東京のグループが声明を出しているので転載します。
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すべての働く者たちへ --脱原子力ゼネラルストライキを
わたしたちは、全=世界の学生・ニート・フリーターの名において、すべての労働の即刻停止、ゼネラルストライキを呼びかける。この脱原子力ゼネストが要求するのは、世界の全原子力発電所の即刻の廃止、世界の全原子力爆弾の即刻の廃棄である。今でなければいつ、わたしたちは原子力のない世界に出発することができるのか。原子力災害下の日本でなければいったいどの国が、原子力のない世界への希求を表現することができるだろう。
あなたたち労働者がこの反原発ゼネラルストライキを拒否すれば、あなたたちは人類の希求である脱原子力世界のきざしを見殺しにすることになる。おろかな「社畜」たちの停止判断により、世界はこれまでと同じく、原子力の恐怖と原子力イデオローグの愚昧に統治されることになる。人類は、みじめな狼狽をスクリーンにさらしつづける東電や原子力保安院の連中と同じく、あなたたちをさげすみ、わらうだろう。
首都圏の職場につながれたフリーター、学生、貧者、労働者、零細企業経営者は、この原子力カタストロフのただなかで逃げることもできない。彼・彼女たちは、資本主義のロジックにより職場につながれ、いまこの瞬間にも不可視の放射能におびえている。放射能に汚染された風に吹かれ、職場を放棄できないでいる。彼・彼女ら貧者たちは全=世界の形象である。喫緊に非難すべき首都圏の彼・彼女たちを見捨てることは、彼・彼女たちのみならず、彼・彼女たちが表現する全=世界を死と絶望のふちに沈めてしまうことを意味する。
風の歌を聴こう。風に舞う答え、それは原子力のない世界への移行である。この反原子力ゼネストは人類の責務であり、その遂行はひとえに、日本の労働者たちの即座の職場放棄にかかっている。あなたたちがゆうきをもってストライキを敢行すれば、世界中から賛同の声と連帯行動がよせられるだろう。世界的ムーブメントがわきあがり、世界の統治者たちの喉元に、原子力発電所の廃止という刃がつきつけられるだろう。だが、あなたたちが卑劣にストライキを拒否すれば、全=世界は落胆と悲しみにつつまれる。原子力を満載した地球はこれまでどおり浮薄に笑い、原発イデオローグは人類への侮蔑を隠そうともしないだろう。あなたたちは「社畜」として軽蔑されつづけるだろう。
会社が自分に何をしてくれたか、いまこの瞬間に、もういちど考えてみてほしい。会社における仲間たちとの共同、友愛、結託は、会社が与えてくれたものではなく、あなたたち自身の力である。どうか、自分自身の力をみくびらないでほしい。かけがえのない家族同盟を、あなたたち自身を、はたして会社が守ってくれるだろうか。あなたたちがスクリーン上の事態をみまもり、正確な情報判断を心がけているその間にも、妊婦たちははかりしれない原子力恐怖を生きている。彼女たちにたいし、それでもあなたたちは「パニックになるな」「不安になるな」と言いつのるのだろうか。くりかえす。どうか、自分自身の力をみくびらないでほしい。
敵のいない戦争が進行中である。革命勢力を鎮圧するためにエジプトに登場した放水車が、ここ日本では焼け石と化した原発にむけて放水する。国家を自衛すべく悪の枢軸国の攻撃をむかえうつはずの軍隊が、蒸気のようなものをふきあげる原発と対峙している。
戦後の蜃気楼がゆらめき、復興というあらたな意匠をまとった労働者ナショナリズムが舞台の袖にひかえている。いまや世界の常識であるように、災厄とはまたとないビジネスチャンスであり、権力のユートピアなのである。各国の首脳陣が集まる楽屋裏では災害後のドクトリンが協議されている。わたしたちは呆然とするあまり、かけがえのないこの絶望すら、絶望的に立つのぼる希望すら、動員され、運営され、統治されてしまうのだろうか。
たとえ再臨界を回避できたところで、「日本の信用」を回復することはできない。普通に考えればわかるように、世界で唯一の原発被害国が、スリーマイルやチェルノブイリとならぶ原発災害を起こすなどというのは、冗談にもならない事態である。日本資本主義の「信用」は決定的に地に落ちた。それをふまえたうえでなお「信用」の語にこだわるのであれば、日本はいますぐ原子力発電を停止し、世界の原子力体制をくつがえすムーブメントに着手すべきである。
本当の戦争を開始しよう。放射能をまきちらすゴジラやグエムルは、統治者や企業が対峙すべき敵であっても、わたしたちの敵ではない。わたしたちの本当の敵は、世界を無数のゴジラやグエムルはで埋め尽くした資本主義者にほかならない。やつらを舞台裏から引きずり出し、徹底的に糾弾し、世界から追放するときはきた。わたしたちの武器はゼネラルストライキである。くだならない職場を放棄し、経済という名の亡霊をしりぞけ、被災者のためにできることをいますぐ開始しよう。
2009年3月19日
脱原子力ゼネラルストライキ委員会