東京電力事件から6年。今年2017年は、出会いの年になります。
事件直後に日本政府が号令した「絆」キャンペーンは、ぶざまに破たんしました。福島現地に向かう「復興」ボランティアもいなくなりました。これから福島県の人口は、被曝死と県外移転者によって、加速度的に減少していきます。
共同体の力を信じた蒙昧な分子は、ばつが悪そうに沈黙しています。この共同体信仰の解体は、福島県だけに生じているものではありません。汚染地帯となった首都圏でもそうだし、また、汚染されていない大阪でも、共同体主義が没落していきます。事件から5年間の第1フェイズでは、われわれ「放射脳」移住者の正しさが証明される結果になりました。
共同体が解体したのち、私たちは出会いなおします。見知らぬ土地に避難した人々は、その土地で誰かと出会い、愛し合う。夫と離婚した母子避難者も、いずれは再婚します。このプロセスは不可避です。われわれ移住者は、日本社会のすべてに背を向けて深い孤独を選んだ者ですが、しかし5年も経てば、孤独であることにも飽きてきます。いろいろな人と出会い、魅かれあうこともあるのです。
これから数年間、東電事件後の第2フェイズは、二つの異質な共同性が並存します。
没落していく古い共同体の残滓と、新たに形成された共同性とが、はっきりとコントラストをもってあらわれてきます。東日本から逃散した「放射脳」は数万人ですが、今後さらに膨張していきます。彼らは新しい思想とハビトゥスを生み出す前衛的な役割を担います。
ものの見方、話しかた、聞きかた、表現の様式が変わります。社会に背を向けた孤独な者たちが、彼らにしか為しえないような新しい文化をつくりだすのです。
おもしろくなってきました。
今年はきっといい年になります。
おもしろくなってきました。
今年はきっといい年になります。