いま東京で始まっているのは、科学とは何かを審判し再定義する試みだ。
政治なんかにうつつをぬかしてるばあいではない。
もっと深い地層が動き出している。へっへっへ。

2011年7月7日木曜日

頭の中でビブラストーンが

 ひたすら公園の番地と数字ばかりのブログになっているのだが、矢部は東京電力に怒りすぎて気が違ったんじゃないかという憶測もありつつ、まあ、ある意味、そうだね。
 とても静かに、穏やかな気分で、なにか決定的におかしくなってるんだと思う。
 朝6時に起きて、マスクをつけ、原付にまたがり、蔵前橋通りを東に向かって走るあいだ約40分、頭の中ではひたすらビブラストーンの「ジェットコースター」を繰り返している。もう20年も前のとっくに忘れてるはずの曲が。
 「ファンキー」ってのは、こういう怒りのことなのかもしれない。

2011年7月6日水曜日

中野区1次計測結果

野方在住の福田君から集計報告をもらった。

丸山公園      丸山2丁目23番   0.15
籠原公園      丸山2丁目2番   砂場なし
江原公園      江原町1丁目15番  0.14
こぐま公園     江原町3丁目17番  0.16
江原屋敷森緑地   江原町3丁目32番  砂場なし
江古一御嶽公園   江古田1丁目34番  砂場なし
みずのとう公園   江古田1丁目3番  砂場なし
江古田二丁目公園  江古田2丁目21番  砂場なし
江古田の森公園   江古田3丁目14番  0.15
本多山公園     江古田3丁目8番  砂場なし
江古四しいの木公園 江古田4丁目14番  砂場なし
わかたけ公園    鷺宮1丁目5番   0.13
みよし公園     鷺宮3丁目19番   砂場なし
みたけ公園     鷺宮3丁目31番   砂場なし
若葉公園      鷺宮5丁目11番   0.14
鷺六公園      鷺宮6丁目24番   0.14
西鷺公園      鷺宮6丁目31番   砂場なし
上鷺東公園     上鷺宮2丁目18番  0.13
とちの木公園    上鷺宮2丁目22番  砂場なし
アカシア広場    上鷺宮3丁目8番   砂場なし
上鷺いこい公園   上鷺宮4丁目12番  砂場なし
風の子ひろば    上鷺宮4丁目13及び14  砂場なし
かみさぎ北公園   上鷺宮4丁目6番  砂場なし
上鷺公園      上鷺宮4丁目8番   0.15
上鷺西公園     上鷺宮5丁目17番  砂場なし
八成公園      上鷺宮5丁目19番  0.14
武蔵台公園     上鷺宮5丁目26番  0.14
北中野公園     上鷺宮5丁目8番  0.13
白鷺ネムノキ公園  白鷺1丁目7番   砂場なし
白鷺ふれあい    白鷺2丁目10番   砂場なし
そろの木公園    白鷺2丁目38番   0.14
白鷺公園      白鷺2丁目8番   砂場なし
鷺宮運動広場    白鷺3丁目1番   0.11
野方ひがし公園   野方1丁目12番   0.16
野方一丁目公園   野方1丁目32番   0.16
早稲田通り公園   野方1丁目35番   砂場なし
もみの木公園    野方1丁目38番   0.16
こまどり公園    野方1丁目57番   0.14
野方第二公園    野方2丁目14番   0.13
たんぽぽ公園    野方2丁目61番   0.15
野方第一公園    野方4丁目36番   0.17
東山公園      野方4丁目41番   砂場なし
沼栄橋公園     野方5丁目1番   砂場なし
くるみ公園     野方5丁目28番   砂場なし
こうさぎ公園    野方6丁目44番   砂場なし
みつわ公園     若宮1丁目42番   0.14
鷺南公園      若宮2丁目48番   0.17
わかさぎ公園    若宮2丁目56番   砂場なし
若宮公園      若宮3丁目21番   砂場なし
かしの木公園    若宮3丁目52番   砂場なし
若宮オリーブ公園  若宮3丁目57番   0.16
双鷺公園      若宮3丁目58番   砂場なし
かせい公園     若宮3丁目5番    0.14
松が丘公園     松が丘1丁目2番   0.14
妙正寺川公園    松が丘1丁目33番   砂場なし
哲学堂公園     松が丘1丁目34番   0.17
片山小さな緑地   松が丘2丁目19番   砂場なし
江古田公園     松が丘2丁目29,35番  0.14
沼袋公園      沼袋1丁目19番    0.13
百観音公園     沼袋2丁目28番    0.19
丸山塚公園     沼袋2丁目40番    0.15
沼袋西公園     沼袋3丁目14番    0.14
さんかく公園    沼袋3丁目24番    砂場なし
沼四緑の公園    沼袋4丁目35番    砂場なし
昭和児童遊園    上高田1丁目17番  0.16
上一こなら公園   上高田1丁目43番  砂場なし
こぶし公園     上高田2丁目32番  砂場なし
上高田二丁目公園  上高田2丁目8番  0.17
上高田三丁目公園  上高田3丁目10番  砂場なし
上高田4丁目団地  上高田4丁目17番  0.15
上高田台公園    上高田4丁目17番  0.2
上高田北公園    上高田5丁目29番  0.14
中野上高田公園   上高田5丁目7番  砂場なし
新井東公園     新井1丁目19番   砂場なし
新井南公園     新井2丁目31番   0.15
草の実公園     新井2丁目44番   砂場なし
柏公園       新井3丁目24番   0.14
平和の森公園    新井3丁目37番   0.16
新井薬師公園    新井4丁目15、5丁目4  0.13
啓明公園      大和町1丁目21番  0.13
大和花公園     大和町1丁目54番  0.14
大和北公園     大和町2丁目45番  砂場なし
大和公園      大和町2丁目8番   0.16
みすみ公園     大和町3丁目25番  砂場なし
大和鹿鳴公園    大和町3丁目27番  砂場なし
西大和児童公園   大和町3丁目42番  0.17
西大和公園     大和町4丁目50番  0.13
みはと公園     大和町4丁目51番  砂場なし
ゆりの木公園    中央1丁目20番   砂場なし
小淀公園      中央1丁目24番   砂場なし
かえで公園     中央2丁目35番   砂場なし
宮前公園      中央2丁目39番   砂場なし
本町通り公園    中央2丁目46番   0.11
ひまわり公園    中央2丁目52番   砂場なし
みずき公園     中央2丁目54番   0.13
塔の山公園     中央2丁目7番   0.17
仲町公園      中央3丁目17番   砂場なし
上町公園      中央4丁目36番   砂場なし
いちょう公園    中央4丁目50番   0.13
桃園川公園     中央4丁目60番   砂場なし
追分公園      中央4丁目7番   0.19
中央西公園     中央5丁目27番   0.13
橋場公園      中央5丁目41番   0.17
中央公園      中央5丁目42番   0.11
なつめ公園     中央5丁目6番   0.16
やまぶき公園    中野1丁目31番   砂場なし
谷戸運動公園    中野1丁目31番   砂場なし
城山公園      中野1丁目44番   0.14
桃園公園      中野2丁目21番   0.19
紅葉山公園     中野2丁目5番   0.17
子宝公園      中野3丁目16番   砂場なし
囲桃園公園     中野3丁目20,21番  砂場なし
天神小公園     中野5丁目19番   砂場なし
打越公園      中野5丁目26番   砂場なし
あじさい公園    中野5丁目34番   砂場なし
昭三公園      中野5丁目41番   砂場なし
すみれ公園     中野5丁目5番   砂場なし
天神公園      中野5丁目8番   砂場なし
文園公園      中野6丁目10番   0.12
文園西公園     中野6丁目23番   砂場なし
さくら公園     中野6丁目2番   0.15
そらまめ公園    中野6丁目6番   砂場なし
氷川公園      東中野1丁目11番  0.13
川添公園      東中野1丁目22番  0.15
高根公園      東中野2丁目34番  砂場なし
上の原公園     東中野2丁目6番   0.15
みどり公園     東中野3丁目11番  0.15
桜山公園      東中野3丁目22番  0.13
すみよし公園    東中野4丁目25番  0.14
けやき公園     東中野5丁目13番  0.19
おたき公園     東中野5丁目23番  0.15
なかの坂公園    本町1丁目15番   砂場なし
神田川はなひろば  本町1丁目2番   砂場なし
若の芽公園     本町1丁目5番   砂場なし
東郷公園      本町2丁目14番   砂場なし
朝日が丘公園    本町2丁目32番   砂場なし
青桐公園      本町3丁目29番   砂場なし
西町花の公園    本町4丁目37番   砂場なし
本4公園      本町4丁目6番   砂場なし
千代田公園     本町5丁目31番   0.12
杉山公園      本町6丁目15番   0.18
本6公園      本町6丁目30番   0.12
西町公園      本町6丁目39番   砂場なし
くすの木公園    弥生町1丁目33番  0.17
弥生こぶし公園   弥生町1丁目40番  砂場なし
弥生町二丁目公園  弥生町2丁目19番  0.17
花見公園      弥生町2丁目7番  0.17
ぱんだ公園     弥生町3丁目34番  0.15
栄町公園      弥生町4丁目20番  0.13
弥生公園      弥生町5丁目4番  0.15
れんげ公園     弥生町5丁目8番  0.15
丸太公園      弥生町6丁目2番  0.16
みなみの広場    南台2丁目33番   砂場なし
前原公園      南台2丁目48番   0.13
多田公園      南台3丁目26番   砂場なし
南台三丁目公園   南台3丁目41番   砂場なし
ささの葉公園    南台4丁目14番   0.18
八島公園      南台4丁目41番   砂場なし
みなみ公園     南台5丁目15番   0.12
南部公園      南台5丁目27番   砂場なし
南台公園      南台5丁目7番   0.16

私は今日から4日間、愛知県に滞在。
その間、計測器2台を廣飯くんのチームに預けた。彼らは東京都港区を踏破する。
中野区のチームは砂のサンプルを採取して土壌検査(核種分析)に入る。
へっへっへ。

2011年7月5日火曜日

市川市、行徳周辺

今日は市川市の砂場計測を再開。
地下鉄東西線妙典駅〜行徳駅の住宅地。

れんげ公園   入船4      0.28
東浜公園    入船9      0.25
押切公園    押切18     0.17
新宿前公園   河原9      0.23
南根公園    行徳駅前1−15  0.35
つきみそう公園 行徳駅前1−9  0.33
弁天公園    行徳駅前2−19  0.22
南沖公園    行徳駅前3−4  0.3
もくせい公園  行徳駅前4−26  0.25
東根公園    行徳駅前4−4  0.19
幸中央公園   幸1−1     砂場なし
すすき公園   幸2−10     0.25
やまもも公園  幸2−11     0.22
行徳南部公園  幸2−4     砂場なし
まんりょう公園 幸2−5     0.21
せんりょう公園 幸2−6     0.23
つわぶき公園  幸2−8     砂場なし
東沖公園    末広1−4    0.17
南場公園    末広2−6    0.27
モクレン公園  関ヶ島12    0.3
根通公園    関ヶ島15    砂場なし
白妙公園    富浜1−7    0.25
すいせん公園  富浜2−15    0.18
はぼたん公園  富浜3−17    0.35
ダリア公園   富浜3−6    砂場なし
南浜公園    日之出2     0.33
きんせんか公園 日之出5     0.31
行徳児童公園  本行徳12    0.27
寺町公園    本行徳4     0.39
三町畑公園   本塩28     0.25
上道公園    本塩7      0.22
行徳駅前公園  湊新田2ー4   0.21

午後。少し風が吹き、RD1706の数値が一瞬0.51マイクロシーベルトを示した。
その後も何度か似たような現象があったので、東京に電話をして福島第一の状況を確認。
1号機が具合が悪い可能性があるというので、午後3時に撤収した。
今日の計測値は高めに出ているかもしれない。

2011年7月4日月曜日

雑誌『現代思想』で特集=海賊

『現代思想 海賊〜洋上のユートピア』

でました。

海賊研究会からは翻訳、エッセイなどで3名が参加。
今夜は軽く打ち上げというか飲み会。なんだかんだで4ヶ月ぶりの再会だ。

今日はゆっくり休んで、明日は市川市の砂場計測を再開する。

群馬県太田市、新田、龍舞町ほか

埼玉県羽生市の計測とあわせて、群馬県太田市を計測。
6/30に東部の龍舞町、7/2は西部の新田を計測。突然の夕立などで作業はあまり進まなかった。
これで太田市全体(233件)の約1割。


西部ふるさと公園  大原町       砂場なし
藪塚本町中央公園  大原町383-75    0.2
東山道公園     新田大町地内     砂場なし
生品コミュニティ運動公園  新田村田町  砂場なし
大川親水緑地    新田市野井町     砂場なし
市野倉公園     新田市野倉町 180-2 0.16
みずき公園     新田瑞木町69-1   0.15
つくし公園     新田早川町 131   0.19
いずみ中央公園   新田早川町 337   0.17
早川公園      新田早川町15    砂場なし
ひばり公園     新田早川町21    0.19
みどり公園     新田早川町510   砂場なし
めだか公園     新田早川町610    0.18
村田公園      新田村田町1102-1  0.18
大村公園      新田大町 115-4   砂場なし
明林公園      新田大町 205-1   砂場なし
木崎コミュニティ運動広場  新田中江田町 砂場なし
上町公園      新田木崎町 1215-5  0.17
新田神明公園    新田木崎町 139   0.17
新田あおぞら公園  新田木崎町 547   0.2
太田神明公園    竜舞町 1299-3    0.22
上西田公園     竜舞町 1587-51   砂場なし
上耕地公園     竜舞町 1692-3    砂場なし
たくみ公園     竜舞町 1911-17   砂場なし
かえで公園     竜舞町 1935-14   0.18
榎戸公園      竜舞町 5445     0.2
高原公園      竜舞町 5586     0.19
竜内公園      竜舞町1397-1    0.16
竜舞公園      竜舞町3892-1    砂場なし

 太田市は羽生市の合宿所から車で約40分。思ったよりも近い。
毎朝6時から日暮れまでひたすら計測した栗原康くんは、見た目はヒョロヒョロだが意外にタフガイだった。おつかれさま。

埼玉県羽生市(1次)完了

29日夜から7月3日まで、埼玉県の北端、羽生市に遠征した。
6/30、7/1、7/3に羽生市の砂場を計測。羽生市の1次計測は完了。

羽生西公園    大字小須賀110   砂場なし
羽生水郷公園   大字三田ヶ谷地内  砂場なし
大沼公園     大沼2-75     砂場なし
上岩瀬団地公園  上岩瀬317-4    0.13
上新郷団地公園  上新郷2010-9    0.15
上新郷公園    上新郷1822    0.21
上新郷町並公園  上新郷字町並    砂場なし
上手子林神明公園 上手子林1272-11 砂場なし
上手子林辻公園  上手子林地内    0.18
上川崎公園    川崎2丁目地内   0.14
下川崎公園    川崎2丁目     砂場なし
大天白公園    北2-9        砂場なし
大和町公園    北3-7        0.16
小松公園     小松280      砂場なし
小松東公園    小松台2-415    砂場なし
小松北公園    小松台1-516-2   砂場なし
小松南公園    小松台1-741-1   0.18
藍の里公園    下手子林956-27  砂場なし
下新郷東公園   下新郷1058    砂場なし
藍の里Ⅱ公園   下手子林地内    0.17
相生町緑地公園  中央1-1537-3   砂場なし
羽生スカイスポーツ公園  常木1175 砂場なし
新田公園     西5-17      砂場なし
新田前公園    西4-8        砂場なし
栄町公園     西2-12       0.16
小松道上公園   西3-16      砂場なし
大道公園     西5-8         0.16
羽生中央公園   東9        砂場なし
東1丁目公園   東1丁目地内    砂場なし
東町団地公園   東2丁目地内    砂場なし
栃木西公園    東3-13      砂場なし
栃木東公園    東3-19       0.16
稲子前公園    東3-45       0.19
羽生平和公園   東6-2        砂場なし
城沼公園     東7-8        砂場なし
東9丁目公園   東9-8        0.17
井泉公園     藤井上組275-3   砂場なし
藤井上組公園   藤井上組地内    砂場なし
北藤井公園    藤井上組字北藤井381-3 砂場なし
前谷公園     南6-4-1       0.18
元町公園     南2-1240-1     0.22
小松道下公園   南2-27       砂場なし
旭町公園     南5-13       砂場なし
宮田1号公園   南7-15       0.17
宮田2号公園   南7-20-1      0.16
宮田3号公園   南8-5         0.16
風の公園     南羽生4-12-3    0.15
光の公園     南羽生3-18     砂場なし
空の公園     南羽生1-20     砂場なし
太陽の公園    南羽生2-24-1    0.16
山の公園     南羽生2-31-13    0.13
本川俣柳根公園  本川俣地内      0.14
本川俣龍蔵公園  本川俣地内      0.15
葛西親水公園   本川俣龍蔵1019-2  砂場なし

