2012年6月15日金曜日

審査について

いま原稿書きが行き詰まっているので、雑文を書く。
少し古い話になるが、いわゆる「河本問題」について。
吉本興業の芸人が、充分な所得があるにもかかわらず母親の経済的援助を断り、母親が生活保護を受給し続けていたという問題。同様の構図で複数の芸人が生活保護の不正受給を疑われている。
 自民党の頭の残念な議員が国会で追及したわけだが、彼女の思惑通りに、問題の焦点は生活保護制度に向けられているようだ。生活保護、是か非か、みたいな構図だ。

 本当の問題は、審査をめぐる不正疑惑である。ケースワーカーが不正を働いたのではないかという疑惑であり、吉本興業が不正受給をほう助していたのではないかという疑惑だ。
企業が節税をしたり補助金を受け取るために法律家を雇うことは、よくあることだ。さまざまな雇用対策にかかわる税金投入には、法律に通じた専門家が携わっていて、何人ものコンサルタントを雇った企業が補助金をむさぼるという構図がある。雇用対策や社会保障に使われた資金(税金)のうちどれぐらいを企業とコンサルタントたちがむさぼったのかという具体的なデータはないのだが、蓋然的に考えて、法律に疎い者よりも法律の抜け穴を熟知した者の方が先に税金にありつくのであり、審査をする行政職員は、本来救済されるべき人々よりもコンサルタントたちに癒着しやすい人種である。

 一方では生活保護を切られて餓死をする者がいて、他方では、人並み以上の所得がありながら生活保護を受給している者がいる。これは受給をめぐる審査の正当性がグラグラになってしまう事態だ。
審査とは何なのか。こんな馬鹿馬鹿しい不正がまかりとおるなら、審査する者を解雇して、すべての人に無審査で最低所得を分配すれば良いではないか。