2011年2月14日月曜日

海賊戦隊ゴーカイジャー

 第一回放送が始まったが、見逃した。
海賊戦隊ゴーカイジャー
いや、とくに見たいというわけではないのだが。
公式ホームページとYoutubeで、輪郭はだいたいわかった。
おもしろいと思ったポイントは3つ。

1、まず、秘密基地がない。彼らのベースになるのは、ガレオン船様式の宇宙船だ。昔の戦隊ものでは、悪者の拠点が宇宙船だったが(外国の黒船)、このゴーカイジャーでは「悪」も「正義」も宇宙船暮らし。ちなみに、旗はジョリーロジャーでナビゲーターはオウム型ロボットだが、武器のサーベルは青龍刀。やっぱ見た目を考えると、青龍刀だよな。

2、彼らの目的は、地球でのお宝探し。地球侵略を企む宇宙帝国ザンギャックと派手に闘うが、「地球の平和を護る」(防衛する)という動機は薄弱。じゃあ、なんで闘うのか。決め台詞が「派手に行くぜ!」なので、派手に豪快に暴れたいというのが最大の動機か。まあ、戦争機械だな。

3、ゴーカイジャーに変身するだけでなく、ゴレンジャーなど過去の戦隊にも変身する。その数34種類。やりすぎだろ。しかも一度の回で2種類もやっちゃったりする。ゴーカイジャー>>>ゴレンジャー>>>シンケンジャー>>>ゴーカイジャーというふうに。戦隊のサンプリングというか著作権侵害というか、文字通り海賊版なんですね。
 ゴーカイジャーの構成は男3人に女2人(ピンクと黄色が女)なのだが、古い戦隊ものは男4人に女1人というものが多い。古い戦隊に変身しちゃったとき、黄色い人はなんなの? あとサンバルカンのような3人戦隊になったら、残りの2人は消えるの? などなどいろんな不安をかきたてる設定。ドゥルーズ/ガタリ的にいえば分裂的(スキゾ的)な主体(ていうか主体じゃない)。「モグラとヘビ」という比喩でいえば、完全にヘビ。

以上、要点をまとめてみたが、昔の「モグラ」「主体」世代の人が見たらデタラメすぎてちょっとひくかもしれない、ぶっこわれた戦隊である。暴れる動機が「暴れたいから」って、それは海賊すぎるだろう。
ポストモダンって、こういうことなのか? よくわからんが、機会があったら見てみようと思う。

追記
 船に乗ってさまようという話で言えば、10年ほど前に大ヒットした『MATRIX』がそうだった。地上を機械に征服され「地べたを失った人類」が、船に暮らしながら海賊ラジオのように電波を発信する。この「地べたのない」感覚は、現代都市生活者の共通の前提になっていくのだろう。