宿泊所と自動車を提供してくれた羽生伝道所のみなさん、なかでも、もろもろ面倒をみてくれた小田原みどりさん、ありがとうございました。

市川市妙典、塩焼、宝

埼玉県羽生で合宿していたので、データの整理が遅れてしまった。
合宿前日に計測した千葉県市川市の結果。東西線妙典駅の周辺。

塩の花公園   塩焼1−14  0.32
浜道公園    塩焼2−12  0.22
サルビア公園  塩焼2−2  0.26
みこし公園   塩焼3−10  0.24
つばき公園   塩焼3−9  砂場なし
モッコク公園  塩焼4−10  0.38
からたち公園  塩焼4−2  0.18
新場山公園   塩焼4−4  0.21
下道公園    宝1−7   0.32
八幡前公園   宝2−8   0.31
元新田公園   妙典1−12  0.36
たつのこ公園  妙典2−15  0.24
ひだまり公園  妙典3−25  0.15
小宮山公園   妙典5−12  0.25
小宮山第2公園 妙典6−115-1 0.23
妙典第1緑道  妙典6−3   砂場なし

計測日は6月29日。晴れ。
単位はマイクロシーベルト毎時。
あまり利用されていない公園は、砂場表面にブツが堆積しているようだ。

2011年6月28日火曜日

千葉県市川市、原木・二俣・田尻・高谷

昨日は市川市役所で公園リストを入手。
エクセルに入力する作業で終わった。
今日は寝坊して10時起床。原付で市川へ。

あざみ公園    高谷2−7   0.15
信篤公園     高谷2−8   砂場なし
あらかし公園   田尻1−7   砂場なし
田尻3丁目公園  田尻3−1   砂場なし
アヤメ公園    田尻3−11   0.18
田尻ゆうあい公園 田尻3−5   0.18
はなみずき公園  田尻3−5   砂場なし
田尻第1公園   田尻3−6   0.21
あさがお公園   田尻3−9   砂場なし
田尻第3公園   田尻4−5   0.29
ひいらぎ公園   田尻4−9   0.29
田尻第2公園   田尻5−14   0.35
はまゆう公園   原木1−2   0.2
原木第2公園   原木1−3   砂場なし
原木第3公園   原木1−4   0.23
原木東浜公園   原木2526−18 砂場なし
さくら公園    原木3−1   0.17
すみれ公園    原木3−16   0.27
原木西浜公園   原木3047   砂場なし
みとめ公園    原木4−3   砂場なし
原木橋公園    原木4−7   0.17
りんどう公園   二俣1−8   0.23
ぼたん公園    二俣1−9   0.23
二俣の風公園   二俣2−11   砂場なし
二俣第2公園   二俣2−4   0.21
二俣公園     二俣717−71  0.18

単位はマイクロシーベルト毎時。計測器はRADEX RD1706。

東西線・原木中山駅の周辺は、市川市と船橋市が入り組んでいる。というわけであまり充分とは言えないが参考までに。
明日はとなり駅の妙典に行く。

嘘ではないが看過している

 『週刊プレイボーイ』誌が、市民の放射線計測について取材したいというので、神保町に行った。
 記者の最後の質問は、東京都の発表した数値の信憑性だ。
 0.06μsv/hというのは本当なのかということだ。

 東京都の発表はおそらく事実である。彼らは嘘をついてはいない。
0.06μsv/hという場所は(私は知らないが)、たぶん、あるのだろう。放射性物質の分布がモザイク状になってしまっているときに、この発表は朗報でもなんでもない。たんに「東京都内に0.06のポイントがありました」と言っているに過ぎない。そして、あるポイントが0.06だったからといって、0.15の砂場が無害化されるわけではない。
 東京都は嘘を言っていない。ただ、0.06を超えるポイントを看過しているだけだ。

 東京都に対する批判はひとまずおく。

 問題は市民の側の主体的状況だ。
 現在、福島県中通りでは、外部被曝線量だけで放射線管理区域を超える事態になっているが、いまだに避難せずにとどまっている者がいる。せめてこどもだけでも退避させなければならないのに、まだこどもを学校に通わせている親がいる。出口のみえない政治にだらだらとこどもを付き合わせて、いったいどうするつもりなのか。政治は政治で大事だが、時間がかかるのはみえてるんだから、こどもを退避させてから大人だけでやれよ。
 こういうことを言うと、「避難したくてもできない人間もいるんだ」という人がいる。
 おそらくそれは事実だ。嘘ではない。そういう人間がいるだろうことはもちろん私は否定しない。
 しかしこんなおおざっぱな紋切り型で、ああそうですねと納得することはできない。
 福島市や郡山市のいったいどれだけの人口が、本当に「避難したくてもできない」のか。
 本当に一刻も早く避難したくてしたくて頭がおかしくなりそうなぐらいなのにどうしても「避難できない」人間は、実際のところ何人いるのか。
 私はそこを問いたい。本当に問うよ。
 看過しないよ。
 「避難したくてもできない」と言う者のなかに、どれだけ嘘つきがまぎれこんでいるか、調べるよ。嘘がばれたときに、他人のせいにするなよ。



 

2011年6月27日月曜日

中野区上鷺宮、白鷺、他

野方在住の福田くんから報告。

わかたけ公園   鷺宮1-5      0.13
鷺六公園     鷺宮6−24     0.14
八成公園     上鷺宮5-19     0.14
上鷺公園     上鷺宮4-8     0.15
武蔵台公園    上鷺宮5-26     0.14
北中野公園    上鷺宮5-8     0.13
上鷺東公園    上鷺宮2-18     0.14
丸山公園     丸山2-23      0.15
野方第一公園   野方4-36      0.17
若宮防災広場   若宮3-42      0.17
みつわ公園    若宮1-42      0.14
かせい公園    若宮3-5      0.14
若宮オリーブ公園 若宮3-5      0.16
鷺南公園     若宮2-48     0.17
大和花公園    大和町1丁目54番  0.13
大和北公園    大和町2丁目45番  0.14
大和公園     大和町2丁目8番  0.16
大和鹿鳴公園   大和町3丁目27番  砂場なし
西大和児童公園  大和町3丁目42番  0.17
西大和公園    大和町4丁目50番  砂場なし
みはと公園    大和町4丁目51番  砂場なし
白鷺ネムノキ公園 白鷺1丁目7番   砂場なし
白鷺ふれあい   白鷺2丁目10番   砂場なし
そろの木公園   白鷺2丁目38番   0.14
白鷺公園     白鷺2丁目8番   砂場なし
鷺宮運動広場   白鷺3丁目1番   0.11

単位はμsv/h。
福田・佐久良・矢部で、中野区の公園は7割ほど調べた。
今日は千葉県市川市に向かう。

2011年6月25日土曜日

被曝者になるということ

福島県民を30年にわたり健康調査 内部被曝も含め測定

 東京電力福島第一原子力発電所の事故による福島県民への放射線の影響について30年以上にわたって見守る福島県の調査案の概要が、わかった。7月上旬にも空間線量が高い地区の住民代表を対象に、先行的な予備調査を始め、内部被曝(ひばく)も含めた被曝線量を実際に測るとともに、問診票での被曝線量の推計も出す。

 住民の放射線影響評価をめぐり、長期間に及ぶ大規模調査は世界でも初めて。

 予備調査の概要は、今月18日に、実施主体の県や関係省庁の担当者のほか、放射線医療の専門家らが集まる健康管理調査検討委員会で決まる見通し。
(6月17日 asahi.com)

 30年間という時間は、一人の人間にとってはあまりにも長い時間だ。
 福島県民は、出身地を隠して移住しなくてはならない。さもなければ、風邪をひいただけで骨髄液を抜かれることになる。ありふれた子宮筋腫に対して、子宮の全摘出手術がなされるだろう。
 政府医療機関には人権意識などない。政府に「被曝者」として登録されるということは、「何を試してもよい人間」になるということだ。想像するだけで恐ろしい。

中野区弥生町、南台、都市の迷宮

午前中、中野区の南端をまわった。
東京をぐるりと半周する環状7号線は、「木賃アパート密集地帯」とも「スプロール(虫食い)地帯」とも呼ばれる、密度の高い住宅地域が続く。この一帯は道路が狭く坂道も多いので、原付でなければまわれない。行き止まりがあったり、階段があったり、いきなり児童館があらわれたりして、楽しい。
都市の迷宮だ。


みなみの広場   南台2丁目33番   砂場なし
前原公園     南台2丁目48番   0.13
多田公園     南台3丁目26番   砂場なし
南台三丁目公園  南台3丁目41番   砂場なし
ささの葉公園   南台4丁目14番   0.18
八島公園     南台4丁目41番   砂場なし
みなみ公園    南台5丁目15番   0.12
南部公園     南台5丁目27番   砂場なし
南台公園     南台5丁目7番    0.16
くすの木公園   弥生町1丁目33番  0.17
弥生こぶし公園  弥生町1丁目40番  砂場なし
弥生町二丁目公園 弥生町2丁目19番  0.17
花見公園     弥生町2丁目7番   0.17
ぱんだ公園    弥生町3丁目34番  0.15
栄町公園     弥生町4丁目20番  0.13
弥生公園     弥生町5丁目4番   0.15
れんげ公園    弥生町5丁目8番   0.15
丸太公園     弥生町6丁目2番   0.16

2011年6月24日金曜日

中野区本町、中央、東中野。

今日は、東京都中野区、中野坂上駅周辺をまわった。
佐久良くんは自転車、私は原付。
自転車を貸してくれたマサエちゃん、原付を貸してくれた鹿島さん、ありがとうございました。

ゆりの木公園   中央1丁目20番  砂場なし
小淀公園     中央1丁目24番  砂場なし
かえで公園    中央2丁目35番  砂場なし
宮前公園     中央2丁目39番  砂場なし
本町通り公園   中央2丁目46番  0.11
ひまわり公園   中央2丁目52番  砂場なし
みずき公園    中央2丁目54番  0.13
塔の山公園    中央2丁目7番   0.17
仲町公園     中央3丁目17番  砂場なし
上町公園     中央4丁目36番  砂場なし
いちょう公園   中央4丁目50番  0.13
桃園川公園    中央4丁目60番  砂場なし
追分公園     中央4丁目7番   0.19
中央西公園    中央5丁目27番  0.13
橋場公園     中央5丁目41番  0.17
中央公園     中央5丁目42番  0.11
なつめ公園    中央5丁目6番   0.16
氷川公園     東中野1丁目11番 0.13
川添公園     東中野1丁目22番 0.15
高根公園     東中野2丁目34番 砂場なし
上の原公園    東中野2丁目6番  0.15
みどり公園    東中野3丁目11番 0.15
桜山公園     東中野3丁目22番 0.13
すみよし公園   東中野4丁目25番 0.14
けやき公園    東中野5丁目13番 0.19
おたき公園    東中野5丁目23番 0.15
なかの坂公園   本町1丁目15番  砂場なし
神田川はなひろば 本町1丁目2番  砂場なし
若の芽公園    本町1丁目5番   砂場なし
東郷公園     本町2丁目14番  砂場なし
朝日が丘公園   本町2丁目32番  砂場なし
青桐公園     本町3丁目29番  砂場なし
西町花の公園   本町4丁目37番  砂場なし
本四公園     本町4丁目6番   砂場なし
千代田公園    本町5丁目31番  0.12
杉山公園     本町6丁目15番  0.18
本六公園     本町6丁目30番  0.12
西町公園     本町6丁目39番  砂場なし


追記
 今日は猛暑の中での屋外活動。水分の補給と休憩に気をつかった。
しかし熱中症よりなにより気が散ったのは、福井県の「もんじゅ」。
そして余震が続く福島第一の4号機。
ケータイでネットをチェックしながら公園をまわる。
 いま私たちが経験しているのは、原子力時代の新しい気象学、そしてなにもかもが手探りで取り組まれていく新しい公衆衛生学だ。
 もうね。どんだけ最先端だよと。こわすぎんだよ。

2011年6月23日木曜日

守谷市の計測(1次)完了

6月22日。
砂場プロジェクトの佐久良くんと一日かけて守谷市を走った。
あんまり暑いので、途中でマスクをはずしてしまった。

15日・16日・22日の三日間で、守谷市の公園計測(1次)はひとまず完了した。

かげろう公園   けやき台2-16   0.37
17号緑地     けやき台2-32  0.43
うららか公園   けやき台3-17   0.59
けやき台公園   けやき台4-4   0.37
にじの公園    けやき台5-20   0.51
くりのき公園   みずき野1-5-1  0.57
くわのみ公園   みずき野3-12-23 砂場なし
さくらの杜公園  みずき野4-14   砂場なし
みずき野中央公園 みずき野5-1   砂場なし
ざくろ公園    みずき野5-17-13 砂場なし
かきのき公園   みずき野5-7-7  砂場なし
さくらんぼ公園  みずき野6-14-13  0.48
郷州文化財公園  みずき野7-16-1  砂場なし
どんぐり公園   みずき野7-16-2  砂場なし
もものき公園   みずき野7-7-15  砂場なし
あんず公園    みずき野8-12   0.53
立沢公園     久保ケ丘1-21   0.32
すずめ公園    久保ケ丘4-5   砂場なし
つつじ公園    御所ケ丘2-6   0.53
こじゅけい公園  御所ケ丘3-7   0.37
ひばり公園    御所ケ丘4-13   0.58
せせらぎの小路  久保ケ丘4-33-5外 砂場なし
守谷城址公園   守谷城址公園  砂場なし
そよかぜ公園   松ケ丘1-19   0.43
20号緑地(松風公園) 松ケ丘2-2  砂場なし
19号緑地     松ケ丘3-15  砂場なし
松ケ丘公園    松ケ丘4-4  0.53
ゆうやけ公園   松ケ丘5-11  0.49
ひだまり公園   松ケ丘7-11  0.41
大山公園     松前台1-19  砂場なし
やまばと公園   松前台3-11  砂場なし
かぶとむし公園  松前台4-12  0.4
16号緑地     松前台4-19  砂場なし
まつのき公園   松前台6-2  0.36
北園森林公園   松並地内  0.5
中之台児童公園  板戸井2832-2  砂場なし
乙子前坪公園   美園1-12  砂場なし
乙子清水公園   美園1-5  0.32
乙子公園     美園2-1-4  0.57
梅作公園     美園3-13  砂場なし
明神公園     美園5-4  0.31
土塔森林公園   百合ケ丘2丁目  砂場なし
さつき台公園   百合ケ丘3-2661-3 砂場なし
高砂公園     百合丘3-2809  砂場なし
さくら公園    本町297-5  砂場なし
ひまわり公園   本町32-85  0.47
新愛宕公園    本町4301-29  砂場なし
つばき公園    本町684-12  砂場なし
さつき公園    本町686-38  0.46
くわがた公園   薬師台2-9  0.33
板戸井公園    薬師台3丁目   0.46
北守谷近隣2号公園 薬師台4丁目  0.46
5号緑地     薬師台5-1-1  砂場なし
6号緑地     薬師台5-12-1  砂場なし
7号緑地     薬師台5-14-1  0.4
やまゆり公園   薬師台6-15-1  砂場なし
8号緑地     薬師台7-21-1  0.25
たけのこ公園   緑1-10  0.54
すぎのこ公園   緑1-21  0.56
ログハウス公園  緑2-2外  0.5
四季の里公園   緑2-37  0.41

