2019年8月4日日曜日

官民協働の暴力




 あいちトリエンナーレの展示物「表現の不自由展・その後」が、異常なやりかたで展示中止措置に至った件について。
 芸術表現にたいする今回の政治弾圧は、非常に見えやすい形でその構図を示している。弾圧の主体となるのは大まかに言って三者。

1、河村名古屋市長と菅官房長官は、行政権力の側から弾圧を号令した。これは制度的には許されない不法行為であるが、メディアを通して民間人を扇動することに成功した。

2、河村・菅に扇動された民間右翼は、暴力的な脅迫行為を組織的に行い、愛知県を屈服させることに成功した。

3、愛知県警は右翼の不法行為を事実上追認し、弾圧を完成させた。

 行政権力(の一部)が不法な暴力を扇動し、民間右翼が暴力の実働部隊を担う。この構図には、既視感がある。関東大震災直後の、陸軍と民間自警団による虐殺事件である。あの忌まわしい事件から一世紀がたとうとしている現在、再び同じ構図が繰り返されたのだ。

 愛知県、大村県知事、あいちトリエンナーレ主催者は、「表現の不自由展・その後」を再開するべきだ。右翼の暴力に屈してはいけない。ここで暴力に屈してしまえば、右翼はますます増長し、破局的な事態を招来することになるだろう。
忌まわしい昭和ファシズムが、関東大震災直後の虐殺事件を起点に始まったことを、忘れてはならない。