2020年2月27日木曜日

娘は京都へ


 娘が大学進学を希望したので、この一年間、受験生の親というものをやっていた。
 私は大学受験をしたことがないので、受験のアドバイスのようなことはできないし、興味もない。ただ、受験勉強とはどういうものなのか、普通の勉強とどう違うのかを聴くだけだった。

 娘が要約するところによれば、受験勉強とは、学問にたいする不誠実な態度をベースとしている、ということらしい。
 どういうことか。
まず基本的なルール。試験というものは、答えられる問いにだけ答えればよい。答えられない問いはスキップしてもよい。そして試験時間が終了したら終わり。そういうルールでおこなわれている。
どんな試験問題も、時間内に全問解答することはできない。そうできないようにつくられている。なぜなら試験問題は、受験者に順位をつけるためにつくられているからだ。
そうなると受験者は、難問に時間を費やすことを避けて、解答できる問題だけに注力することになる。試験にのぞむ際に心がけなければならないのは、じっくりと時間をかけて考えることではなく、考える時間をできるだけ少なくすることである、と。

 なるほど。それはものを考える態度として、たしかに不誠実だといえる。不愉快なことも多々あっただろう。

 だがそんな不愉快な作業ももうおわりだ。
来年からは大学生。
受験から解放されて、じっくりと時間をかけて考えることができる。
京都市の学生街で、さまざまな難問に取り組んでほしい。