明日は中野区を原付でまわる。
今週末には、ウェブサイトができる予定。
来週は埼玉県羽生市に遠征したい。

2011年6月21日火曜日

カンパのお願い

 これまでわずかな原稿料などでやりくりしてきたが、そろそろお金が尽きてきた。
 計測活動自体は金がかからないのだが、現地に行くまでの交通費が意外にかかってしまう。
いまは茨城県守谷市に通っているが、秋葉原から片道900円。これは積み重なってくると重い。

というわけで、カンパを募ります。

三菱東京UFJ銀行 高円寺支店 普通 0795099 ワタナベヨウイチ

これは「東京砂場プロジェクト」とは別会計の、「矢部計測チーム」のカンパです。
よろしくお願いします。

2011年6月17日金曜日

疎開したほうがいい

 いま茨城県守谷市の砂場を優先的に計測しているが、問題はバックグラウンド値がとれないことだ。
 私の場合、公園の中心のひらけた場所でバックグラウンド値を計測しようとしているのだが、これがどうやっても高い数値しか出ない。計測器が壊れてるんじゃないかと思って、二台の計測器(RADEX)で測ってみたりもするのだが、どうしても0.3μsv/h とか出てしまう。もう、やってらんねーよレベルの数値だ。

 そういうことなので、茨城県守谷市の母子は、西日本に疎開してください。
 とりあえず5年ぐらい。
 5年たてば放射性セシウムが低減するということはないのだが、自治体や教育委員会が放射線防護対策をとるようになるには、おそらく5年ぐらいかかるだろう。5年も待てばなんらかの措置をとるようになるだろう。それまでの期間、黙って被曝しながら愚図につきあってやる必要はない。あるていど安全だと思える防護体制ができるまで、田舎に疎開して様子を見た方がいい。

守谷市みずき野〜緑

昨日は守谷市の砂場計測(二日目)。

郷州文化財公園  みずき野7-16-1  砂場なし
どんぐり公園   みずき野7-16-2  砂場なし
もものき公園   みずき野7-7-15  砂場なし
あんず公園    みずき野8-12   0.53
立沢公園     久保ケ丘1-21   0.32
すずめ公園    久保ケ丘4-5    砂場なし
つつじ公園    御所ケ丘2-6    0.53
こじゅけい公園  御所ケ丘3-7    0.37
ひばり公園    御所ケ丘4-13   0.58
せせらぎの小路  久保ケ丘4-33-5外 砂場なし
そよかぜ公園   松ケ丘1-19    0.43
20号緑地    松ケ丘2-2     砂場なし
19号緑地    松ケ丘3-15    砂場なし
松ケ丘公園    松ケ丘4-4     0.53
ゆうやけ公園   松ケ丘5-11    0.49
ひだまり公園   松ケ丘7-11    0.41
たけのこ公園   緑1-10      0.54
すぎのこ公園   緑1-21      0.56
ログハウス公園  緑2-2外      0.50
四季の里公園   緑2-37      0.41

ようやく半分おわった。あと二日かければ守谷市の計測は完了する。

追記
 守谷からつくばエクスプレスで帰ってきたのだが、車内の様子は少し異様だった。20人ほどしかいない乗客のうち、15人が眠っている。それも、ただ目を閉じているという眠り方ではなく、口を開けて眠っている。疲れているのだ。
 放射線の被害はガンだけではない。万人に薄く広く与える影響は、疲労だ。こどもは特に疲れるだろう。今後、東北・関東では、こどもの学力・体力が著しく落ちていくはずだ。
「ゆとり世代」の次は、疲れやすく体力のない「ぶらぶら世代」があらわれる。

2011年6月15日水曜日

茨城県守谷市、けやき台〜みずき野

今日はつくばみらい市の友人に車を借りて、砂場計測にまわった。京都から遠征してきてくれた渋谷さんと私と、二人組での作業。まずは渋谷さんに運転してもらい、守谷市の公園からまわった。

 かげろう公園  けやき台2−16  0.37μsv / h
 17号緑地   けやき台2−32  0.43μsv / h
 うららか公園  けやき台3−17  0.59μsv / h
 けやき台公園  けやき台4−4   0.37μsv / h
 にじの公園   けやき台5−20  0.51μsv / h
 くりのき公園  みずき野1−5−1 0.57μsv / h
 くわのみ公園  みずき野3−12−23 砂場なし
 さくらの杜公園 みずき野4−14  砂場なし
 みずき野中央公園 みずき野5−1  砂場なし
 ざくろ公園   みずき野5−17−13 砂場なし
 かきのき公園  みずき野5−7−7 砂場なし
 さくらんぼ公園 みずき野6−14−13 0.48μsv / h

ここまで計測するのに3時間。知らない土地の道って、けっこう複雑で迷う。
もともと方向音痴ってのもある。かっこ良く言えばデリーブ(漂流)な体験。

 けやき台のラーメン屋で昼食をとって、午後の作業を開始すると、「福島第一の4号機が白煙を上げている」という情報が。
もう、やんなっちゃうね。
計測活動で被曝したんでは馬鹿馬鹿しいので、午後二時に撤収。
福島第一の様子を見て、明日に備える。

2011年6月14日火曜日

「国民」全員が苦しむわけではない

 昨日は高田馬場で砂場ミーティング、今日は八王子で計測器のワークショップをやった。
JR八王子駅北側の公園に行き、参加者に計測器を使ってもらった。
滑り台の周りの砂場は水はけが悪く、大きな水たまりになっていて、ここでは0.2μsv/hだった。
 23区に比較すれば低い印象だが、もっと低いと予想していた八王子の参加者にとっては、深刻な数字だった。

 ワークショップのあと喫茶店で話していて驚いたのは、八王子在住の人でも、ずっとのどが痛いとか、鼻血が頻繁に出ている、という人がいる。そのなかの一人は、実家のある田舎に移住をしようかと考えているというので、早く移住した方がいいと勧めた。
 
 被曝問題が憂鬱な気分になるのは、個体差が大きいことだ。
これが食中毒やインフルエンザであれば、(比較的)無差別に襲ってくる。
しかし、低線量被曝は無差別ではなく、被害に遭う者だけが苦しむのだ。
 これは戦争に似ている。
 戦争もまた被害に遭う者だけが苦しみ、生き残った者はそのことに目もくれず忘れてしまう。忘れたふりをする。嘘をつくという意識もなく嘘をつき、隠そうという意識もなく隠蔽するのだ。

 「国民」というものほど酷薄なものはない。こんなものと心中するわけにはいかない。

2011年6月8日水曜日

原水禁国民会議、しょせんは国民なのか

原水禁大会、福島で7月開幕

 原水禁国民会議などは7日、今夏の原水爆禁止世界大会の開幕集会を7月31日に福島市で開く方針を決めた。福島第1原発の事故を受け、「フクシマ」を原点に広島、長崎、沖縄まで続く一連の大会で「脱原発」の訴えを掘り下げ、広げる。

 世界大会は例年、広島、長崎両大会と国際会議を開催。今年は原発に依存してきた社会を問い直す転換期と位置付け、「核と人類は共存できない」との根本に立ち返って議論を深めようと、大会内容の大幅な変更を検討してきた。この日までに福島の地元組織からも内諾を得たという。

 福島大会には福島第1原発事故の被災者やチェルノブイリ原発事故(旧ソ連)の被災者、被爆者らを招き、「脱原発」を提起。8月4~6日の広島大会、7~9日の長崎大会では原発の周辺住民への影響や原発作業員の被曝(ひばく)などを取り上げる。広島市で5日にある国際会議も原発を議論の柱とする。

 世界大会の日程は17日に開く実行委員会で正式決定する。

(6月8日 中国新聞)

 原水禁はどういうつもりなのか。
「核と人類は共存できない」と訴える団体が、なぜ福島大会なのか。この大会に誰をどれだけ動員するのか。若い学生たちにも福島大会参加を呼びかけるつもりなのか。
 福島のはかりしれない被害を訴え、迅速な汚染調査・避難措置・防護措置を政府に要求し、民間レベルでも避難を援助すべきときに、まるで政府・福島県の安全宣言に加担するような動きである。
 主張と行動がちぐはぐだ。何を考えているのか。


追記
 私の若い友人と女性の友人には、絶対に福島には行かせない。こんな集会は百害あって一利なしだ。
 「じゃあ福島の人はどうしたらいいのか、福島市民を見捨てるのか」と言う声が聞こえる。
その言葉はそのまんま返そう。おまえらが物見遊山の冷やかしの自己満足集会をやって、福島の政治状況が少しでも良くなるのか。その大会は、政府・自治体を1ミリでも動かすことができるのか。福島がかならず復興できるのだと、責任を持って言えるのか。
 いまできるのは、福島県民の避難を促すことしかない。福島第一原発の蒸気が収束するまで、畑をブルーシートで覆って避難するしかない。そのための実態調査、世論づくり、行政交渉、資金調達が必要なのだ。だいたい国民運動づらしてる自治労やら日教組は、なぜ福島のために時限ストひとつうたないのか。ストをうてないなら、せめて金を出せ。

CRIIRADの記者会見

6月2日に講義をしていただいた CRIIRADのブルーノ氏、測定器47台プロジェクトの岩田氏が、前日に日本記者クラブセンターでおこなった記者会見の様子です。

2011年6月4日土曜日

とりとめのない世界

 6月2日のワークショップ「誰でもできる! 素人による素人のための放射線計測講座」は、立ち見が出るほど多くの人が集まった。
講座の内容は時間切れで終わってしまったが、学校のプール清掃問題や地方議員ネットワークなど既に行動を始めている人たちに出会えて、とても勇気づけられる集会だった。

 この一ヶ月間、土壌の放射線計測の問題を考えて、ようやくわかったことがある。それは、散逸してしまった放射性物質については、通常のサンプル調査という方法が無効であるということだ。
 土壌表面の放射線量を調べると、ほんの50センチ移動しただけで数値が違ってしまう。これは高性能の計測器でそうなるというだけではなくて、我々が使う簡易型の計測器でも2倍3倍の変化が出てしまう。放射性物質が堆積した「ホットスポット」というのは、実際には直径30センチにも満たない小さなスポットで、これが無数に偏在しているのである。
 ホットスポットの形成には多くの要素がかかわっている。大気の流れ、雨の流れ、土地表面の材質、土地の勾配、排水設備、屋根と植え込みの配置、道路の交通量。建築物があれば、その建物の高さ、構造、壁の表面積、壁の材質も関わってくるだろう。
 放射性物質が降り注ぎ、流れにあらわれた土壌表面は、細かく激しく波打っている。ここでは環境のありようを線形のイメージで捉えることができなくなっている。断片的で動的でもある土壌表面は、それを再現する(表現する)ために、何をどれだけ計測したらよいのかわからない、また、どこまで計測すれば計測を完了したと言えるのかわからない、とりとめのない世界なのだ。

 我々がふだん慣れ親しんでいる線形のイメージというのは、複雑でとりとめのない世界を把握するためのひとつのわりきりかただ。しかし、内部被曝の想定される汚染地帯では、この「わりきり」は生死にかかわる。
 アスファルトを歩きコンクリートのオフィスにおさまる人間は比較的安全だ。田畑を耕す農民、土を掘りかえす土工、ビルの清掃員、植木屋、屋台、ヤクルトおばさん、砂場で遊ぶこども、草むらを這う猫たちは、それぞれにまったく違った強度に触れ、放射線被曝にさらされる。ここでは、「世界は一様ではない」というあたりまえの事実が、深く認識されなければならないのだ。
 
 線形の環境が想定できないとき、つまり何をどれだけ測ったらよいのかわからなくなってしまったときに、では、なにが計測の基準となるのか。計測行為の方法的根拠はどこに見出されるか。
 私の解答は、人文主義(ヒューマニズム)だ。
 すでに多くの人が口々に訴え、実際に働きかけているのは、「こどもの内部被曝を防ぐ」ということだ。これは「野良猫の内部被曝を防ぐ」でもよい。言わんとしているのは同じことだ。
 これらの人文主義が、計測のための視点を与え、計測の主体と対象を定める(主体と対象が生成する)。そして明確な対象を定めたうえで、サンプル調査ではなく全数調査を実行する。東京砂場プロジェクトでは、関東のすべての児童公園の砂場を調査する。

 こどものために大騒ぎする我々は、「ヒステリー」と揶揄されるかもしれない。しかし我々の「ヒステリー」をあざ笑う人間は、このカオス化した空間を、どのように把握し再現できるというのか。何を計測すべきかという明確な視点を提示しているのか。不充分なサンプル調査でお茶を濁したつもりになっている奴らは、旧い「科学」の方法にしがみついて世界を捉え逃す劣った反動分子にすぎない。

2011年5月30日月曜日

6月2日、渋谷でワークショップ&Ust中継



誰でもできる! 素人による素人のための放射線計測講座

講師 Bruno Chareyron ブルーノ・シャレイロンさん
  CRIIRAD(クリラッド=市民放射能測定ラボ)ディレクター


 ただちに健康に影響をおよぼすものではない――」この3ヶ月間、このよくわからないフレーズは、私達をただただ不安にさせるばかりでした。
 これまで安全だと言われてきたこと。「専門家の言うこと」だから、黙って従ってきたこと。絶対に間違いないと、されてきたこと。そうしたこれまでの「常識」が、根拠のない思い込みにすぎなかったということが今、明らかになりつつあります。
 私達の生きる環境を、これ以上誰かに委ねるわけにはいきません。政府が動かないのであれば、自分達で放射線を計測するしかない。そう感じている「素人」のための、実践放射線測定講座です。
 子ども達の未来は、私達の手にかかっています。さあみなさん、一緒に街へ出ましょう!



