先月16日、愛知県の豊川の三か所から土壌サンプルを採取した。
一か所は豊川の河口にあたる豊橋市。豊橋排水機場の付近に泥が堆積している部分があったので、その泥を採取。
二か所目は、隣の豊川市。河口から15kmさかのぼった三上橋の付近で河の砂を採取。
三か所目はさらに水源にさかのぼって新城市の大原貯水池。貯水池には立ち入ることができないので、貯水池を囲む森林の土壌を採取した。
豊橋市、豊川市の砂は、いちおう不検出(10Bq/kg未満)。
新城市の土は、セシウム137が14 Bq/kg、セシウム134が7 Bq/kg検出された。
このまえ出版した『3・12の思想』や、図書新聞5/19号の一面のインタビューでも触れたことだが、セシウム134は重要。比較的短命なセシウム134が検出されたということは、これは東京電力のセシウムである。福島第一原発の放出した放射性物質は、愛知県新城市に到達していることが確認できた。量的には微妙というか、NaI核種分析機の精度で検出するにはギリギリのレベルなわけだが、この森林にある東電製セシウムは、これから時間をかけて河を下り、河口から海に注ぎ、伊勢湾に棲息する魚介類に濃縮することになる。14Bq/kgのセシウム137が、魚の体内でどれぐらい濃縮するのかはわからない。暗中模索だ。
今後は、釣り師のコイエくんにボートを出してもらい、伊勢湾で魚を釣ろうと思う。コイエくんというのは、この間の沿岸調査をリードしてきた釣り師でありアニメオタクであり介護労働者である。オタクの若者と思想家を自称する中年の二人で、1.5キロの魚を釣り、放射線を測定する。この作業を定期的にやらなくてはならない。
41歳にして初めての釣りである。
思えば遠くへ来たものだ。