2011年3月19日土曜日

東京からの頭脳流出

 大きな問題を考えるためには、まだ頭を整理しきれていない。少しづつ考えることにする。これからのノートは断片的なものになると思うが、問題の輪郭をつかむまでは徐々にメモをとっていくしかないだろう。

 フクシマ後の状況について比較的予想しやすいのは、東京からの長期的な人口流出である。
今後、東京は水質検査の数値を公表したり、大気の流れを速報したりという状態が続くだろう。それが一時的なものにとどまるか長期化するかは、現段階ではわからない。ただ福島第一原発の放水作業を見ていると、これは長期化する可能性が高いだろうと思う。

まず首都圏の大学や専門学校は、大きな打撃を被る。放射性物質の影響は若年層に高く出る傾向があるし、若年の女性はとくに神経を使う。外国人研究者や外国人留学生も著しく減少するだろう。日本の大学は他国の大学に比べてブランド力がない。東大以外はどこもそこそこで特に強いウリがあるわけではないから、「関東の大学はパス」という展開に雪崩を打っていくことになるだろう。学生・保護者・教員・研究者に敬遠された大学は、数年かけて事業の再編を行うことになる。関東から離れた場所に分校をつくり、移転できる大学は移転するだろう。10年から20年かけて、関東圏からの頭脳流出がおこなわれる。その頃には東京の環境はいくらかよくなっているかもしれない。しかし、東京からのエクソダスによって再構成された知性は、かつての東京とは比較にならないほど巨大な、新しい傾向をつくりだしているだろう。まず学術・教育分野で、東京は過去の街になる。