レクチャー
 
 ・放射能とは? なぜ人間にダメージを与えるのか?
 ・外部被曝とは?
 ・内部被曝とは?
 ・東京での福島第一原発の短期、長期的影響とは?
 ・土壌汚染と砂場汚染の観測方法とは?
 ・食品汚染の測定方法とは?
 ・「専門家」は何をごまかしているか
 ・政府・自治体に防護措置をとらせるにはどうするか
 ・素人にできること、素人にしかできないこと

ワークショップ
 ・数種類の測定器による屋外での放射能測定(空間線量率)
 ・ ガンマ・スペクトロメーターによる土壌汚染の測定
 ・「専門家」につっこまれないための測定方法
 ※実際の計測器を使って測定を行ないます。

 日時 6月2日(木)13時30分~17時
 場所 神宮前隠田区民会館 一階集会室
     住所:神宮前 6-31-5
     電話:03-3407-1807
     交通:JR 原宿 6分
     交通:東京メトロ千代田線 明治神宮前駅 徒歩2分
     交通:都バス[池86][早81]系統「表参道」 2分

 申込み不要・参加費無料


 主催:東京砂場プロジェクト(TSP)
  tokyosunaba@gmail.com
 
 協力:測定器47台プロジェクト
  HP:http://www.pj47.net/
   Blog:http://sokuteiki.exblog.jp/

CRIIRADとは
  Commission de Recherche et d’Information Indépendantes sur la Radioactivité
(放射能に関する調査および情報提供の独立委員会)の略称です。
CRIIRADは1986年に設立されました。
 チェルノブイリ原発事故の際、フランスの公的機関は、距離の遠さゆえに、放射能雲はフランスにまったく到達しないと発表しました。そのため、ほとんどの人が何も知らずに、放射性物質にまみれた牛乳、チーズ、生野菜を消費してしまいました。チェルノブイリ事故が環境と人間に及ぼす影響についての、こうした思慮の浅さを反省し、CRIIRADが設立されました。



※東京砂場プロジェクト(TSP)は、首都圏に存在するすべての児童公園の砂場で放射線量を調査するプロジェクトです。放射性物質の降下量は、場所によってばらばらです。TSPはこどもが遊ぶ砂場に限定し調査方法を統一することで、首都圏全域の線量マップをつくる試みです。現在は便宜的に「首都圏」と言っていますが、栃木・群馬・福島・宮城・その他の東北関東地域も対象になります。


―――――――――――
以上、転送・転載大歓迎です。
平日昼間ですが、学校・会社は病欠ということで、お集まりください。


追記

 上京していくつかの砂場を試験的に計測した。
東京都北区(JR 東十条駅) 富士神社の砂場で 0.29μsv/h
千葉県市川市(東西線 原木中山駅) 一丁目公園で 0.47μsv/h

 興味深いのは、原木中山駅の入口付近の線量は 0.08μsv/h であったということ。
 これが何を意味するかというと、一般的な計測地点で0.08、まあ正常値より高いけどがまんできないことはないかなと受け止められているときに、そこから数十メートル先の公園の砂場では、歩き始めたばかりの幼児が6倍の濃度の放射線にさらされているということである。恐ろしいのは、駅前の数値にひとまず安心して、砂場の調査が忘れられてしまうことだ。
 先日、日本共産党東京都議団は詳細な放射線測定マップを発表したが、この数値は実際には目安程度にもならない。子供の生活空間に視点を定めて計測していかなければ、高濃度線量の砂場が放置されるという事態になりかねない。日本共産党には今後もがんばってほしいところだが、まあ、山あり谷ありの作業になるだろう。大変だ。



さらに追記

 アワプラネットTVがユーストリーム中継をしてくれることになった。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1078
 当日参加できない人はこちらを。

2011年5月27日金曜日

放射性物質の拡散

 半減期30年の放射性セシウムがほぼ消滅と言える状態になるまで何年かかるのか、計算が苦手なのでわからないが、少なくとも100年やそこらは頑固に残存するわけだ。

 今後の問題は農産物によって運ばれる放射性物質である。
 いま愛知県でも日本福祉大学の学生ボランティアが福島県産野菜を売っているが、おそらくこの野菜の安全というのは「放射性物質ゼロ」という意味ではなくて、「暫定基準値以下だから安全」ということであるだろう。これを買った消費者は、野菜から微量の放射性物質を摂取して、糞尿から放射性物質を排出し、水洗便所でジャーと流す。そうして下水処理場の汚泥から放射性物質が検出されることになる。
 あるいは、食事に使われなかった野菜クズや売れ残った野菜は、燃えるゴミとなって燃やされるか、生ゴミとしてそれ用のプラントに運ばれて、煙突から放出したり、埋められたりする。
 放射性物質の二次拡散とも言うべきプロセスが始まっている。これは雨風の気象による拡散ではなく、人間が運ぶ拡散だ。
福島産野菜を買うか買わないかは消費者それぞれの自由だと思っているかもしれないが、本当はそういう個人的な問題では片付かないのだ。
 
追記
 いま環境省は京都市に対して、震災瓦礫の処分受け入れを押し付けているようだ。受け入れを表明した京都市には抗議が殺到しているらしい。市民の抗議は正しい。
 福島第一が蒸気を吹き出しているあいだ、東北地方太平洋岸と関東一帯は「復興」させるべきではない。当面の選択肢は移住しかない。
 中部・西日本の土壌を放射性物質から防護し、農民の移住受け入れと耕地の再開拓をするべきだ。関東の汚染野菜を流通させた生協各社は潰れたほうがいい。

2011年5月23日月曜日

放射線計測器を入手

 計測器を入手した。
 中古だが、ロシア語の証明書が付いたもの。定価の4倍ぐらいするので躊躇していたが、京都の活動家から太っ腹な資金提供をうけたので、買った。愛知県で計測器を持っていてもしょうがないので、東京に送った。
 明日、東京に行くつもりだったが、こちらでまだやることがあるので週末に延期。文部科学省(児童虐待官庁)に対する包囲行動には残念ながら参加できない。

 今週末に上京してからしばらくは、東京砂場計測プロジェクトに専念したいと思う。
 日本政府と国際原子力産業は今後、福島県以外の地域での被害をないことのように扱うだろう。しかし本当の被害の中心になるのは、膨大な人口を抱える大都市圏である。宮城・栃木・茨城・千葉・埼玉の2000万人、東京・神奈川の2200万人が、今後の焦点になっていくだろう。都市圏の被害を明らかにし、必要な避難措置・防護措置をとらせることが当面の課題だ。
 6月2日には、フランスの反核団体CRIIRAD(クリラッド)を招いて、渋谷でワークショップを予定している。時間が決まったら正式に告知するので、ぜひ集まってほしい。

2011年5月18日水曜日

東京砂場計測プロジェクト

 東京砂場計測プロジェクト(仮称)を本格的に始動するため、今月下旬に再び上京する。
ガイガーカウンターはあいかわらず品薄だが、なんとか入手できそうだ。
 上京の際には、文部科学省に対する行動に参加しようと思う。

5・23 文部科学省包囲・要請行動

国と教育の恥ずかしい話

 長崎大学の山下俊一という腐れ外道が、すごい。
 福島県の集会で「安全」を触れ回っているのだが、その論法が、もう。

1、「国が安全だといっている以上、自分は一国民としてそれに従う」発言。
2、「私は被曝者二世だがしっかり生きている」発言。

 聞いていて頭がくらくらしてきた。
 まず1の発言だが、こいつはもう科学者じゃないのな。国が天動説をとったら一国民として天動説を支持なんだな。もうね、ガリレオの伝記から読み直せと。
 2の発言もひどい。おまえがピンピンしてるからってそれがなんなんだよクソジジイ。原爆症で死んでいった人間や苦しんだ人間については忘れなさいってことなのか。それ、原爆症患者の前で言えますか。この発言は学説うんぬん以前に、倫理的に大問題だ。長崎大学はこいつを追放しろ。


 こういう非常時に、非常時だからこそ、教養のなさがあらわれてしまうのか、大阪府知事の橋下がまた低脳ぶりをさらしている。日の丸・君が代に従わない教員を排除する、と。なんなのかいったい。文部科学省が福島市の児童に年間20ミリシーベルトを強要して問題になっているこの時期に、これだ。低脳な人間のために噛み砕いて教えてやるが、教育機関というものは、国から独立した権力をもたなくちゃダメなんです。学校が国の言うとおりにやっていたら、馬鹿な政策のために子供が危険にさらされるんです。それは70年前の戦争の話だけじゃなくて、いま福島の学校現場で教育の自治がグズグズなもんだから、保護者はハラハラしてるわけ。
 低脳なやつってば本当にうんざりだ。外国人が聞いたらドンビキだぞ恥ずかしい。
 

2011年5月11日水曜日

もう「原子力災害」じゃないな

 これまで東電・福島第一の問題を「原子力災害」と書いてきたが、もうやめた。
これは災害でも事故でもなく、原子力公害事件だ。
 たしかに問題の発端は地震だったかもしれない。しかし経産省と東京電力は「地震があっても大丈夫」と嘘をついてきたのだ。今回の地震が想定を超える規模であったかどうかなんて、関係ない。度重なる指摘に対して「安全です」と言ってきた事実は大きい。この事件は、自らの利益のために社会を欺き、人を殺し、財産を奪い、精神的苦痛を与えた犯罪だ。
 下手人は多い。被害を被った者も多い。失ったものは想像を絶するほど大きい。
 おそらく日本の司法制度ではまかないきれないほどの審判が待ち受けている。方法の評価はともかく、無数の人民裁判が始まり、流血を伴う断罪がなされるだろう。
 我々が唱えてきた人権概念など意に介さないような、強烈な怒りをもったアナキストが生まれる。到来する新しい世代にどのように応えるのか、私も本腰をいれなきゃだ。

2011年5月10日火曜日

東京電力の補償問題

 テレビを見ていると腹立たしいことが多い。
 今回の原子力事件で私は愛知県に引越しを余儀なくされたわけで、東京電力にはいつかきちんと転居費用を請求したいと考えているのだが、それ以前に、福島現地での東電の対応がひどすぎる。
 半径20キロ圏内から退去させられた住民たちは、なぜいまだに避難所暮らしなのか。なぜ自分の家の荷物を自分で運ばなくてはならないのか。なぜ家畜やペットと引き離されなければならないのか。
 彼らは地震・津波の被害者ではない。放射性物質の放出のために避難しているのだ。本来なら東京電力がホテルを用意して(ペット可ホテル)、引越し業者を手配して、生活費や医療費など諸費用を用意するべきだろう。なぜ彼らをいつまでも体育館におしこめ飢えさせているのか。東京電力はそれほど金がないのか。事件後に二兆円も融資されたじゃないか。社長が頭下げて謝罪するなら、きちんとやることをやってからにしろよ。
 すでに多くの動物が死んでいて、これから人間も死ぬ。東京電力の賠償額はますます膨らむだろう。

安心スペクタクルの崩壊

東京・渋谷の反原発デモで、4名が逮捕、うち2名が勾留されているらしい。
救援会のサイトができたようなので転載する。

5・7原発やめろデモ!!!!! 弾圧救援会
http://57q.tumblr.com/

 この間の東京でのデモは、1万とも2万ともいわれる大規模デモに発展している。こうした動きは今後ますます拡大するだろう。政府が図ろうとする「安全」や「安心」は、被災地住民(とくに首都圏住民)に沈黙を強いることでかろうじて成り立っていたわけだが、この緊張は長くは続かない。緊張を逃がすベクトルは、東北救援ボランティアへの動員ではなく、直接に統制の拒絶へと向かう。上からの統制に基づく「安心」のスペクタクルは、徐々に破られていくだろう。

 他方、政府は中部電力・浜岡原子力発電所の運転停止を要請し、浜岡は全機停止に至った。日本の工場である中京工業地帯は、日本に原子力発電など必要ないことを実証してしまうだろう。銀行と保険会社は、信用崩壊という地獄に向かいながら、なお「安心」を強弁しなければならなくなった。
へっへっへ。
酒がうまい。

2011年5月5日木曜日

3つの課題

 名古屋に戻ったが、どうも体調が悪い。風邪をひいたようだ。
 東京は緊張感が高く、有意義な議論ができた。
 これから3つの行動をすすめていこうと思う。

1、「ニュー新宿」の建設。
 東京脱出の促進。東京の人々の地方都市への移住を促すために、名古屋で〈基地〉をつくる。東京以外の場所に「ニュー新宿」や「ニュー高円寺」をつくる。

2、東京砂場プロジェクト。
 放射線の計測と公開。関東の土壌汚染マップをつくる。後になって被害をうやむやにされないために、汚染問題を数字でのこしておく。裁判や行政交渉であらそえる数字を確保する。

3、『NO NUKES LEXICON』
 『VOL Lexicon』に続く第二弾として、反原子力用語集をつくる。領土、人口、尺度、海、生政治、都市、新自由主義、認知資本主義、etc。人文系のみなさんがテンションあがってるところで、総力で用語集をつくる。原子力時代に応答する現代思想が大爆発。御用学者を一掃。

以上、3つの行動計画を同時並行で進めます。「ああ俺はこれだな」と思いあたるふしのある人は、どうぞよろしく。 

2011年4月29日金曜日

東京での行動計画

 アメリカの活動家から支援の申し出があったので、放射線計測の方法と機材を提供してもらうように要請した。
 原子力災害から40日以上たっているが、東京都のモニタリングポストは一つのみである。首都圏に放射性物質が飛散しているのは衆知の事実だが、国・都・区はこの事態に対応した放射線計測を行っていない。計測をしなければ、必要な除染措置もとれない。これは後々大きな問題になると思う。
 機材が調達できしだい、近所の児童公園の砂場を調査しようと思う。まず、娘の同級生が暮らす北区からだ。

追記
 この行動がめざすのは、原子力の被害を隠蔽させないことである。国際原子力産業は今後、フクシマ事件の収束にむけて、リスク評価の算定に入る。国際原子力資本はリスクを最小限に評価し、これに対する補償をできるかぎり圧縮するために働きかけていく。この数字の操作は、今後の原子力事業の存続を左右する死活的な課題である。重大な被害がいとも簡単に見逃され、うやむやにされていくだろう。
 国際原子力資本と原子力棄民との階級的抗争は、被害を直視するか、被害をうやむやにするかという認知的次元での闘いになる。原子力産業が配備する嘘と秘密と印象操作に対して、これを打ち破る闘いが始まる。

2011年4月27日水曜日

明るくない東京

 一ヶ月ぶりに東京に来た。
 名古屋から高速バスで3400円。昔に比べるとずいぶん近くなった。
 夜の9時に東京駅に到着したが、節電対策のせいで、街は少し薄暗い。といっても不自由を感じるほどではない。大阪・名古屋よりは少し暗いが、地方都市に行けばだいたいこんなもんだ。
 これから部屋の片付けやもろもろで4〜5日は滞在するつもりだが、東京で見ておきたいのは災害のもうひとつの位相、都市機能災害の空気である。

 今次の災害は、3つの位相を持っている。
1、地震・津波災害
2、原子力災害
3、都市機能災害

 首都圏の都市機能災害は、3月11日に発生した帰宅困難者問題や3月23日の水道水問題などが記憶に新しい。現在は照明不足による交通事故が発生していて、この夏には冷房不足による熱中症が懸念されている。医療体制が間に合わなければ、いくらかの死者が出ることも想定される。
 こうした問題の根底には、首都圏の人口過多がある。都市の人口規模が大きいことで身動きできなくなっているのだ。実際、4000万人にものぼる巨大人口は災害対策の大きな障害になっているのだが、日本にはこの人口を救援するだけの力はない。したがって、この街は災害救援の対象でありながら同時に災害救援の主体であるという奇妙な位置におかれるのだ。
 考えてみればおそろしいことだ。いま首都圏住民は弱音を吐くことも許されない。千葉県では埋め立て地が液状化し、ガスタンクが爆発し、それらの復旧が充分にできていないというのに、東京ディズニーランドが再開している。照明を抑えた明るくないディズニーランドで、楽しそうに、まるで自分たちが被災者でないかのように振るまうのだ。不謹慎かもしれないが、すごくおもしろい。

2011年4月26日火曜日

名古屋デビュー

 19日、緊急企画「原子力災害とその後」(白石嘉治・矢部史郎・飯尾浩光)で討議。終了後、大須のバーで朝まで飲む。
 21日、日本福祉大学の人と今池で会議。というか飲み。
 22日、引っ越しの荷物が到着。
 23日、荷物整理と並行して、デモで使用する横断幕を作成。
 24日、LOVE&ビンボー(アースデイとメーデーを合体させたお祭り)に参加。参加というか、ほぼスタッフ。終了後、金山の居酒屋で打ち上げ。


 というわけで、疲れた。ブログを書いている暇がない。
 今後は名古屋の人文系大学人が集まる研究会(自主ゼミ?)に参加することが決まっている。あと、ニューヨークのサブ高祖さんが1~2カ月後に日本に来るというので、名古屋でなにかイベントを企画できたらいいなと思う。あとこれ以外にも秘密計画が進行中。
 まあ、忙しい。なにが忙しいって、交流と飲みが。名古屋は飲み代が安く、金山駅前の居酒屋なんか飲み食いして一人千円で済んでしまう。あんまり安いので、焼酎のボトル(一升瓶で700円!)を入れてしまった。やばいやばい。
 

2011年4月21日木曜日

地方自治の崩壊

川崎市長 ゴミ受け入れへ準備

東日本大震災の被災地で出た粗大ゴミを、川崎市が受け入れる方針を示しているのに対し、市民から「放射線を浴びたゴミを受け入れないでほしい」といった意見が多く寄せられていることについて、川崎市の阿部市長は、偏見に満ちた意見だとして、これまでどおり受け入れに向けて準備を進める考えを明らかにしました。

