一ヶ月ぶりに東京に来た。
名古屋から高速バスで3400円。昔に比べるとずいぶん近くなった。
夜の9時に東京駅に到着したが、節電対策のせいで、街は少し薄暗い。といっても不自由を感じるほどではない。大阪・名古屋よりは少し暗いが、地方都市に行けばだいたいこんなもんだ。
これから部屋の片付けやもろもろで4〜5日は滞在するつもりだが、東京で見ておきたいのは災害のもうひとつの位相、都市機能災害の空気である。
今次の災害は、3つの位相を持っている。
1、地震・津波災害
2、原子力災害
3、都市機能災害
首都圏の都市機能災害は、3月11日に発生した帰宅困難者問題や3月23日の水道水問題などが記憶に新しい。現在は照明不足による交通事故が発生していて、この夏には冷房不足による熱中症が懸念されている。医療体制が間に合わなければ、いくらかの死者が出ることも想定される。
こうした問題の根底には、首都圏の人口過多がある。都市の人口規模が大きいことで身動きできなくなっているのだ。実際、4000万人にものぼる巨大人口は災害対策の大きな障害になっているのだが、日本にはこの人口を救援するだけの力はない。したがって、この街は災害救援の対象でありながら同時に災害救援の主体であるという奇妙な位置におかれるのだ。
考えてみればおそろしいことだ。いま首都圏住民は弱音を吐くことも許されない。千葉県では埋め立て地が液状化し、ガスタンクが爆発し、それらの復旧が充分にできていないというのに、東京ディズニーランドが再開している。照明を抑えた明るくないディズニーランドで、楽しそうに、まるで自分たちが被災者でないかのように振るまうのだ。不謹慎かもしれないが、すごくおもしろい。