2011年10月27日木曜日

東海第二原発でわりと深刻な事故

漏れた水は22・4トン 東海第2原発

 定期検査中の東海第2原発(茨城県東海村)で原子炉圧力容器内の放射性物質を含む冷却水が格納容器に漏れた事故で、日本原子力発電は26日午後、漏れた水は約22・4トンと明らかにした。格納容器内のタンクにたまった水量を確認した。

 水に含まれていた放射性物質は1リットル当たり400ベクレルで、日本原電は「濃度は限りなく低い」と説明。原子炉の燃料は使用済み燃料プールに移してあったが「燃料がなかったとはいえ、重大な事象だと受け止めている」とした。

 日本原電によると、26日午前10時20分ごろ、格納容器の下部で水漏れを示す警報が出た。圧力容器に制御棒駆動装置を取り付ける際に、水を止める板のねじを誤って緩めたのが原因で、男性作業員4人が水をかぶったが被ばくは確認されていない。
2011.10.26 14:03 産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111026/dst11102614040012-n1.htm

 東海村で冷却水漏れ。
 「格納容器内のタンクにたまった水量を確認した。」というのが怖い。

2011年10月26日水曜日

福島を再生させるな(できないし)

 野田政権のスローガンは「福島の再生なくして日本の再生なし」だ。
東京電力と国際原子力産業にとっては満額回答だな。
 しかしそのための代償を支払うのは、いったい誰なのか。このできもしない無責任な「再生計画」のために、東京電力はいくら金を用意したというのか。奴らがやっていることは、自分たちの罪をうやむやにするために、ひたすら「大丈夫、問題ない」と繰り返しているだけではないか。
 「福島再生」などという号令につき従って1円でも使ってはならないし、1ベクレルも被曝してはならない。福島はもう消滅した。除染は失敗し、2年後にはあらゆる公共サービスが機能しない巨大な限界集落になる。この惨劇が誰の目にも疑いなく認識されてはじめて、ごまかしのない未来の展望が議論できるのだ。
 福島の壊滅なしに、日本の再生はない。

2011年10月24日月曜日

柏市のホットスポット

千葉・柏の高線量地:側溝破損、雨水漏れ 原発由来セシウム、蓄積
 千葉県柏市根戸(ねど)の市有地で採取した土壌から1キロ当たり最大で27万6000ベクレルの放射性セシウムが検出された問題で文部科学省は23日、現地調査を行い、東京電力福島第1原発事故で放出された放射性セシウムを含む雨水が現場の側溝から外に漏れ出し、土壌に染み込んで蓄積された可能性が高いとの調査結果を明らかにした。汚染土壌の投棄といった人為的な要因は否定され、原発事故そのものの影響の広がりが示された形だ。柏市は文科省と協議し、除染の方法を検討する。【早川健人】(毎日新聞10月24日)

 このニュースでわかったのは、地表に降下した放射性物質が地中で蓄積されることがあるということだ。雨が地表の物質を地中に運んでくれたわけだから、土ぼこりによる呼吸内部被曝を懸念する私にとって、これはちょっと朗報だ。しかも蓄積したのが276000 Bq/kgという高濃度である。これはいけるかもしれない。
 柏市の地表に降下したブツがどれくらいなのか推測してみると、柏市の空間線量はだいたい0.5μSV/h前後だから、自然放射線の分を差し引いて0.4μSV/h。このうちの半分、0.2μSV/hが地中のブツからの放射線だとすると、平米あたりで56400 Bq/㎡、キロあたりで867 Bq/kg程度が降り積もっていると思われる。この推測が正しければ、問題の側溝は、セシウムを約300倍にまで濃縮してくれたことになる。これはひょっとして、天然のフィルターになりうるのではないか。
 文科省と柏市は急いで除染なんかしないでほしい。この土地はしばらく立ち入り禁止にして、今後どれぐらいブツが濃縮されるのか観察してみる価値がある。あとどれぐらい伸びしろがあるのか。セシウムを吸着しやすいように粘土を投入してみるというのもありだ。どうせ使ってない土地なんだから、ちょっと実験してほしい。
 住民はどうするのかって、もちろん退避だ。もう住めないよこんなところは。

2011年10月23日日曜日

震災がれきは福島第一に

 もうあらためて論じる余地もない話なのだが、太平洋沿岸部に積まれている震災がれきは、アスベストや重金属や放射性物質が付着していて、とても一般の処分場に持ち込めるものではない。
これらはすべて、福島第一原発から20km圏の土地に集積するしかない。
福島・茨城の2県は、除染に無駄な金を投じるのではなく、住民に賠償金を分配して、退避を促すべきだ。