東日本大震災の被災地では、壊れた建物や家財道具などの大量の粗大ゴミが出て処理が追いつかなくなっているとして、川崎市は、市の浮島処理センターで受け入れる考えを示しています。しかし、この方針が明らかになった今月8日から18日までに、市役所に市民などから電話や電子メールなどで合わせて4770件の意見が寄せられ、その大半が「放射線を浴びたゴミを受け入れないでほしい」といった反対意見だったということです。これについて、阿部市長は19日の会見で、「汚染されたゴミが運ばれたら大変だと思われたのかもしれないが、汚染物質は区域外に搬出することがもともと禁止されており、川崎市が受け入れるのは一般のゴミだ」として、安全性に問題がないことを強調しました。そのうえで阿部市長は、「偏見に満ちた意見があったことは心外だ」と述べ、市民に冷静な対応を求め、これまでどおり受け入れに向けて準備を進める考えを明らかにしました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110419/t10015423761000.html

 ガセではないかと目を疑った。これが本当なら凄いことだ。4770件もの抗議をうけてなお、首長の独断で強行するのだ。放射性物質の検査方法も検査基準も明らかにせず、一方的に「安全性に問題ない」ときた。これが例外状態における「地方自治」だ。くそ。

学校に子供をあずけるな

年20ミリシーベルト 健康に影響出ることはない

 文部科学省は福島県内の学校などの施設、校庭の利用について校庭、園庭での1時間あたり放射線量が3.8マイクロシーベルトを超えるところでは屋外活動は1日1時間程度とし、屋内、園内での活動を軸にするように措置を講じたが、この基準について放射線影響学が専門の久住静代原子力安全委員会委員は20日開かれた衆議院青少年問題特別委員会で「(基準の妥当性について)社会的、学校教育等々、総合判断の下で可能と判断したもので、年間20ミリシーベルトで健康に影響が出るということはない」とした。

  また、久住原子力委員会委員は「決して、こども達に放射線量を年間20ミリシーベルトまで受けることを容認しているものでない。できるだけ、受けないように努めるべき」とした。また、今回の措置が夏季休業終了までの暫定的なものであることや継続してモニタリングが実施されていくことも総合判断の材料になっていることをうかがわせた。

  また、有松育子文部科学省スポーツ・青少年総括官は「継続的なモニタリングをしており、文部科学省として安心して学校教育を受けられるよう努めたい」とした。

  これは、宮本岳志議員(日本共産党)が「こどもは放射線の感受性が成人に比べ3倍から10倍あり、放射線の影響を受けやすいという専門家もいる」と語り、許容放射線量を年間20ミリシーベルトとした理由と安全性について質したのに答えた。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0420&f=national_0420_234.shtml

 どうですか、これ。
「自然界から受ける放射線量(外部被曝)は年間1ミリシーベルトだから、大丈夫」と言っていた政府が、「子供についても年間20ミリシーベルトぐらいは様子見でいこう」と言うのだ。しかも内部被爆は別勘定。放課後の時間も別勘定。毎日学校に通わせて子供たちを被曝地帯に拘束しておきながら、ちびっこが大人の見ていないところで泥遊びをしていましたなんてのも別勘定だ。
 もう、開いた口がふさがらない。
 原子力安全委員会は足し算ができないことは知っていたが、足し算の式をつくることすらできないことがわかった。

2011年4月19日火曜日

原子力都市と海賊

 昨日、名古屋のグループの会議に行ったら、「あー! 海賊が来た!」と言われた。「海賊だ海賊だわーい」って、あのさ、おれ東京では一応「知識人」的な扱いだったんだけど。名古屋の人たちはそういう理論的な関心が薄いんだかなんだかわからないが、もっぱら「海賊の人」(廣飯研究員とあわせて海賊コンビ)と認識されてしまった。まあいい。東京から名古屋に漂着して、なぜかデモの横断幕をつくったり、焼きそば屋台の担当になったりしてしまっているので、客観的に見れば海賊なのかもしれない。海賊研究じゃなくて、まんま海賊。
 それもこれも東電・福島第一のせいだ。我々なんかまだかわいいほうだ。東電の原発のおかげで、これから多くの人間がガチで海賊化していくだろう。たとえば漁師とかどうすんだよこれから。魚とれないじゃん。魚とれなくて、じゃあなにやって食うかって考えたら、いま私が思いつくのは、密輸? いま国産タバコが品切れ状態だから、朝鮮からタバコを運ぶ、とか? あと倫理的に問題ありだが、放射化した農産物を朝鮮やロシアに運んで売る、とかな。密輸以外に思いつくのは、誘拐? いま東北地方では全般的に警察が弱ってるから、誘拐もありだな。原子力推進学者の子や孫を誘拐して金をとるってのは、おれは全面的に支持だね(海賊研の総意ではありません)。
 あ、今日のシンポでは海賊の話はしません。海賊ばなしがしたい人は、2次会以降で。

2011年4月18日月曜日

今日は名古屋で鍋会

名古屋の中村区(中村区役所前駅)で鍋と会議。「LOVE&ビンボー」というアースデイとメーデーが一つになったイベントの実行委員会。明日のシンポジウムの打ち合わせも兼ねて、廣飯くんと共に参加する。名古屋の運動界隈がどんな人たちなのか、ちょっと不安もあるが、実行委会議がイコール鍋会という作風には期待したい。

2011年4月17日日曜日

外国人にまかせよ

土壌や海、大規模調査へ 全国の研究者が放射線量を測定

福島第1原発の事故を受け、全国の大学や研究機関の研究者らが、地元の住民や土壌、海への影響を大規模に調査する取り組みを始めることが14日、分かった。参加するのは教授クラスの100人以上で、ほかの教員や大学院生も含めると数倍の人数が見込まれる。希望する地元住民の放射線量計測を支援する事業も立ち上げる。
 住民の放射線量測定は、放射性物質への不安に対応するためで、東京大と大阪大が中心となる。対象となる可能性があるのは、福島第1原発周辺の約20万人。そのうち放射性ヨウ素の被ばくで甲状腺がんになりやすい14歳以下は約3万人。
 大学や研究機関の教員、研究者、大学院生から放射線の計測ができるボランティアを募る。
 また、原発周辺の土壌について共通のデータベース作りを目指す。大阪大のチームは福島県が既に進めている調査と連携し、5月から第1原発を中心に沿岸部の南北100キロ、内陸部60キロにわたって1500カ所の土壌採取を行う。首都大東京などのチームは、福島県や茨城県で大気や降水、土壌のデータを集める。
 海については(1)福島県沖の放射性物質の分布(2)食物連鎖に伴って生物に濃縮される放射性物質の量(3)生物に及ぼす影響―などの調査を予定。
 海洋汚染調査に関与する気象研究所の元職員、広瀬勝己さんは「個別の研究機関でなく日本全体で対応し、きちんとしたデータを出さないと世界に申し訳ない」と話す。 (4月14日 北海道新聞)

全国の研究者を結集させて、大規模な調査チームをつくる。まったく理系の人たちは壮大な無駄をやる。
 福島第一の悪夢を生み出したのは誰か。産官学連携に組み伏された日本の学者たちじゃないか。この人たちがいくら働いたところで、信用されるわけがないじゃないか。
私は信用しない。
「緑の党」や「グリーンピース」が調査した結果は信じる。
こういうことは外国人にまかせよ。

追記
 日本人のなにがいやっていうと、「頑張ってる人を応援しよう」という甘さだ。科学と道徳を混ぜて語るバカが多すぎる。科学的方法というのはさまざまな検証にさらされるプロセスなのだから、主観や感情をまじえずにやってほしい。素人のつっこみにもたえられない「専門家」の働きなど、税金の無駄遣い。民間療法に金をつぎこむのと同じだ。

2011年4月15日金曜日

観光産業と原子力

3月の外国人観光客は半減した。
韓国・中国・台湾からの観光客がいずれも50%に落ち込んだ。
問題は受け入れ側の事情だけではなく、おそらく原子力災害の動向を見てキャンセルが発生した結果である。これは大変なことだ。東京はもちろん、地方の温泉宿なんかは大ダメージだろう。
 原子力で脳が被曝した右翼は、「外国人が来なくたって平気」というかもしれないが、地方経済にとって外国人観光客は大切な収入源だ。伊豆とか、北海道とか、外国人でもってたんだからね。
 「まだ大丈夫」とか「基準値をあげました」とかよくわからない意地を張ってなんとかなるのは日本村の世間だけであって、外国人にそういう屁理屈は通用しない。少なくとも基準値をWHO基準に揃えて、放射線量の調査を全国で実施しないと、もう誰も遊びに来てくれない。地方経済はじわじわと追いつめられていくだろう。

  

2011年4月12日火曜日

名古屋で緊急企画

■大変だワン! LOVE&ビンボー春祭り 緊急プレ企画

『原子力災害とその後』
白石嘉治×矢部史郎×飯尾裕光

■日時:2011年4月19日(月)
入場無料・1オーダーよろしく・投げ銭カンパ熱烈歓迎(ビンボー企画です)

■場所:オーガニックキッチン陽菜(ひな)
地下鉄名城線「矢場町」4番出口より歩いて2分(052-243-7242) 名古屋市中区大須4-1-12

 3月11日の東北・関東大震災は、かつてない大規模災害であると同時に、かつてない深刻な原子力災害をひきおこしました。
現在、福島第一原子力発電所では複数の原子炉施設が爆発し、放射性物質を噴き出しています。福島第一原発の周辺では、もう二度と人の住むことのできないだろう汚染地帯が拡がってい
ます。そして事態が収束するまでには、5年とも10年ともいう長い時間と、膨大な被曝労働者が必要であるとされています。
今回の緊急ディスカッションでは、自然と社会に大きな被害をもたらした原子力災害と原子力政策について考えます。
パネリストには、現代思想のシーンで先鋭的な論考を発表している白石嘉治氏と、著書『原子力都市』がある活動家、矢部史郎氏を招き、
地元名古屋からは、オーガニックレストラン経営の傍ら農業や自然エネルギーについての実践を研究中の飯尾裕光氏が、
現代思想シーン活躍する両名を迎え「フクシマ」後の状況を議論します。

■パネリスト
白石嘉治(しらいし・よしはる)
1961年生まれ。著書『不純なる教養』(青土社、2010)、編著『ネオリベ現代生活批判序説』(新評論、2005)。訳書に、マルク・クレポン『文明の衝突という欺瞞』(新評論、2004)。

矢部史郎(やぶ・しろう)
1971年生まれ。著書『原子力都市』(以文社、2010)、共著に『愛と暴力の現代思想』(青土社、2006)現在、東京から愛知県に避難中。

飯尾裕光(いいお・ひろみつ)
1975年生まれ。名古屋市北区にあるオーガニックレストラン「みどりの屋根INUNNIQ」のオーナー。幼少の頃より親に連れられ反原発運動に参加する。現在は店を経営しながら大学院で自
然循環学を勉強中。特技は味噌仕込み、鶏解体、ギターなど。

■主催
アースデイあいち2011・LOVE&ビンボー作戦本部・070-5640-0219
http://blog.earthday-aichi.net/
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1871325

2011年4月11日月曜日

放射線は偽装できませんから

 福島県では原乳のブレンドが試みられているそうだ。
放射線濃度の高い原乳と、低い原乳をブレンドして、基準値をクリアさせるという方法だ。
 もう、悲しくなる。
 やっている人たちが一番わかっていると思うのだが、こんな方法はその場しのぎにもならない。ブレンドをして基準値をクリアしても、この牛乳は誰も買わない。食品偽装にもあたらない。偽装未満だ。
 たとえば、普通のコシヒカリに魚沼産コシヒカリというラベルを貼って高く売るのは、立派な産地偽装である。この種の偽装は、ちゃんと舌の肥えた人にしか見破れない、素人は簡単にだまされてしまう偽装だ。
 放射線牛乳は、違う。これは素人にもバレバレである。食品メーカーや消費者団体や管理栄養士さんはもちろん、ずぶの素人の私でも、測定機さえあればわかってしまう。もしかしたら家庭用浄水器みたいなお手頃値段で放射線測定機が普及してしまうことになるかもしれない。そうなるだけの充分な動機と実績を日本の消費者はもっている。
 もう悲しいことはやめさせてほしい。政府は被害を受けた事業者に充分な補償をしろ。

2011年4月10日日曜日

中年議員がイチゴ食べたからってなんなの

『現代思想』誌の原稿を書かなきゃいけないので、とりいそぎ乱暴に書くが、中年議員がイチゴ食べたからって安全性のアピールにはならない。この人たちはチェルノブイリの被害がどういうものか知らないのだろうか。
 誰でも知っていることなのだが、知らないか知らないふりをしているボケのために書く。放射線の被害には感受性があって、年齢が若いほど被害を受けるんです。若いお母さんたちがうろたえているのは、幼い子供ほど放射線の被害を受けるからなんです。将来出産したいと考えている若い女性たちが動揺しているのも同じ理由です。

蓮舫! 見た目は若くつくってるけど、若くないでしょ! あんたが食べても意味ないでしょ! 
消費者担当相がこんなボケをかましてるようでは、よけい不安になる。まじめにやれと言いたい。

2011年4月8日金曜日

うそつきNHK

 雑誌『現代思想』の元編集長と電話で話した。よく笑う人だが、いつにもまして爆笑していた。「もう、むちゃくちゃなんだよ、ぐはははは」と。本当にそうだ。
 最近のNHKの報道で笑ってしまったのは、格納容器への窒素注入についての解説。いわく、「格納容器は鋼鉄製で、放射性物質を閉じ込める最後の砦と言われる」。
 ちょっとちょっと。「最後の砦」というのは、格納容器じゃなくて建屋でしょう。「最後の砦」=建屋は、ずいぶん以前にぶっこわれてるでしょ。「最後の砦」が吹き飛んだから、アメリカ人も中国人も退避して近寄らないの。しれっと嘘をつくんじゃないよ水野。
 まったく。公共放送が皆様の受信料を使って嘘を垂れ流している。水野はだまってろ。

2011年4月6日水曜日

低線量被曝地帯

年間の被曝限度量、引き上げを検討  原子力安全委

 原子力安全委員会は5日、放射線量の高い地域の住民の年間被曝(ひばく)限度量について、現在の1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げるべきか検討を始めた。放射線の放出が長引き、「長く生活する観点で考えないといけない」とし、現実路線への見直しを検討する。
 会見した代谷誠治委員は「防災対策での退避は通常、短期間を想定している」と指摘。すでに数週間に及ぶ退避や避難の考え方について、政府から見直しを検討するよう相談されていることを明らかにした。 原発から半径30キロ圏外の福島県浪江町の観測地点で放射線量の積算値が上昇している。先月23日から今月3日までの積算値は10.3ミリシーベルトになった。日本では人が年間に受ける被曝限度量は現在、一律1ミリシーベルト。国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告では、緊急事故後の復旧時は1~20ミリシーベルトを目標としている。

2011年4月5日 asahi.com(朝日新聞社)

「長く生活する観点で考え」て、「現実路線」をとると、原子力安全委員会の専門家たちは被曝限度量の引き上げを検討するわけだ。これは、コロンブスの卵だな。
 私なんかは常識的な発想にとらわれた素人だから、「長く生活する観点で考え」ると、被曝限度量の引き下げ&避難範囲拡大&作付け禁止範囲拡大、というふうになるものだと考えていた。なぜなら、原爆症認定問題をちらっと見るだけでも、問題の大部分は低線量の被曝者たちだからだ。被曝問題というのは、「ただちに」健康に被害を受けた人たちだけではなく、長い時間をかけてじわじわと放射線量を蓄積した人たちの被害の問題である。だってほら放射線って見えないから。大丈夫大丈夫でやっていると、自分でも気づかないうちに低線量の放射線に曝されて蓄積してしまうのだ。もちろん国はそういう被害を認定しない。それは生活習慣の不摂生じゃないですか、自己責任ですねってことになるだろう。
 原子力安全委員会が最大20倍の被曝量をOKにしようと書類を書き換えているのは、今後膨大な被曝者問題が起きることを想定しているからだろう。首都圏も例外ではない。人口規模で考えれば、むしろ首都圏の被曝者問題こそが、今後大きな問題になるだろう。
 東京はすでに低線量被曝地帯である。数年か十数年後に、数万人規模の「原爆ぶらぶら病」が再現される。

