10日ほど前に、娘は京都市内の学生寮に引っ越していった。1960年代に建てられた古い建物に、約400名が入居しているという。学生による自主管理を続けてきた自治寮だ。
新型ウイルス問題に際して、この寮では換気を徹底することにしたという。昼も夜も窓を開け放った状態で、生活している。こういう対策は、寮自治会の対策部会で、つまり学生たち自身の会議で、決定するのだという。さすが自治寮だ。もしもこの400名の寮で感染者が発生してしまったら、文科省による自治寮つぶしにかっこうの材料を与えてしまうことになる。だから学生たちも必死だ。絶対に感染者を出さないという覚悟をもって臨んでいる。素晴らしいことだと思う。やっぱり自治寮は、安心して子を預けられる。
この古い建物も、よい。学生たちの換気対策を可能にしているのは、この建物に開閉できる窓があるからだ。
そんなことは当たり前だと思われるかもしれないが、近年は、窓が開閉できない建物も多くなっている。オフィスビルや商業建築はもちろんのこと、大学施設でも窓の開かない建物が増えている。大きな板ガラスをはめ殺しにして気密性を高め、換気は空調機まかせ、という設計だ。窓を開けられない、換気扇すらない、という空間は、例外的なものではなくなったのである。
こういう空調管理型の建物は、外観は清潔に見えるが、新型ウイルスにたいしては脆弱である。換気を機械まかせにしているのだから、もしも機械に不具合が起きれば、全滅だ。
窓を開け放って寝ている自治寮の学生たちは、見かけは滑稽に見えるが、しっかりと自律的に対策をとっている。
それとは対照的に、空調を機械まかせにしているオフィスや教室は、見かけは格好いいが、ずいぶん他律的であぶなっかしいものだ。とくに今は、不潔な空間となっている。
90年代以降に建てられたインテリジェントビルには、気をつけよう。
それとは対照的に、空調を機械まかせにしているオフィスや教室は、見かけは格好いいが、ずいぶん他律的であぶなっかしいものだ。とくに今は、不潔な空間となっている。
90年代以降に建てられたインテリジェントビルには、気をつけよう。