こうして原子力産業は、火事場泥棒のようなやりかたで放射性廃棄物の処分場を手に入れたことになる。

2011年10月21日金曜日

長野県安曇野市からセシウム検出

 京都の登山愛好家が、長野県安曇野市の計測データを送ってくれた。
「東京砂場プロジェクト」のサイトでは長野県まではフォローしていないので、ここで報告する。

国営アルプスあづみの公園(入口)        0.15 
国営アルプスあづみの公園脇(ウエストン像の裏) 0.19
常念ふれあい公園 (木製のデスクの下)     0.20
常念ふれあい公園 (水場の砂地の部分)     0.19
文化公園     (砂場なし、公園中央の地面) 0.11 
豊科中央公園   (砂場)           0.22
かじかの里公園  (砂場なし、ジャングルジム下)0.20
北城公園     (砂場なし、ゲートボール場) 0.18
町尻公園     (砂場)           0.19
(単位はマイクロシーベルト毎時)
計測日 10月6・7日、機種 RADEX RD1503

国営アルプスあづみの公園には、近代登山の開拓者ウエストン氏の胸像がある。


ここから落ち葉1.3ℓを採取。NaIシンチレーションスペクトロメータにかけたところ、セシウムが検出された。
セシウム137  24.9 Bq/kg
セシウム134  21.7 Bq/kg
合計で46.6 Bq/kg、平米換算で、3029 Bq/㎡ という結果だ。

安曇野市は松本市の西側、常念岳のふもと。群馬県から流入した放射性物質は、上田市と松本市をこえて、北アルプスの手前で安曇野に降下したと思われる。常念岳の西側、上高地がどうなっているかは、まだわからない。誰かサンプルをください。

2011年10月19日水曜日

『at プラス』って雑誌に書いた

 『at プラス』(太田出版)という雑誌から原稿依頼があったので、書いた。
 最近は食品・土壌の測定で忙しいので最初は断ろうかと思ったのだが、太田出版には以前、原稿をすっぽかして不義理を働いているので申し訳ない気持ちもあったし、なにより原稿料が良さそうなので書いた。

 最初は夏休みの宿題のような消極的な気分だったのだが、原子力資料情報室と原水禁に対する批判を書いたあたりで、スイッチが入った。なにが問題なのか自分の頭を整理しながら、小出裕章に対する批判を展開したあたりでグイグイ筆がのっちゃって、こりゃおもしれえやこのままたんぽぽ舎について嫌味のひとつでも書こうか、というあたりで自制心が働いてやめた。たんぽぽ舎については書いてません。でもまあ、だいたい言いたいことは言った。
 
 クラウディア・フォン・ヴェールホフという世界資本主義論の理論家は、1986年のチェルノブイリ事件の直後に文章を書いている(『チェルノブイリは女たちを変えた』)。そこでヴェールホフは、事故当時、役割を期待された既成左翼がいかにダメダメだったかを強く批判しているのだが、いま私はその気持ちがわかる。ヴェールホフが何に怒っていたのかが、とてもよくわかる。反原発(反核)運動のあーあって感じは、もともとそれほど期待はしてなかっし、彼らにすべてをおんぶするつもりもないのだが、でもこの期に及んでこれはあんまりじゃないかということがいくつかあって、まあその内容は雑誌で読んでください。
 発売日は確認してないけど、たぶん11月10日ごろの予定です。

追記 
 ところで2~3日情報をチェックしていなかったのでいま知ったのだが、都知事の石原慎太郎はもうすぐ棺桶だね! 敵失だけどちょっとうれしい。

2011年10月12日水曜日

測定計画のためのメモ

今日は土壌3検体と食品1検体を測定した。
測定依頼は順調にのびていて、一週間ほど先まで埋まっているが、測定ボランティアの人たちは士気が高い。やるきまんまんだ。
 作業しながら、食品と土壌の検査についてどう考えるかの考え方を考えてみた。
とりあえず以下の式。

