2014年3月4日火曜日

『主婦と不貞と放射線』についての注釈



 前回の文章『主婦と不貞と放射線』について、山の手緑氏から短いコメントをいただいたので紹介する。
 彼女のコメントを要約すると、以下のようになる。

「放射能汚染地域において、夫婦の間で認識がそろわず、母子避難をできないでいる家庭がある。夫が子供を手放さず、家族全員で汚染地域にくらすことを要求する場合がある。このとき彼女は単身で家を出て西へ逃げるべきである。夫も子供も捨てるべきだ。家族のために彼女が被曝を受忍することはない。「子供のため」という理由で自己犠牲をうけいれるのは、欺瞞である。彼女が家族の「愛」を見限り、家を出て、家庭生活を崩壊させることによって、もしかしたらその後の展開によっては子供の退避が可能になるかもしれない。子供を防護するために、子供を捨てることが必要となる場合がある。」


 おそらくこのコメントは、私の書いた一文、

「主婦の「不倫」の流行は、あるエコノミーの綻びであり、調整でもある。」

に、対応しているとおもわれる。
つまり、不貞が生活経済の調整として働くものである以上、それが汚染地域における被曝生活を延命させる機能も持っている、ということを指摘されたのだと思う。そうであれば、ここで強調して言い直すべきは、不貞がもつ調整としての機能ではなく、不貞が孕む破壊的な力である。主婦はいつでも家族を精算することができるということ、生活経済を破綻させるポテンシャルがあることを、確認し言わなくてはならないだろう。
 実践的には山の手氏が言うとおり、汚染地域の「家族愛」はいったん精算されるべきだ。それは幼い子供にはできない。親にしかできないことだ。