追記 
 原稿がなかなか進まないのでDVDを観た。
『仁義なき戦い 広島死闘編』。村岡組山中正治(北大路欣也)と、大友組大友勝利(千葉真一)を描いた回だ。
 若いやくざたちは、年寄りにだまされるか年寄りを踏みにじるかして、暴力にあけくれ死んでいく。彼らは広島のほこり立つマーケットで、自覚できない内部被曝にじわじわと体を蝕まれながら、抗争を繰り広げたのだ。映画では明示されることはないが、これは低線量被曝地帯の映画だ。
 

2011年4月5日火曜日

製紙産業と原子力

東日本の生産設備が大きな打撃をうけているが、そのなかで、紙とインキの生産が滞っているらしい。「紙」というのがどこからどこまでを指しているのかわからないが、製紙業の再建にとってフクシマの放射性物質は大きな障害になるだろう。
 子供がはじめに触れる工業製品は、紙・パルプ製品だ。ティッシュペーパー、キッチンペーパー、紙おむつ、絵本、画用紙などは、今後、放射線測定が行われるかもしれない。製紙の放射線が管理対象になれば、インキや印刷も対応を迫られるだろう。
乳児は絵本たべるからなー。大変だー。

2011年4月2日土曜日

ただちに健康に影響を及ぼすものではない

政府・東電・NHKは、なにを考えているのだろうか。
「ただちに健康に影響を及ぼすものではない」って、これから毎日言うつもりなのだろうか。そういうアナウンスを毎日すること=毎日聞かされることが、どれだけ異様な社会であるか、あ、自分の背中は見えないってことか。
 問題は福島第一の事故が未知の体験であるというよりも、それに対処する人間社会の所作だ。大の大人が雁首そろえて毎日毎日「今日明日は大丈夫です」って、どんだけ電波の無駄遣いだよ。滑稽だと思わないのか。
 いや本当に問いたいのは、「ただちに~ない」報道を聞かされている側の態度だ。あんたたちはいつかNHKが「もう危ないです」と言ってくれるのを待っているのか。それとも、近所の乳幼児が「坑道のカナリア」みたいにぐったりして危険を知らせてくれるのを待っているのか。でもそれって近代市民社会的にどうなのよ。ふだん「個の自立」とか言ってた諸君。ちょっと考えてほしい。

2011年4月1日金曜日

地方自治体の動き

鳥取県が被災者200人臨時雇用へ

  鳥取県は31日までに、東日本大震災の被災者約200人を、県や市町村の非常勤職員として臨時雇用する方針を示した。県は「期間は原則半年だが、場合によっては延長も検討する。当面は生活を心配せずに避難を」と話している。

  県災害支援対策本部によると、被災地への物資輸送や被災者受け入れの調整など支援業務を担当してもらう予定。県の非常勤職員の場合、賃金は月額11万4800円。

  鳥取県は約2千人の被災者受け入れを表明しており、30日現在、4世帯20人が避難している。(共同)

ニッカンスポーツ/共同通信 [2011年3月31日11時51分]
http://ime.nu/www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20110331-755112.html
 パニックに陥っている政府とは別に、地方自治体はクールに動き出した。今回の災害の規模を考えれば、水や食糧を運ぶという方法はいつまでも続かない。被災者のための住居や仕事を用意し人間を移動させることが、もっとも現実的な方策だと思う。いま愛知県職員も福島に支援に行っているようだが、その最大の目的は企業移転の誘致だ。西日本各地の自治体が、そうした経済的関心をもって東北に向かっているのだろう。
 今後、東北(太平洋側)と関東の人々は、いやおうなく西日本に移動することになる。この人口の移動、地域経済の移転・再建に、われわれがどのようにコミットするかが問われている。行政(経済界)とNPO(コミューン運動)のレースは、すでに始まっている。

2011年3月30日水曜日

私的なものの回復

千葉の水道水、22日に一般規制値超えるヨウ素

千葉県と複数の自治体で構成する北千葉広域水道企業団は29日、江戸川を水源とする北千葉浄水場(流山市)で22日に採取した水から一般向けの国の暫定規制値(1キログラムあたり300ベクレル)を超える336ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表した。
 北千葉浄水場から直接送水しているのは野田市、柏市、流山市、我孫子市、八千代市、松戸市、習志野市。県営水道を通じ、鎌ケ谷市、船橋市、白井市にも送っている。
 同企業団によると、22日の水は現在の水道管にほとんど残っていないが、長期間水道を使っていなければ「バケツ1~2杯の水を捨ててから使って」と呼びかけている。

一週間もたってから数値を発表しても意味ないだろう。
どうすんだよ千葉県は。どうすんだよ日本政府は。
と、一応言ってみる。棒読みだけどね。

いまさら驚いても遅い。こうなることは充分予測できたことだ。そしてこの正しく予測されるべき予測は、公的なものとしてはあらわれないのだ。原理的に。


いまテレビを見ると、災害にまつわるいくつもの美しいエピソードが紹介されているのだが、私が一番感動したのは、ある小学校での避難の話だ。
 ある小学校が津波に襲われた。教員は生徒たちを引率して避難をさせなくてはならない。その小学校の防災計画は、校舎の三階(最上階)または屋上に生徒を避難させるというものだった。しかし、このとき現場にいた教員たちは、津波の規模が想定を超える大きさだと直観した。彼らは防災計画にはない方法、つまり、校舎を出て裏山に避難することを決めた。子供たちを裏山に登らせた後、巨大な津波が校舎を飲み込んでいった。
 このエピソードが教えているのは、人間が災害の現場を生きる(生きられない)ことが、私的なものの領域に支配されているということだ。
 公的な防災計画などというものは、あくまでガイドラインにすぎない。それは防災コンサルタントみたいな書類屋が、行政からもらった予算と時間の中でソツなくまとめたものにすぎない。本当に生きるか死ぬかを決するのは、防災計画の出来不出来ではない。ある一人の人間がある一回的な現場のなかで、私的なものに身をゆだねるということだ。
 ある小学校では、ある教員が、「やばい」と感じ、防災計画を無視したからこそ、生き残った。こうした経験は、災害のあらゆる現場で起きていることだろう。災害がある種のユートピア的な経験として感じられるのは、この私的なものの回復が広範に現出するからである。
 原子力災害も例外ではない。政府が情報を隠蔽しているとか場当たりの無計画だとかいう問題は、それはそれとして政治として批判するべきなのだが、より主体的により根源的に重要になってくるのは、この災害を生きるという経験を、各々がどれだけ私的なものとして生きるか、ということだ。ちょっと文章が込み入ってしまった。ちょっと舌足らずで説明不足になってしまうのだが、要するに、いま一回的な災害のなかで私(私たち)が言うべきは、「私的なことは政治的である」てことだ。

脱原子力ゼネストのビラ

ビラです。
コピーしてどんどん撒きましょう。
仕事をどうするか悩んでる人は、この際、上司とじっくり話しましょう。


2011年3月29日火曜日

核をなめるな

ネットでみつけた有害な主張。

「現段階での責任追及はどうでもいい。
 国民は誰に罪があるかわかっている。
 みんなで福島をなんとかしないと未来はない。
 そのためにできることを、自分でもできることを考えたほういがいい。 」(原文ママ)


まったく倣岸不遜で無責任だ。
福島はもうどうにもならない。誰も近づけない。その現実を早く認めなければ、ますます多くの人間が被曝させられることになる。だいたい「みんなで」ってなんだ。自分が作業現場にいくつもりもないくせに偉そうなこと言うな。こんな精神論をふりまわしたところで、現実がどうにかなると思うな。自己満足もいいかげんにしろ。
核をなめるな。馬鹿野郎。

もうひとつのメルトダウンに向けて

 昨日、富山市の「生・労働・運動ネット」のセミナーに参加して話してきた。
 現在の状況を説明し確認するうちに、自分がやろうとしていることが少し整理できた。
 要約すれば、今次の原子力災害による首都圏の被災は、日本列島全体を揺るがす事態になるだろうということだ。

 いま放射性物質の拡散をうけて、東京という都市の位置づけは揺らいでいる。東京は被災した東北地方を救援する拠点なのか、それとも東京自身が被災地なのか、その評価をめぐって葛藤がくりひろげられている。政府は「首都圏は安全」という発表を繰り返し、企業は労働者を拘束して事業を継続する。他方、妊婦や乳幼児を連れた母親たちは、西日本に向かって大移動を始めた。若年労働者からは、ゼネラルストライキの声があがりはじめた。いま首都圏では、ひとつの家族が退避するかしないか、会社に留まるか否かをめぐって、引き裂かれている。これを福島第一の核燃料に喩えれば、これまで「絶対に安全」だと信じられていた企業社会/核家族の被服管が、じわじわと破れはじめているのだ。政府がいくら統制を試みても、この動きは止まらない。首都圏3800万人のうち、その1%が動いたとして38万人、5%で190万人だ。資本主義の被服管を溶かし漏出していく女と子供、若年労働者(そして外国人)は、別の街に堆積し、新たな運動の連鎖反応を始めるだろう。
 もうひとつのメルトダウン、企業社会から分離・漏出する「人口」のメルトダウンが始まる。この新しい人口の波に洗われた地方都市は、かつてあった「日本」であり続けることはできない。首都圏を離れた巨大な人口と知性、潜勢力が、日本列島全体を焼き焦がしていく。
 楽しみだ。やる気が出てきた。
 

2011年3月26日土曜日

爆発は回避され、巨大な殺生石が残る。

 愛知県での一時退避もかれこれ2週間になる。福島第一原発はメルトダウンした状態のまま、大量の水とホウ素と人間の生き血を消費していく。その間、蒸気放出を実行するとかしないとかいうコントロールが効かない状態で、破壊された配管はダラダラと放射性物質を噴き出していく。これは殺生石だ。しかも、いつ再臨界が進行して爆発するかもしれない、手のかかる殺生石である。
 受け入れたくないが、長期戦になる。
 放射性物質が、東北・関東を徐々に侵食していくにつれて、人間も徐々に退避していかなくてはならない。私は今年40歳になるが、残りの人生はこの殺生石との闘いになるのだろう。

未組織の、自発性の、ゼネストへ

東京のグループが声明を出しているので転載します。
-------------------

すべての働く者たちへ --脱原子力ゼネラルストライキを

わたしたちは、全=世界の学生・ニート・フリーターの名において、すべての労働の即刻停止、ゼネラルストライキを呼びかける。この脱原子力ゼネストが要求するのは、世界の全原子力発電所の即刻の廃止、世界の全原子力爆弾の即刻の廃棄である。今でなければいつ、わたしたちは原子力のない世界に出発することができるのか。原子力災害下の日本でなければいったいどの国が、原子力のない世界への希求を表現することができるだろう。

あなたたち労働者がこの反原発ゼネラルストライキを拒否すれば、あなたたちは人類の希求である脱原子力世界のきざしを見殺しにすることになる。おろかな「社畜」たちの停止判断により、世界はこれまでと同じく、原子力の恐怖と原子力イデオローグの愚昧に統治されることになる。人類は、みじめな狼狽をスクリーンにさらしつづける東電や原子力保安院の連中と同じく、あなたたちをさげすみ、わらうだろう。

首都圏の職場につながれたフリーター、学生、貧者、労働者、零細企業経営者は、この原子力カタストロフのただなかで逃げることもできない。彼・彼女たちは、資本主義のロジックにより職場につながれ、いまこの瞬間にも不可視の放射能におびえている。放射能に汚染された風に吹かれ、職場を放棄できないでいる。彼・彼女ら貧者たちは全=世界の形象である。喫緊に非難すべき首都圏の彼・彼女たちを見捨てることは、彼・彼女たちのみならず、彼・彼女たちが表現する全=世界を死と絶望のふちに沈めてしまうことを意味する。

風の歌を聴こう。風に舞う答え、それは原子力のない世界への移行である。この反原子力ゼネストは人類の責務であり、その遂行はひとえに、日本の労働者たちの即座の職場放棄にかかっている。あなたたちがゆうきをもってストライキを敢行すれば、世界中から賛同の声と連帯行動がよせられるだろう。世界的ムーブメントがわきあがり、世界の統治者たちの喉元に、原子力発電所の廃止という刃がつきつけられるだろう。だが、あなたたちが卑劣にストライキを拒否すれば、全=世界は落胆と悲しみにつつまれる。原子力を満載した地球はこれまでどおり浮薄に笑い、原発イデオローグは人類への侮蔑を隠そうともしないだろう。あなたたちは「社畜」として軽蔑されつづけるだろう。

会社が自分に何をしてくれたか、いまこの瞬間に、もういちど考えてみてほしい。会社における仲間たちとの共同、友愛、結託は、会社が与えてくれたものではなく、あなたたち自身の力である。どうか、自分自身の力をみくびらないでほしい。かけがえのない家族同盟を、あなたたち自身を、はたして会社が守ってくれるだろうか。あなたたちがスクリーン上の事態をみまもり、正確な情報判断を心がけているその間にも、妊婦たちははかりしれない原子力恐怖を生きている。彼女たちにたいし、それでもあなたたちは「パニックになるな」「不安になるな」と言いつのるのだろうか。くりかえす。どうか、自分自身の力をみくびらないでほしい。

敵のいない戦争が進行中である。革命勢力を鎮圧するためにエジプトに登場した放水車が、ここ日本では焼け石と化した原発にむけて放水する。国家を自衛すべく悪の枢軸国の攻撃をむかえうつはずの軍隊が、蒸気のようなものをふきあげる原発と対峙している。

戦後の蜃気楼がゆらめき、復興というあらたな意匠をまとった労働者ナショナリズムが舞台の袖にひかえている。いまや世界の常識であるように、災厄とはまたとないビジネスチャンスであり、権力のユートピアなのである。各国の首脳陣が集まる楽屋裏では災害後のドクトリンが協議されている。わたしたちは呆然とするあまり、かけがえのないこの絶望すら、絶望的に立つのぼる希望すら、動員され、運営され、統治されてしまうのだろうか。

たとえ再臨界を回避できたところで、「日本の信用」を回復することはできない。普通に考えればわかるように、世界で唯一の原発被害国が、スリーマイルやチェルノブイリとならぶ原発災害を起こすなどというのは、冗談にもならない事態である。日本資本主義の「信用」は決定的に地に落ちた。それをふまえたうえでなお「信用」の語にこだわるのであれば、日本はいますぐ原子力発電を停止し、世界の原子力体制をくつがえすムーブメントに着手すべきである。

本当の戦争を開始しよう。放射能をまきちらすゴジラやグエムルは、統治者や企業が対峙すべき敵であっても、わたしたちの敵ではない。わたしたちの本当の敵は、世界を無数のゴジラやグエムルはで埋め尽くした資本主義者にほかならない。やつらを舞台裏から引きずり出し、徹底的に糾弾し、世界から追放するときはきた。わたしたちの武器はゼネラルストライキである。くだならない職場を放棄し、経済という名の亡霊をしりぞけ、被災者のためにできることをいますぐ開始しよう。

2009年3月19日

脱原子力ゼネラルストライキ委員会

2011年3月25日金曜日

反撃、原子力国体からのエクソダスへ

 じりじりとテレビを見るのは、もう、うんざりだ。
 関東圏から中部・西日本への民族大移動を、運動として模索しようと思う。
 今週末(3/27)、富山県の「生・労働・運動ネット」と意見交換の交流会に行きます。VOL同人の渋谷望さんも合流する予定。
 消極的な退避から、積極的な離脱へ、そして原子力化した国体への反撃(ゼネスト)を構想するべく、富山におじゃまします。
 住民の運動から、流民の運動へ。日本列島のバンダル族となって、都市の都市論的実践を再生させていきましょう。

