立憲民主党が新代表を決めるということで、4人の候補者の記者会見を見た。
確認しておきたかったのは、4人の候補者が何を言うかということと、何を言わないかということだ。特に現在は、ナショナルセンター「連合」の分裂状態が極まってきているので、立憲民主党の政治家たちが何に触れないようにしているかに注目した。
会見は終始、奥歯にものの挟まったような遠回しな主張であった。記者質問の最後に北海道新聞が重要な質問をしたが、候補者の回答に踏み込んだ内容はなかった。
核心に触れないでいるのはひとり立憲民主党だけではない。野党協力を妨害してきた右派労働組合も論点を濁したままであるし、この分裂劇を伝えるメディアも核心に迫る報道はしていない。
巷間語られるのは、連合の右派は共産党との選挙協力を問題視しているということだ。私はそれは表向きの説明、偽の理由だと解釈している。連合の右派が我利我利の反共主義者であることは当然そうなのだが、それが現在の分裂劇の核心ではない。彼ら右派労働組合がしぶとくゴネている本当の理由は、原子力発電の存廃問題である。
現在の野党協力に加わっている社民党・共産党・れいわ新選組は、いずれも原発の廃止を明確にしている。反原発は、4党協力をつなぐ最大限綱領になっていると言っていい。とくに、2011年の原発事故を契機に運動をたちあげたれいわ新選組は、80年代末(チェルノブイリ原発事故後)の「土井社会党」を想起させるような反原発政党だ。れいわ新選組は今回の選挙で3議席を獲得し、比例票の得票数では国民民主党と肩を並べるほどの勢力に成長している。
争点となっているのは、共産党と組むか組まないかというごちゃごちゃした話ではなく、単純に、原発廃止か原発存続かということだ。野党4党は原発廃止派であり、国民民主党は原発存続派である。シンプルな話なのだ。
国民民主党は、自分たちが原発護持政党であるとは言わない。国民民主党を引き寄せたい立憲民主党も、この争点には触れないように気を使っている。マスメディアも踏み込んだ報道はしない。政治というのは、相手の意を斟酌し、あるいは忖度して進めていくということなのだろう。結局、電力総連の誤りにたいして誰もかれもが忖度しているという状態だ。
非常にうっとうしい。
「連合」が解消されれば、運動も政治ももっとシンプルになるのにね。