『週刊プレイボーイ』誌が、市民の放射線計測について取材したいというので、神保町に行った。
記者の最後の質問は、東京都の発表した数値の信憑性だ。
0.06μsv/hというのは本当なのかということだ。
東京都の発表はおそらく事実である。彼らは嘘をついてはいない。
0.06μsv/hという場所は(私は知らないが)、たぶん、あるのだろう。放射性物質の分布がモザイク状になってしまっているときに、この発表は朗報でもなんでもない。たんに「東京都内に0.06のポイントがありました」と言っているに過ぎない。そして、あるポイントが0.06だったからといって、0.15の砂場が無害化されるわけではない。
東京都は嘘を言っていない。ただ、0.06を超えるポイントを看過しているだけだ。
東京都に対する批判はひとまずおく。
問題は市民の側の主体的状況だ。
現在、福島県中通りでは、外部被曝線量だけで放射線管理区域を超える事態になっているが、いまだに避難せずにとどまっている者がいる。せめてこどもだけでも退避させなければならないのに、まだこどもを学校に通わせている親がいる。出口のみえない政治にだらだらとこどもを付き合わせて、いったいどうするつもりなのか。政治は政治で大事だが、時間がかかるのはみえてるんだから、こどもを退避させてから大人だけでやれよ。
こういうことを言うと、「避難したくてもできない人間もいるんだ」という人がいる。
おそらくそれは事実だ。嘘ではない。そういう人間がいるだろうことはもちろん私は否定しない。
しかしこんなおおざっぱな紋切り型で、ああそうですねと納得することはできない。
福島市や郡山市のいったいどれだけの人口が、本当に「避難したくてもできない」のか。
本当に一刻も早く避難したくてしたくて頭がおかしくなりそうなぐらいなのにどうしても「避難できない」人間は、実際のところ何人いるのか。
私はそこを問いたい。本当に問うよ。
看過しないよ。
「避難したくてもできない」と言う者のなかに、どれだけ嘘つきがまぎれこんでいるか、調べるよ。嘘がばれたときに、他人のせいにするなよ。