2021年5月16日日曜日

近ごろ世間ではやる人新世について

  「人新世っていう議論についてどう考えてる?」とか、「斎藤こうへいについてどう評価してますか?」とか、最近よく聞かれるのですが、私は本の執筆やもろもろの作業で忙しくしていて、最近の議論を一切読んでいないので、わからないです。なにも知らないのです。今日も新聞社の記者から電話があって、「君の見解はどうなの」と聞かれましたが、本当に読んでいないので知りません。興味もありません。

 ただ、読んでいないなりにざっくり乱暴に論評するとすれば、権力論や主体の問題についての興味深い議論はなさそうだな、と。私が関心を向けないのはそういうところです。

 例えれば、新しいマンションの完成予想図のようなもので、うわものの外観を描いて見せて、いいねえとか素敵だねえと言っているような印象。完成予想図というのは設計図ではありませんから、ただの外観の絵です。画餅です。その絵には、地下で建物を支えている基礎だとか、空調や給排水の設備だとか、建物の基幹的要素について書かれてはいません。人新世の議論はそういう印象。本当に興味が持てない。まあ、いっさい読んでいないので、偏見の決めつけなのですが。