2020年7月23日木曜日

若いアナキスト



 東京の若いアナキストが私に会いたいというのだがどうかという連絡があって、名古屋市内で待ち合わせて話をした。会ってみれば、自分の子とほとんど変わらない年代の若者だ。

彼はいま東京を出て、広島や京都や名古屋を旅しながら、新しい住処を探しているという。前回のブログ記事で東京からの退避を呼びかけた直後に、まったく同じことを考えている人間が現れたので、少し驚いた。天気の良い日だったので、金山駅前の風通しの良いカフェテラスで呑んだ。

 若いけれども聡明で、よく勉強している。腹に一物を抱えながら一人旅をして、初対面の相手にも臆さない度胸がある。なにより良いと思ったのは、道徳心がないことだ。彼は道徳よりも優先すべきものがあることを理解している。思わず笑みがこぼれるほど不道徳だ。数年後には頭角をあらわすだろう。

 東京を出るなら名古屋に来なよ、と喉元まで出かかったが、言わなかった。そういう誘い方はアナキストらしくない。彼ぐらいの豪胆さがあれば、どこへ行っても生きていける。彼は私の世代には想像できないようなやり方で生きて、きっと強い左翼になる。