追記
 同日、東京でも行動が予定されているようです。呼びかけがまわってきたので転載します。
首都圏の仲間たち、結集を。

-----------------
★銀座デモ・パレード

3月27日(日) 集合13:45、出発14:00

集合場所:銀座の水谷橋公園(ホテル西洋銀座・テアトル東京の隣)地下鉄銀座一丁目または京橋駅下車数分解散は日比谷公園予定

いつもは、『STOP再処理 LOVE六ヶ所 パレード』としてきましたが、今回は、福島原発震災発生のため、タイトルも変更してデモを行いたいと思います。 横断幕やプラカードなど持って来て下さい。日比谷公園では短時間ですが、最新状況も報告します。

【主催】再処理とめたい!首都圏市民のつどい
 呼びかけ団体:原水禁国民会議(03-5289-8224)/プルトニウムなんていらないよ!東京(旧称 ストップ・ザ・もんじゅ東京)/大地を守る会/福島老朽原発を考える会/日本山妙法寺/日本消費者連盟/ふぇみん婦人民主クラブ/グリーンピース・ジャパン/原子力資料情報室/たんぽぽ舎

2011年3月23日水曜日

首都圏大衆の被害と加害

 数日前、平井玄さんからメールを頂いた。
 そこで予見されているのは、「この都市で働かされる私たちは」、「「使い棄て原発日雇い労働者」に確実に近づいていく」という指摘だった。
 私がここに批判的に補足したいのは、原発の被曝労働者はただ被曝をしているというだけでなく、放射線の被害を過小評価する洗脳教育を受けることで、自分だけでなく同僚を被曝させ、地域住民に原子力の脅威を与える存在であるということだ。
 被曝労働者(労働者というよりは人材)という存在は、ただ被害者であるだけでなく、加害者・共犯者でもある。
 いま東京の労働者が自らに問わなければならないのは、被害の問題ではなく、加害・共犯の問題だ。自分がいま選択すること/しないこと、意識すること/しないことが、誰を脅威にさらしているのか、落ち着いて考えることだ。
 いま東京のテレビは、放射性物質の被害を過小評価し、大丈夫大丈夫と呼びかけあうことで、女性と子供を脅威にさらしている。首都圏4千万人の壮大なネグレクト(育児放棄)が始まっている。本当なら、児童の集団疎開を提起・実践するとか、教員が「教え子を被曝させない」と訴えてもよい時期だ。
 日本民衆・大衆はかつて、戦争に勝てないことをうすうすわかっていながら、若者を特攻させて殺したバカ民族である。バカ民族の末裔のグズどもが、いまなにをできるか、私は悲観的だが悲観ばかりもしていられない。

転居を決める

 愛知県への退避は一時的なものであってほしかったが、そうはいかないようだ。
 東京の水道水と近郊の野菜から放射性物質が検出された。福島第一はまだしばらく噴気をあげ続けるから、事態は日を追うごとに悪くなっていくだろう。とても子供を育てられる環境ではない。10日ほど後には子供を学校に行かせなくてはならない。新年度から、こちらの学校に転校させることを決めた。

 いま避難している春日井市は、名古屋市に隣接するベッドタウンだ。私が育ったころは田んぼと工場と砂利道ばかりだったが、最近は若い家族向けのマンションや戸建がつくられ、大きなスーパーやホームセンターやドラッグストアができている。ここにずっと身をおくかどうかはわからないが、当面の生活は苦労しないだろう。
 この街で車を走らせていると、多摩ナンバーや春日部ナンバーの車を見かけることがある。私たちと同じように首都圏から避難してきたのだろう。あるいは父親だけを首都圏に残し、逆単身赴任の状態なのかもしれない。
 この子供たちはいま、土地を失った悲しみと新しい土地への不安を感じている。しかしそうした感情も一時的なものだ。学校が始まれば、子供たちはいろいろなことを忘れていくだろう。
 彼らは東京という街があったことを忘れ、我々の世代が予感したものとは別の未来を生きる。この無邪気でふてぶてしい「神的暴力」(摂理の暴力)が、いま私が確信できる唯一の力だ。

2011年3月21日月曜日

廃炉とみずほ銀行

 東京電力はもちろん政府も、福島第一原発を廃炉にするかどうか明言しない。記者の質問にもゴニャゴニャ言っている。もう天井が開いているのに。それでみずほ銀行(東電のメインバンク)はカネを動かないようにしているのか。あ、あれは「システム障害」だったか。
 よくわからんが、金融・不動産部門はこれから大混乱に陥るだろう。どうあがいても時間の問題だ。いい気味だ。

被災と再建のヘゲモニー

この一週間、毎日テレビを見ていた。こんなにテレビを見たのは、ずいぶんひさしぶりだ。東京に暮らしていたころはテレビなんか見る必要がなかったのに。情けなくなる。

 これからいろんな人に電話をしようと思う。ただブログを書くだけでなく、各地の友人と連絡を取り合って、生活を再建するための道筋をつくっていこうと思う。

 フクシマ後の状況はまだはっきりと見えないが、直近の課題は、被災と再建をめぐるヘゲモニー闘争である。日本列島は、これまでにない規模と時間をかけて、人の流れと街づくりが進行していく。これを誰が仕切るのかは不確定だ。国家/資本による新たな「全国総合開発計画」が始まるだろうし、民衆・大衆の側のコミューン運動も始まるだろう。それらの葛藤の中で、あるいはその両者が混合しながら、〈帝国〉とマルチチュードの緊張が高まっていく。階級闘争の焦点は、都市計画・都市再開発に完全に移行するのだ。

 事態は楽観できないが、悲観ばかりもしていられない。やらなきゃいけないことがありすぎる。
 あー、胃が痛い。

2011年3月20日日曜日

私が退避を呼びかける二つの理由

 まだ首都圏に居残っている者がいるようなので、もう一度、注意を喚起しておく。

 福島第一原発では、三つの建屋が爆発して天井が抜けている。三つの原子炉格納容器が制御不能になり、温度も圧力も計測不能。二組の使用済み核燃料が大気にむき出しになっていて、その脇には6400本の核燃料を貯蔵する共用プールがある。これは、これまで反原発運動が訴えた「最悪の事態」のなかでもっとも極端な「そりゃねーだろ」という最悪のシミュレーションをも超えた事態である。
 この期に及んで退避も決断せず、運を天に任せるなど、人間としてまったく無責任な態度だと思う。まじめに考えろと言いたい。もしもとびっきりの幸運が訪れて、福島第一原発の放射性物質がすべて太平洋に流れていったとして、それでよかったよかったということにはならない。自分や仲間を危険な賭けにゆだねたという事実が残る。しかもこの賭けは原子力国家の賭けだ。「原子力発電は安全です、事故が起きても大きな混乱はありません」というための、国家のもっとも醜悪な賭けに、共犯関係を結ぶことになるのである。

 ようするに、いま恐れるべきことは二つある。
ひとつは放射性物質の毒性。
ひとつは「原発の天井が抜けようが、日本人は国家の指示に従順」とみなされる、恥辱だ。

 いま我々は、自らの尊厳を試されている。
 まだ諦めるときではない。できることやるべきことはたくさんある。

子供とサッカーをする

 2日前、VOL同人の渋谷さんが4歳の息子を連れて合宿所にやってきた。
うちの娘も退屈していたのでいい遊び相手になる。子供はやはり子供どうしで遊ぶのがいい。
 今日はホームセンターでゴムボールを買ってきて、近所の公園でサッカーをやった。地元の子供も一緒になって、砂ぼこりを立てながらボールを追いかけた。

 いま関東の大人たちは、内部被爆を防ぐためにマスクが有効だという。外出先から戻ったら服のほこりを払い、ビニール袋に封じ込め、シャワーを浴びろという。
 そんなの子供には無理だ。子供はいつもテキトーで、汚れていて、ほこりっぽいから子供なのだ。なにが「日常生活に問題ないレベル」だ。ふざけんな。

2011年3月19日土曜日

東京からの頭脳流出

 大きな問題を考えるためには、まだ頭を整理しきれていない。少しづつ考えることにする。これからのノートは断片的なものになると思うが、問題の輪郭をつかむまでは徐々にメモをとっていくしかないだろう。

 フクシマ後の状況について比較的予想しやすいのは、東京からの長期的な人口流出である。
今後、東京は水質検査の数値を公表したり、大気の流れを速報したりという状態が続くだろう。それが一時的なものにとどまるか長期化するかは、現段階ではわからない。ただ福島第一原発の放水作業を見ていると、これは長期化する可能性が高いだろうと思う。

まず首都圏の大学や専門学校は、大きな打撃を被る。放射性物質の影響は若年層に高く出る傾向があるし、若年の女性はとくに神経を使う。外国人研究者や外国人留学生も著しく減少するだろう。日本の大学は他国の大学に比べてブランド力がない。東大以外はどこもそこそこで特に強いウリがあるわけではないから、「関東の大学はパス」という展開に雪崩を打っていくことになるだろう。学生・保護者・教員・研究者に敬遠された大学は、数年かけて事業の再編を行うことになる。関東から離れた場所に分校をつくり、移転できる大学は移転するだろう。10年から20年かけて、関東圏からの頭脳流出がおこなわれる。その頃には東京の環境はいくらかよくなっているかもしれない。しかし、東京からのエクソダスによって再構成された知性は、かつての東京とは比較にならないほど巨大な、新しい傾向をつくりだしているだろう。まず学術・教育分野で、東京は過去の街になる。
 

原子力災害で滅びるべきもの

 テレビが自衛隊のヘリによる放水を映し、われわれは固唾を呑んで見る。まったく無駄であるだろう試みを、それが決死的であるというだけで、英雄視している。
NHKのニュースが放射線量の上昇を伝え、「ただちに健康に影響を及ぼす心配はない」と説く。
原子力都市のスペクタクルは、いま新たな「英霊」と新たな「ヒバクシャ」を生み出しつつある。

 嘘と秘密の翼賛体制は、「不安を煽るな」「パニックをおこすな」「冷静になれ」と言う。
 このとき、誰が抑圧されているか。
テレビが垂れ流す戯言に翻弄され深く傷ついているのは、若年女性、妊婦、母親、再生産を担う者たちである。「ただちに健康に影響を及ぼす心配はない」という解説委員おまえは、結婚や出産や育児というありふれた行為がどれほどの切実さを伴っているのか、わからないだろう。子供が熱を出しただけでうろたえるような人間を、馬鹿だと思っているんだろう。しかし、そういう馬鹿な人間がいなかったら一人の人間も産み育てられないというあたりまえの事実を忘れているお前らこそ馬鹿以上の大馬鹿だ。
 許さない。この原子力災害を機会に、お前らを撃ち滅ぼしてやる。

2011年3月17日木曜日

環境に生きる者、世界に向き合う者

 福島第一原子力発電所から半径20kmの地域に退避勧告が出されている。勧告はあくまで勧告なので、強制はできない。このとき、はじめに退避する者と最後に退避する者がいる。勧告に従わない者もいる。
 いま私が何かを考えられる状態にあって、ここで考えようと思うのは、勧告を待たずに退避する者たちと、勧告が出ても退避しない者たちとが、それぞれに持つ義と理だ。権理、権義と言ってもいい。それぞれのもつ権理・権義があって、その違いがあり、同時に、どこかに通底するものがある。
 はっきりとは言えないが、いまあからさまに棄民化した(させられた)境遇の中で、専制に対する二つの態度が見えてきたように思う。もしかしたらこのことが、専制の定義をより明確にしてくれるのかもしれない。つまり、環境に生ききるのでもなく、世界にさらされるのでもない、卑劣な生としての専制を。


 考える。



追記 このことを別の言い方で言えば、いま起きている出来事を「事象」と呼び「事故」と呼ぶことの、それぞれに、また双方に感じる怒りだ。私は、「事象」と「事故」の線引きに怒っているのではないし、二つの呼び方があることに怒っているのでもない。「事象」と言う時には「事象」と言うときの、「事故」と呼ぶときは「事故」と呼ぶときの、なんと言ったらよいのか、ある、覚悟、の問題である。いま「事象」と言う者たちはそのとき、どれだけ世界にさらされて生きるのかを問われ、試されている。「事故」と言う者たちはそのとき、どれだけ環境を生きることを引き受けようとしているのかを問われ、試されている。「事象」「事故」、どちらもそれ相応の覚悟と責任を含んでいるはずの言葉を、専制はそのどちらをもとり逃している。言葉が、とても卑しい、いいかげんなものに貶められているのだ。
いや、もうちょっと考えるぞ。くそやろう。

こういうときは外国人が正しい

 東京にいる小野登志郎くんというノンフィクションライターと電話で話した。彼は、新宿歌舞伎町でいわゆる「中国マフィア」の取材をしているのだが、この間、まったく仕事にならないという。取材対象である中国人たちが、街から姿を消したのだ。それが震災を恐れてなのか、原子力災害を恐れてなのかはわからないが、彼らにとって東京はすでに退避すべき場所なのだ。中国人だけではない。アメリカ人もフランス人もドイツ人も退避している。さまざまな人種・職種・階層の外国人たちが一斉に退避しているなかで、日本人だけが東京に居残っているという状態だ。
 日本人か外国人かということを一般的に言うことは戒めるべきだが、こういうときは、外国人が正しい。あまり使いたくない言葉だが、「危機管理能力」というやつだ。ある土地に外国人として生きる人々は、日常的にさまざまな保護を受けられないために、いわゆる「危機管理能力」を高めなくてはならない。感受性・緊張感・判断力が研ぎ澄まされてしまう。入手する情報のチャンネルも複数もっている。日本のテレビだけを見て「情報収集」とか言っているのは、彼らから見れば児戯に等しい。
 自分ひとりでは判断がつかないという人は、いま外国人がどう動いているかを見てほしい。
 こういうときは、外国人が正しい。

2011年3月16日水曜日

福島第一がリカバーできると思っている人、手を挙げて

 福島第一原子力発電所4号機で16日朝に発生した2度目の火災を巡り、東京電力は同日の記者会見で、「1度目の火災で鎮火したことの確認をしていなかった」と、確認を怠っていたことを明らかにした。火災場所は前日と同じ4号機の北西部分で、社員が目視で鎮火したと思い込んでおり、同社のずさんな対応が浮き彫りになった。

 東電の大槻雅久・原子力運営管理部課長が、同日午前6時45分の会見で公表した。1度目の火災は、15日午前9時38分に発生し、東電は同日、「午前11時頃に自然鎮火した」と説明したが、大槻課長は16日、「社員が、目視で炎が見えないのを確認しただけだった。申し訳ない」と謝罪した。実は1度目の火災が鎮火していなかった可能性を報道陣から指摘されると、大槻課長は「放射線量が高くて現場に近づけず、確認できない」と釈明した。

 東電によると、火災確認後、社員が2度消防に通報したが、つながらなかったため、放置していた。

 2度目の火災は16日午前5時45分頃、4号機の原子炉建屋から炎が上がっているのを社員が確認。午前6時20分に消防に通報した。

 東電によると、福島第一原発では通常、協力企業の社員を含めて約800人が作業を行っているが、被曝の危険性が増した15日、70人を残して福島第二原発などへ退避させた。

(2011年3月16日12時45分 読売新聞) 強調=引用者

 福島第一はこれから悪くなるばかりだ。
 復旧は不可能だ。
 いま破壊された原子炉を海水で冷却し続けているが、仮にその方法が有効だったとして、いったい何ヶ月(あるいは何年)冷却し続けるのか。長期間の冷却作業を滞りなく維持するために、いったい何人の作業員が必要で、何人まで動員できるのか。ただの作業員ではない、被曝覚悟の作業員をだ。
 こんな仕事は誰もやらない。自衛隊も早晩撤退するだろう。
 作業員を使い果たし(あるいはもうすでにそうなっているのかもしれないが)、誰も近づくことのできなくなった6つの核燃料は、温度を上昇しながら放射性物質を吐き出し続ける。そしてずっと後になってから、「実はあの日に作業員は全滅していました」と知らされるのだ。