土壌のセシウム濃度 × ( 作物ごとの移行係数 - 栽培方法による低減 ) = 食品中のセシウム濃度

という式が成り立つ。大気中の放射性ガスや塵がないものとして考えれば、だいたいこういうことになるだろう。
で、これまでの知見で数値として解っている(またはこれから解明される)のは、「作物ごとの移行係数」と「栽培方法による低減」だ。いま測定しているのは、式の両端にある「土壌のセシウム濃度」と「食品中のセシウム濃度」がどうなのかということなのだが、これらはそれぞれ測定の動機が微妙に違う。
 土壌のセシウム濃度を調べるとき関心の対象になっているのは、農作業における内部被曝、土木建築等屋外作業の内部被曝、近隣住民とこどもの内部被曝だ。
 食品中のセシウム濃度を調べるときの関心は、消費者の内部被曝、農家の経営、流通業者の経営である。
 市民放射能測定センターが「市民」というとき、それは政府機関ではないという程度のおおまかな意味だから、いろいろな動機が同居していて、どれもアリだ。センターの主力となっている名古屋生活クラブは食品検査に関心が高く、ボランティアスタッフをやっている私はがぜん土壌派だ。
 というなかでいま、測定計画のれじゅめを用意しなくちゃならないのだが、こりゃ議論の設定が大変な予感。

2011年10月7日金曜日

文科省の航空機モニタリング測定結果をどう考えるか

10月6日、文部科学省は東京都・神奈川県の航空機モニタリング測定結果を発表した。

「文部科学省による東京都及び神奈川県の航空機モニタリングの測定結果について」

山間部を除く大半が、「10000Bq/㎡以下」となっている。
他方で、文京区では次のようなニュース。

小学校の堆肥が基準値超え 東京・文京区

 東京都文京区は6日、区立根津小学校の落ち葉でつくった堆肥から、国の暫定基準値(1キログラム当たり400ベクレル)を超える1488ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。
 文京区はすべての区立小中学校と幼稚園に対し、堆肥を肥料として使用せず、児童らが直接触れることがないよう注意喚起した。
 文京区によると、9月下旬に根津小の堆積場から採取した堆肥を測定。校内の花壇で使用するためにつくったもので、流通はしていない。

2011.10.6 16:24 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/life/news/111006/trd11100616250013-n1.htm

1488Bq/kg を平米あたりに換算すると、

1488 × 65 = 96720Bq/㎡

文京区では落ち葉の堆積する地表で、96720Bq/㎡ になっている。
航空機モニタリングの結果と比較すると、その差は約10倍にもなる。
これをどう考えるか。
1、航空機モニタリングが嘘
2、文京区の調査が嘘
3、航空機からの測定結果は数字を平均化しているので、実際の地表には10倍程度のホットスポットがあちこちにある。

 以前から多く人が指摘していることだが、放射性物質の拡散・堆積は、地表面に非線形の複雑なモザイクを形成している。事態を正確に再現するためには、航空機ではなく地面を歩いて、丹念に調べなくてはならない。
 航空機は無視してよい。調べる人はどんどん調べ、退避できる人はどんどん退避したほうがいい。

追記
 平米換算の式は、地表5センチの土の体積から求める。
100㎝×100㎝×5㎝=50000立方センチメートル = 50ℓ
50ℓの土の重量は、比重が1.3と仮定して、50×1.3=65kgになる。
実際には、葉っぱの比重はもっと小さいし、葉っぱだけで5㎝の厚みをもつことは(すくなくとも東京では)ありえないので、96720Bq/㎡という予想はちょっと大きすぎる。ただしここで問題にすべきなのは外部被曝ではなく内部被曝なので、論旨としては同じことだ。広大な領域を平均化した数字など、なんの意味もない。

2011年10月5日水曜日

関東脱出

千葉県柏市で活動していた「柏の子どもたちを放射能汚染から守る会」が、活動を休止した。

http://kashiwamoms.wordpress.com/

会員の多くが柏市を離れ、現在の代表も脱出を決めたという。
この団体とは面識も交流もないが、まったく正しいと思う。
柏市のグループにならって、多くの人が関東を脱出することを願う。
もし愛知県に移転するなら、諸手を挙げて歓迎します。
放射線測定を手伝ってほしい。

追記
 もしかしたら知らない人がいるかもしれないので書いておくが、放射線障害は治らない。
具合が悪くなったら最後、その日からずっと死ぬまで体調不全を抱えることになる。
不治の病というのは、人間の理解を超える。
いまこう書いても信じられない人が多数だろう、ということは、放射線障害を抱えた人間にとって、寄り添ってくれる理解者はほとんどいないということだ。他人の同情は一時だけ、長く闘病が続けば、家族からも疎ましがられることになる。
一般的に「被曝者は性格が歪む」と言われるのは、彼らが味わった孤独のためだろう。
体調が悪くなってからでは遅い。
元気なうちに避難してほしい。