2012年9月18日火曜日

仮説 希ガス潜水病



 次の論集に向けて原稿を書いているが、ちょっと息抜き。
 最近あたまから離れない仮説があって、少し吐き出しておかないと他の重要な問題に専心できないので、書く。

 放射性ヨウ素は、β崩壊をするとキセノンという希ガスになる。
 トリチウム(三重水素)は、やはりβ崩壊をしてヘリウムになる。
 これらの核種が体内で崩壊したときに、壊変したあとの(安定した)希ガスはどこに行くのか、という疑問がある。たとえばトリチウムというのはようするに放射性の水だから、体のどんなところに侵入して崩壊するかはちょっと予測しがたい。そういうものが崩壊した後に、ヘリウムになってしまったものは、どういうふうに体外に排出されるのだろうか。あるいは排出されずに体内に残ってしまうのか。
 体内のガスということで気になるのは、潜水病である。潜水病はスキューバダイビングなどで起きる病気で、まず高い気圧(水圧)のなかで肺から血液に窒素が溶解し、つぎに急速な浮上とか減圧によって血液中の窒素が気泡になり、毛細血管に滞留してしまうという病気だ(減圧症)
 窒素の気泡が静脈に詰まると、疼痛・知覚障害などが起き、気泡が動脈に詰まると、脳塞栓・心筋梗塞などが起きる。ほとんどは軽度なもので、関節痛とか偏頭痛という症状でおさまるのだが、重度になると死んでしまう病気だ。
 トリチウムという核種はほとんど測定されていないので、水や食品にどの程度含まれているのかはなんとも言えない。しかし測定しがたいだけに、意外に摂取してしまっている可能性もある。ヘリウム排出やキセノン排出のメカニズムがわからないかぎり、あるていど体内に蓄積していると考えることもできる。
 すべて仮説だからあまり断定的に広言できないが、我々の動脈・静脈・脳血管は、静かな希ガスを抱えてしまっている可能性がある。