 政府は早く避難命令を出すべきだ。まだ時間があるうちに。

退避した友人たちへ

 関東から退避した友人たちへ。
 それぞれの方法ですでに関東から出た人も多いと思う。
 連絡をください。
 私の実家はまだ余裕があるが、受け入れられるキャパは多ければ多いほどよい。
 いま協力できることなどを積極的に申し出てほしい。
 海賊研究会とシチュアシオニスト研究会の一部が、いま愛知で合宿しているので、このうちの誰かに電話またはメールをください。

追記
 16日正午、都内の電車はおおむね順調に運行している。高速バスも平常どおり。
という連絡があった。

考える前にやるべきこと

 首都圏に暮らす友人たちへ

 福島第一原発の状態は相当まずい。
 いまは放射性物質の量だとか風向きだとかを考えるべきときではない。
 そんなのは、海岸線で海を観察し津波の規模がどの程度か推量するのと同様にばかばかしいことだ。
 どうせ我々は素人で、知識も情報もメディア頼みなのだから、何をどれだけ考えても有効な結論は出せないと見切るべきだ。いまはさかしい知恵をひけらかすときではなく、自分の無能さを肯定し正しくうろたえてほしい。
 電車はたった130円で乗れる。
 駅員に見つかったら電話してくれ。

2011年3月15日火曜日

15日正午、東海道新幹線は通常どおり運行

 満席だが窓口はスムーズに流れている。
 老夫婦、子供連れ、学生が多い。
 ペットを連れている人もいる。
 ということらしい。
 
自由席は難なく乗れそうだ。

マスメディアの見識

 日本の官僚がいかにでたらめで無責任かを積極的に弾劾してきたかに見える新聞・テレビが、原子力災害という生死にかかわる事態に際して、原子力安全・保安院の発表を垂れ流しているのは、不思議だ。「客観報道」というのは、読者視聴者の客観的な判断に資する情報を提供することなのだから、原子力安全・保安院の自己主張など報道しなくてもよいのではないか。奴らの言い分を垂れ流していたら、多くの人が状況判断を誤るのではないかと心配だ。
 歴史が教えるところでは、日本の支配階級は大事なときに後手にまわり責任もとろうとしない。太平洋戦争では、制空権を失い民間人が空爆されてもグズグズグズグズ講和をしぶり、広島・長崎に原爆を落とされてから一週間後に無条件降伏(どうせ無条件降伏するならもっと早くしろよと)。そういう連中というか構造をもつ日本官僚機構に、どんな有効な情報を期待するのか。双葉町で被曝者が出た時点で、日本政府が出す避難勧告はそのタイミングにおいても範囲においても無効だったと確定しているわけで、案の定のグズグズした釈明(未曾有の、とか、想定を越える、とか)も含めて、もう何も聞く必要がないだろう。

 原子力資料情報室(CNIC)がおこなった記者会見で明言されているのだが、スリーマイル島の原発事故が何であったのかが判明したのは、事故から10年後である。どんな技術者も、現在福島第一原発で何が起きているのかわからない。それがわかるのは数年後か十数年後になるのだ。
 いまはグズ官僚が発表するウニャムニャを拝聴してる場合ではない。状況を巨視的に見て、今日、明日、明後日に可能な行動の選択肢を整理することだ。状況は半日か数時間でがらりと変わる。くどくどと言いたくないが、首都圏はすでに準被災地(今週中には完全に被災地)である。

2011年3月14日月曜日

節電を呼びかけてる場合か

  東京電力は今日から「計画停電」を実施すると発表し、節電をよびかけている。
 一般に日本人というのは大きな構図よりも小さなディテールに目を奪われがちな体質なので、電車が動かないだの携帯電話を充電しておけだのという枝葉末節の話題がテレビをにぎわしている。
 問題は、政府と自治体だ。巨大都市のライフラインが半身不随になっているというのに、なぜ住民の移動を呼びかけないのか。海岸沿いの火力発電所が麻痺し原子力発電所が水素爆発を起こしている「未曾有の事態」なのに、ほんの数日「計画停電」を実施すればやり過ごせるとでも思っているのか。電力が回復するにはそれ相応の時間がかかるとみるのが妥当だ。
 いま必要なのは、首都圏に集中する人口を解除し、徐々に移動させることだろう。まず乳幼児を抱える母子、児童、春休みに入っている大学生、年金生活者から、順次、東京からの自主的退避を促し、首都圏人口を減らすべきだ。今週、原子力災害の展開によっては物流も麻痺しはじめるだろう。東京のような過密都市で水や食料が滞るようになったら、混乱は必至だ。節電を呼びかけてる暇があったら、信号と鉄道に電力を集中し、人口移動を円滑に進めるべきだ。
 愛知でのんびりと高みの見物で言うのは気がひけるが、東京はすでに静かなパニックをおこしている。冷静に頭を働かせ、粛々と行動するべきだ。

すべての友人へ

関東圏に暮らす友人たちへ。
 大袈裟に思われるかもしれないが、愛知県での受け入れ体制はできました。
なにも持たず、来てください。
津波が予想されるとき、高台に上がるのは当然のことです。
こんなときに生きるか死ぬかというハラハラ感を味わうのは、東京電力社員と政府官僚と東芝と日立と自衛隊だけで充分です。われわれは高台に登って、事態を見守りましょう。
「大山鳴動してネズミ一匹」となれば、それはそれでよい。そうなることが望ましい。


追記
 茨城県東海村の原子力発電所で、冷却装置が止まった。
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20110314-748069.html
 福島第一のような展開になれば、確実に放射性物質を計画放出する。
 これは現実である。いま必要なのは、とりみださず、冷静に、現実を現実的に考えることだ。どうか、動いてほしい。

一年間に被曝する量

 この間ニュースに登場する「一年間に被曝する量」というのがわからない。
「一年間に被曝する量の50%(だから健康に被害はない)」というような表現。
素人考えなので間違ってたら訂正してほしいのだが、もしも一時間のあいだに「一年間に摂取するアルコール量の50%」を摂取したり、一時間のあいだに「一年間に摂取するニコチン量の50%」を摂取したら、まずいだろう。本人が大丈夫だと言っても、医者は問題視するはずだ。
 しかも、本人が自ら望んで異常な量を摂取したのならともかく、望んでもいない者に乳幼児も妊婦も関係なく、それを強いるのだ。
「健康に問題のないレベル」ってどういう言い草なのか。
たとえ死にいたらなくとも、やってることは傷害だぞ。

2011年3月13日日曜日

ところでいま東海村はどうなっているのか

福島第一に目を奪われていて、東海村を忘れていた。
福島第一のある双葉町は「震度6強」、東海村は「震度6弱」と発表されていたが、いま東海村はどうなっているのか。付近の埠頭で車が折り重なって燃えている、とか、消防車の姿がみえない、という情報までは確認できるのだが。東海村の核燃料工場にはプルトニウムがあったはずだ。
致命的な被害がないことを祈る。祈るしかできない。くそ。

誰の何のために「冷静」を強いられるのか

 首都圏でもいくつかの事業所が操業停止を決めたようだ。
 本来は経団連が危険区域の操業停止を呼びかけ避難を促すべきだが、こうした措置に東京電力は賛成しないだろう。
 問題は、原子力発電がいかにハイリスクであるかというだけではない。原発がどれだけ高いコストを支払わなければならないか、そしてそのコストのツケを誰が支払うのかという評価の問題だ。
 放射性物質の拡散に関心が向かえば、東京電力・経産省・自民党がどれだけ高い代償を我々に強いているかを(正当に)評価することになるだろう。だからこそ、テレビは無関心を装うのだ。いま、われわれの関心は、金銭の経済と骨がらみになっている。やつらのカネのために、われわれは「冷静」を強いられるのだ。

東海道新幹線は平常通りの運行

東京で事態の推移をみていた妻が、午前8時30分に自宅を出発し、11時15分に名古屋に到着した。東海道新幹線(下り)は平常どおりの運行だという。いま、埼玉に暮らす妻の母と弟夫婦が自動車でこちらに向かっている。弟夫婦の赤ちゃんもくる。道路状況は確認できないが、なんとかなるだろう。

 普段は健康にまったく気を使わない私だが、放射性物質についてはちょっと違う。子供や乳幼児の健康について、自分がこんなに慌てるとは思わなかった。
普段、タバコの害だの受動喫煙だのをネチネチと宣伝しているテレビが、ことこの件についてはまるで無頓着にみえるのが不思議だ。神経を疑う。体外被曝と体内被曝の区別もしないで、よく報道できるものだ。
 

娘にイソジンを飲ませ、愛知県に避難

12日朝の段階で、娘を愛知の実家に避難させることを決めた。
イソジンに入っているヨウ素は1ml中7mg。一日に大人14ml、子供7mlを飲む計算だ。しかしヨウ素なんて大量に飲むものではないし、イソジンは内服用ではない。飲ませたくない。
愛知の母の元に娘を連れて行った。幸い、新幹線は順調に運行していたが、名古屋に到着した時点で、福島の状況は予想以上に悪くなっていた。実家に娘を預けたら、自分は東京に戻るつもりでいたが、やめた。
福島の状況は、相当まずい。
テレビでは「冷静に冷静に」と言っているが、冷静にじっとして被曝を待てということか。いまもっとも冷静な対応は、粛々と移動を始めることだ。

2011年3月12日土曜日

福島第一原発とイソジン

福島第一原子力発電所が冷却水を循環できなくなったというニュースを聞いて、どうしようかと考えた。
原子炉容器は無傷ではすまないだろう。放射性物質が放出された場合、東京という場所は福島から遠いのか近いのか。
とりあえず薬局に行って、ヨウ素剤を買おうと思ったが、売ってないという。しかたがないのでイソジンのうがい薬を買った。イソジンを飲んで、意味があるのかないのかわからない。
ちょっとうろたえている。
イソジンも一応ヨウ素だ。ないよりはましだろう。

2011年3月11日金曜日

アンダルシ

前回に引き続き『Pirate Utopias』の翻訳。34ページ。

(34)
 サレでは、トルコのスーフィズム音楽や軍楽隊は知られていなかったが、スペインからやってくるムーア人やモリスコたちによって、アンダルシア流の音楽(イスラム化したスペインで、ペルシャ、アラブ、ムーア、イベリア、その他の音楽が、長い時間をかけて混ざり合い、ある日とつぜん北アフリカに追放されてきたもの)がもたらされた。こうした音楽は、現在でもモロッコ北部の古典音楽にみられ、アンダルシ(Andalusi)と呼ばれている。

アンダルシ(Andalusi)


これ、おもしろい。
バイオリンをレバブ(rebab)のように縦に置いてひいている。クラリネットもトルコ式ではなくヨーロッパ式。曲の終盤にテンポを上げていくのもスペインっぽい。
サレの海賊たちは、こういうハイブリッド音楽を聴いていたということか。
このへんが近代デモクラシーの起源ですよ、って言ったら、怒る人多いだろうな。

2011年3月10日木曜日

3/5海賊研報告「モロッコ戦国時代」

 3月5日の研究会は、ピータ・ランボーン・ウィルソン『Pirate Utopias』の翻訳作業だったのだが、作業が進むにつれて、じわーっと盛り上がってきた気がする。
 翻訳作業の進捗状況を整理すると、

1 海賊と人魚           (済)
2 トルコ化したキリスト教徒    (済)
3 暗殺によるデモクラシー     (5割)
4 ごろつき集団          (済)
5 チュニジアの大理石の宮殿    (少し)
6 サレのムーア人共和国       (5割)
7 ムラド・レイスとボルティモア略奪
8 コルセールの年次行動表     (5割)
9 海賊のユートピア
10 ニューヨークのムーア人海賊

 全体の約三分の一が、下訳をおえた。ゴールはまだ見えないが、なんとかやっていけそうな感触だ。
今回、みんなで集まって検討したのは、第6章「サレのムーア人共和国」。
 
 モロッコから大西洋に注ぐブー・レグレグ川の河口に、サレという街がある。川の北側がサレ、川の南側がモロッコの現在の首都ラバトである。ヨーロッパーアフリカ交易の中継点として栄えたサレ=ラバト地区は、そのなかに三つの自治都市を形成していた。
1、川の北側にもともとあった「古いサレ」
2、川の南側につくられた要塞(カスバ)地区
3、川の南側につくられた「新しいサレ」、現在のラバト
 これらの自治都市には多種多様な人種がいて、「アンダルシア人」(スペインから追われてきたムーア人)、ベルベル人、アラブ人、スーフィズム(イスラム神秘主義)の僧であるマラブーたちが入り混じっていた。サアド朝(1509〜1659)の時代とその後1668年にアラウィー朝に征服されるまで、サレ=ラバトはマラブーと海賊が取り仕切る自由都市だった。
 こうした自由都市を歴史では「無政府状態」と書くわけだが、まあそのとおりなのだが、では「無政府状態」というのはどんな状態なのかということまでは説明してくれない。「無政府状態」の一言でさらっと流されてしまう。
 ここで、サレ=ラバトの状況をイメージするために、我々が比喩として用いたのが「モロッコ戦国時代」だ。これはあくまで比喩というか、「ジェームスブラウンは日本でいえば北島三郎」というようないい加減なたとえなのであまり大声では言えないのだが、ようするにこの時期のサレ=ラバトは、日本で言えば戦国時代の大坂・和歌山みたいな状態なんじゃないか、と。堺の商人衆、一向宗を率いる本願寺派、雑賀衆や根来衆という武装集団がいて、荒木村重みたいなフラフラした人もまきこんで、「無政府状態」を維持するためにがんばっている。この地域には朝廷も織田家もなかなか手を出せない。織田軍が本願寺を包囲したら、瀬戸内の村上海賊衆がやってきてコテンパンにやられてしまう。そんな感じ? なんじゃないかなと。
 一方で、17世紀は巨大帝国の時代である。モロッコの東方ではオスマン帝国が北アフリカを併合し、モロッコに迫っている。北方では新興のポルトガルとスペインがじわじわ攻めてくる。モロッコは、オスマンとヨーロッパに挟まれた隙間のような場所で、かろうじて「無政府状態」が維持されていたということだろう。こうした背景のなかで、ムーア人とレネゲイドたちの「海賊共和国」が生まれたのだ。

 ピーター・ランボーン・ウィルソン(別名ハキム・ベイ)が、なぜモロッコに注目するのかという理由が、おぼろげながらわかってきた。まだ最後まで訳してないので厳密な話はできないが、本書『Pirate Utopias』の最終章、「ニューヨークのムーア人(A MOORISH PIRATE IN OLD NEW YORK)」は、かなり感動的だ。
 17世紀後半にサレは征服され、海賊たちは、海軍に再編されるか、サレから立ち去るかという選択に迫られる。おそらく多くのレネゲイド、ムーア人、モリスコの海賊たちが、稼ぎ場所をかえるためにサレから流出していった。その流出先の一つが北米である。
 ニューヨークがまだ「ニューヨーク」と呼ばれる以前、オランダ領ニューアムステルダムであった時代、ピーター・ランボーン・ウィルソンはその古い記録の中に、アンソニーという男の名前をみつける。アンソニーは、バーバリー海賊で有名なムラド・レイスの息子である。ムーア人海賊は、たしかに海を渡って北米にやってきていたのである。
 ここで目指されているのは、レネゲイド(背教者)/アナーキストたちの歴史であり、同時に、アメリカ合衆国の歴史的起源を覆すことである。アメリカ合衆国の建国神話、イギリス清教徒革命と「ピルグリムファーザーズ」がアメリカを建設したという神話を、海賊の歴史(海賊学)によって転覆するのだ。アメリカを創ったのはピルグリムファーザーズではない。アメリカを創ったのは、地中海を追われた海賊たちなのだ。
ピーター、やべえよ。

次回の研究会は3月19日15時〜。カフェラバンデリアに集合。