2021年10月14日木曜日

メモ:ワクチン接種後の生政治

 


 今日は2021年10月14日。

 コロナウイルスCOVID-19の「新規感染者」は、全国で729人。うち、東京都72人、大阪府125人、愛知県38人だった。

7月の東京オリンピックから始まった第5波は、収束しているように見える。

 ただし、集計される「新規感染者」の数は、自己申告された数であって、無症状の感染者は捕捉できていない。現在は大規模一斉検査をしていないので、この統計の数から感染実態を推測することはできない。

 

表面的な「収束」の水面下では、無症状の感染者が広がっているのではないかという推測も成り立つ。これはワクチンの効果だ。ワクチンを接種した人々は発症の確率が下げられるため、その分、無症状のキャリアーになる可能性が増した。PCR検査が自己判断に任されている現状では、発症しないキャリアーは自覚なく自由に動けてしまう。意識の高い人は、ワクチン接種後も折を見てPCR検査をして自分の状態を見ていくだろうが、そんな人は稀だ。そして統計的に「波が収束した」ことで、行動制限も解除され、街は元の状態に戻ろうとする。

 

 感染をめぐる認識は、二つに分裂することになる。

ワクチンを接種した人々は、警戒心を弱め、厳しい行動制限を解除していく。

他方で、事情があってワクチンを接種できない人々は、これまで以上に警戒しなければならない状況に陥る。無症状感染者の増大と、感染対策の緩和によって、感染の可能性は高まってしまうからだ。

今年の冬に「第6波」が起きなければ、COVID-19は完全に過去のものとされてしまうだろう。

コロナ発症者は、少数の例外的なもの、不運な者とみなされるようになる。ワクチンを接種できない人々は、絶望的な孤立を味わい、ワクチンを接種した人々は、ワクチンの性能に依存しながら、どこか釈然としない「収束」を喜び、または、喜んだふりをすることになる。