「育児休暇中のリスキリング」提案について、国会で岸田首相が詰問されている。
岸田首相は育児の大変さがわかっていないのではないか、と。
字面だけを見れば、まったくそのとおり。
産後の疲弊や、乳児の世話の大変さを少しでも知っていれば、こんなバカげた提案は却下されてしかるべきである。
だが、質問している議員が立憲民主党だ。これではまるっきり猿芝居である。
お前らにそれを言う資格があるのか、と言いたい。立憲民主党の議員は、岸田とは違って育児の大変さを認識しているというのか。
昔の話を蒸し返す。
2011年3月、福島第一原発の爆発事件のあと、日本政府は「原子力緊急事態宣言」を発令した。原子力基本法の大原則となっていた一般公衆の放射線防護は覆され、被ばく受忍政策へと大転換した。食品について1キロあたり100ベクレルの受忍、空間線量で年間20ミリシーベルトの受忍が、原子力緊急事態宣言下で強行された。
全国各地で、市民による食品検査と不買が広がった。この動きの主体となったのは、乳幼児を抱えた女性たちである。当時の民主党政権は、汚染食品の規制を求める声にまったく応えなかった。むしろ、汚染食品の不買に対して、「風評被害」などという中傷をくりかえしたのだ。まるで乳幼児を抱える女性たちが異常者であるかのようにレッテル張りをおこない、攻撃したのだ。
その時以来12年間、緊急事態宣言は解除されず、被ばく受忍政策が継続したままである。日本では1キロあたり100ベクレル未満の汚染食品が、合法的に流通する状態が維持されている。「風評被害」はまったく終わっていない。いまも私たちは食品の産地をチェックしながら、買えるものだけを慎重に選ぶという緊張を強いられているのである。
12年間もそんなことをし続けてきたのかと驚くかもしれない。よく飽きないなと言うかもしれない。だがこれは、飽きる飽きないの問題ではない。自分以外の人間の命に責任を持つということは、そういうことなのだ。
民主党系の議員連中に、この大変さがわかるわけがない。
彼らは育児に悩む女性たちに対してなんら説得する努力もしないで、一方的に被ばく受忍を要求してきたのだから。
立憲民主党の議員がこの件でえらそうに詰問する資格はない。