2010年11月8日月曜日

TPP報道

いまテレビを見ていたら、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関連した報道が。オーストラリア産コシヒカリと日本産コシヒカリを主婦に食べ比べてもらう、という様子を流していた。日本産とオーストラリア産を食べ比べて、味の違いがわかったのは、8人中4人。半数は違いがわからなかった。TPPによって米の関税が撤廃されれば、大規模機械農業で生産されるオーストラリア産米が、価格の安さで市場を圧倒するだろう。日本の米農家は壊滅。新自由主義が大好きな「ショック療法」というやつだ。
TPPに関してこういう具体的な報道はもっとやってほしいところだが、注文をつけるとすれば、消費者の安全の問題も特集してほしい。かつて、工業用のクズ米が学校給食に供給されてしまった「偽装米」事件というのがあったが、この事件は国内の業者を捜査することで流通ルートが解明し、一応の決着がついた。しかし国境を越えたところでは、捜査がどこまでできるかはわからない。たとえば異常プリオン体を含む「BSE牛肉」が、産地であるアメリカのどこでどのように流通して日本にやってきたのか最終的には解明できなかったし、中国産の「毒入り餃子」は日中の捜査機関がすったもんだした記憶がある。TPP後にも当然あらわれるだろう食品偽装事件について、日本の国家権力はどこまで管理できる自信をもっているのか。それともある程度安い食品はしょうがないということで、野放しにしてしまうのか。食品偽装事件は、最悪の場合、子供が死ぬ。日本はそういう経験をしてこなかったわけではないし、現在も世界中にある。トヨタや日産が自動車を輸出するために、我々はそういう「ショック」を受け入れなければならないのか。TPPは絶対だめだ。

追記
誤解のないように書くが、ここで私が言いたいのは、「国産は安全で外国産は危険」ということではない。日本の食料自給率は低く、現在すでに多くの食品が外国産である。注意するべきは、食品の安全管理というものはごく特殊な環境でのみ管理できるものにすぎない、ということだ。TPPによる自由化=規制撤廃は、これまで一国内でようやく達成された安全基準をも、ぐずぐずに破壊してしまうだろう。飯が食えなくなってしまえば、日本の農民がどんな犯罪に手を染めるかは予測できない。TPP後は、国内国外を問わず海賊版偽装食品が生産され、安く流通することになるだろう。まず低所得世帯の子供から、死者が出るのだ。